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のだめカンタービレ3

701 名前:「喪失」・24[sage]:2005/06/16(木) 19:02:01 ID:FZw6vO7M
「随分と話が弾んでいたみたいね?」
のだめの姿を見送りながら、母さんは言った。
「なるべく、気持ちを解してやりたいと思って・・・。一番不安なのはアイツだし。」
「真一。今回の怪我のことなんだけど・・・。
あなたに言われた通り、まだのだめちゃんのご両親にはお話してないの。」
母さんは言いづらそうに話を続けた。
「・・・でも、このまま、ずっと黙っているって訳にもいかないでしょう?
記憶の事は、否が応でもいつかは分かる事なんだから。」
「・・・わかってる。でも、もう少し待って欲しいんだ。せめて、俺とあいつがパリに戻る十日後までは・・・。」
「こういうの、黙ってれば黙っている程、言い出し難くなるわよ?」
「うん・・・。」
「のだめちゃんだって、こういう付き添いとか、身内の人が居てくれた方が安心するでしょ・・・?」
「そうだけど・・・。もうちょっと待って欲しいんだ。俺の我が侭で、ホント申し訳ないと思うけど。
のだめ、昨日福岡からこっちに来たばかりで・・・。それで・・・これだろ?
アイツのご両親にもの凄く心配かけてしまうと思うし、だからもうちょっと待って欲しい。」
「真一がそこまで言うなら・・・わかったわ。」
母さんは諦めたのかそれ以上俺を説得しようとはしなかった。

俺は午後からR☆Sオケの練習が入っていた為、母さんに後のことは任せ、そのまま病院を後にした。

702 名前:「喪失」・25[sage]:2005/06/16(木) 19:02:38 ID:FZw6vO7M
このところ一日中オケのリハーサルが続いているせいか、メンバーにも少し疲れの色が見える。

昨日の電話の側にいた連中は少し事情を知っているだけに、俺が指揮をしている間、
ずっと心配そうな表情をしていた。
指揮中に何度も峰とも目があったけど、聞きたいけど、聞きにくい・・・、そんな顔だった。

「明日は一日オフになるけど。
どの様に過ごすかで明日以降の仕上がり方が違うのを、全員、言わなくてもわかってるな?
くれぐれもプロとしての責任を忘れないように。以上。」

松田さんの話で、今日の練習は終了した。

「千秋君。久しぶりだね。フランスでの活躍、色々と聞いてるよ。」
練習の解散を告げると、すぐに松田さんが俺に声をかけてきた。

「有難うございます。このオケで、また振れるのも、
今までこのオケを導いてくださった松田さんのおかげです。感謝しています。」
「ふーん・・。君にそんな事を言われると、少し勘ぐってしまうが・・・。ま、今は額面通り受け取っておくよ。」
「素直じゃないですね。」
「その言葉、そっくり君に返すよ。飲みに誘いたい所だけど、
僕達、一応”競演”って事になってるからやめておこうかな。・・・決着をつけてからって事で?」
松田さんはくっくっくと喉で笑った。
「俺・・・、今、自分がやれる事を精一杯やるだけです。宜しくお願いします。」
「相変わらず”優等生”でかわいくないねー。叩き潰されても知らないよ?じゃ。また。」
「はい。お疲れ様でした。」

703 名前:「喪失」・26[sage]:2005/06/16(木) 19:03:08 ID:FZw6vO7M
松田さんが大股で部屋から出て行くのを確認すると、俺は急いで帰り支度を始めた。
今ここを出れば面会時間終了の6時半までに、アイツの病院に寄れるからだ。

「千秋・・・。なぁ、・・・ちょっといいか?」
後ろを振り返ると、峰と真澄が気まずそうに立っていた。
「ああ、うん。いいけど・・・。なるべく早くな。のだめの病院に寄りたいから。」
俺は二人にまた背を向け、指揮棒をケースに片付けながら言った。
「その、のだめの事なんだが・・・。」
「うん、ピンピンしてるよ。こっちが呆れる位。」
「え、そうなのか?だって、昨日意識が無いって・・・。」
「あの後、すぐに意識が戻ったんだ。身体の方は・・・、打撲とかすり傷はあるけど、特に異常なし。」
「もーーー!心配して損したっ!あの、ひょっとこ馬鹿娘!心配で眠れなかったわたしの睡眠時間返して!」
真澄が大げさに叫んだ。峰も拍子抜けしたように情けない顔で笑っている。
「ははは・・・は・・・。なんつーか、のだめらしいな・・・。」
「一応、今日の精密検査で異常が無かったら、あさって退院できるらしい。」
「え!?それじゃわたし達、明日お見舞いに行っても無駄?」
「いや、そんな事ないよ。顔、見に来てやって。」
「でも大した事なくてよかったな〜。さすがどうぶつ奇想天外・・・。」

704 名前:「喪失」・27[sage]:2005/06/16(木) 19:03:50 ID:FZw6vO7M
峰の話を聞きながら俺は最後の荷物を入れ終わると、二人に振り返った。
「ただ、見舞いに来るなら。・・・言っておいたほうがいい事がある。先に言っとくな。」
「え?な、なんだ?」
「のだめ。記憶障害が出てて、ちょうど5年分位の記憶を喪失してんだ。
だから、多分お前達のこと見ても、アイツにとっては知らない人だから・・・。
それ見て、ショック受けないで欲しいんだ。」
「記・・憶・・・障・・害・・・?」
「うん。ドラマとか小説とかではよくあるけど・・・。まさか自分の身近な奴がそんな事になるなんてな。
事実は小説より奇なり・・・、ってヤツだ。」

俺は努めて淡々と状況説明をした。二人はまだ呆然としていた。
仕方がない。俺だってこの事を知った時には、目の前が真っ暗になったんだから・・・。

「ヤだ、ホントに・・・ひょっとこ馬鹿娘なんだから・・・。記憶喪失になるなんて・・・。」
真澄の顔は泣き笑いになっていた。
「あのコ、千秋さまのことも・・・、憶えていないの?」
「うん、清清しいまでにな・・・。でも、記憶がなくてもやっぱりその、のだめだけどな。」
「俺達・・・、明日見舞いに行かない方が・・・いいか?」
「いや、来てくれた方がアイツにもいいと思う。何がきっかけになって思い出すかもわからないから。
本人も記憶がなくて不安だから、話してあげるといい刺激になるらしい。」
「そっか・・・。じゃあ午後位にでも・・・。あ、萌と薫なんかも誘って行くから。後で病院教えてくれ。」
「わかった。じゃ、ごめん。先に失礼する。また明日、のだめの病院でな!」

705 名前:「喪失」・28[sage]:2005/06/16(木) 19:04:23 ID:FZw6vO7M
俺は練習室を出ると、そのすぐ脇に自販機があるのに気が付いた。
そこでペットボトルに入ったミネラルウォーターを一本買う。
歩きながら、ごくごくと喉を鳴らして・・・一気に半分程飲み干した。
そうしてようやく息をつく。

---大丈夫。冷静に話したつもりだ。
---俺の動揺、アイツ等には伝わってないといいのだが・・・。

そう思いながら、夕闇が迫る中、のだめが待つ横浜の病院に向かった。

病院に着いたのは、面会時間終了の10分前だった。
俺は急いで病室へ向かう。
のだめの病室に入ろうとすると、その直前で、白衣を着た中年の男性から声をかけられた。

「もしかして、千秋真一さんですか?」
「・・・はい、そうですけど?」
「よかった・・・。私は野田さんの担当医で、山口と申します。」
山口先生は人好きしそうな、人懐っこい表情を見せた。
「ずっとあなたとお話したいと思っていたんですよ。今日お会いできて本当によかった。」
「すいません。何もかも母に任せきりで・・・。仕事が立て込んでいたものですから・・・。
僕の方も、主治医の先生から直接お話、伺いたいと思っていたんです。」
「そうですか。お互い、タイミングが合ったって事でしょうね。後で、私の部屋に寄って頂けますか?
野田さんにお会いした後でかまわないですから・・・。」
「はい。寄らせて頂きますので、よろしくお願いします。」
「では、後ほど・・・。」
山口先生は軽く会釈すると、ナースセンターのある方へ歩いていった。

706 名前:「喪失」・29[sage]:2005/06/16(木) 19:06:31 ID:FZw6vO7M
ドアを軽く三回、ノックする。

「はーい。」

のだめの元気そうな声が聞こえてきたのを確認すると、俺は扉をそっと開いた。

「起きてた?」
「起きてますヨ!子供じゃないんですから、こんなに早くに寝れません!さっき、夕ご飯食べた所デス。」
「そっか。」
「千秋先輩は、お仕事帰りですか?」
「うん。ま、そんなとこ。」
「今朝も来てくれたのに・・・。一日に何回も来てくれなくても、のだめ大丈夫ですヨ!」

---なぁ、のだめ。
---頼むから・・・。
---こんなに残酷なこと、そんな風にふんわりと優しい笑顔のまま、俺に言わないでくれ・・・。

「・・・先生と話があったし。ついでにお前の顔も見ておこうと思っただけ。」
「あ・・・。そ、でしたか。えへへ・・・。なぁーんだ。」
「ったく。調子乗ンな・・・。」
「ぎゃぼ!別にのだめ、調子に乗ってなんかいませんヨ!」
「ま、元気そうなのは分かったからよかったけど。もう面会時間終わりだから俺、そろそろ行くな?」
俺が時計を見ながらそう言うと、のだめは少しがっかりした顔をした。
「せっかく千秋先輩来てくれたのに・・・、チョトしか話せなかった・・・。」
「え?・・・俺と、そんなに話したかった?」

707 名前:「喪失」・30[sage]:2005/06/16(木) 19:07:13 ID:FZw6vO7M
のだめからそんな言葉が聴けるとは思えなかったので、俺は頬を高潮させた。

「山口センセが・・・。あ、山口センセはのだめの主治医の人の名前デス。
先輩と話をすると、思い出すいいきっかけになるかも、ってさっき言ってたんデス!だから・・・。」
「いい”きっかけ”。か・・・。」

期待は、すぐに落胆の色に染まる。

「なんかぁー、頭の中がモヤモヤしてー。上手く言えないんですけど、気持ち悪いんデス!
みんなのだめの事を知っているのに、のだめは知らなくて・・・。うぎゅー・・・。」
「それなら・・・、明日、お前の見舞いにみんな来るって言ってたから。いいきっかけになると思うよ。」
「・・・”みんな”?」
「ん。”みーんな”だ。お前が木から落ちて心配してくれてたぞ。詳しくは直接、自分で聞け。
何がきっかけで、記憶が戻るかわからないからな。」
「はぅぅー。”みんな”デスか・・・。のだめの知っている人、いますかネ・・・?」
「俺は明日も仕事が結構入ってて、朝は来れないけど。今日みたいにまた、夕方来るから。」
「・・・はい。」
「じゃあ。また明日な。」
「千秋先輩も気をつけて帰って下さいネ。」
「うん。」

のだめは俺が部屋を出るまで、ベッドの上で小さく”バイバイ”と手を振っていた。

708 名前:ショコラ[sage]:2005/06/16(木) 19:09:02 ID:FZw6vO7M
スイマセン。ここで一区切り入れます。ごめんなさい!
何か無駄に長くなってしまいました。本当に申し訳ないです。
エロパロなのに、メインディナーのエロにまだ到達してないし・・・。

続きは、色々状況判断しつつ、またのちほど・・・(汗)?

709 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/16(木) 19:13:27 ID:bcCtEmjf
すごく面白いです
早く続きが見たくて悶絶・・・

待ってます!!

710 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/16(木) 19:14:19 ID:K8IKdtMI
途中ですがGJGJGJ!
文章にぐいぐいと引き込まれました。
千秋の切なさが伝わってきます。続き、待っています。


711 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/16(木) 19:20:19 ID:iuh5R1/L
はらはらしながら読みました。
続き楽しみにしてます!

712 名前:名無しさん@ピンキー[]:2005/06/16(木) 22:08:49 ID:Yf8RmBYj
むきゃーーーーーーー!!!!
710さん同様、文章にすごく引きこまれて一気に読んじゃいました!
この後どうなっちゃうんだろう…続きが早く見たいです。
お待ちしています!

713 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/16(木) 23:15:20 ID:K8jamJYz
萌えました!
すごく上手ですねー。
続き、楽しみに待ってますね!

714 名前:ショコラ[sage]:2005/06/17(金) 00:04:09 ID:FZw6vO7M
ショコラです。皆様、暖かいお言葉本当に有難うございました。
胸に沁みます・・・。じーん。励みになります!

ただ、本当に長々〜でごめんなさい!
ホントは千秋編?を全部投下する予定でしたが、
スレが埋まりすぎて怖かったのですヨ・・・。

明日の夜迄にもう少し投下できると良いのですが。引き続きヨロシコ〜です。

715 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/17(金) 00:16:13 ID:BFoPP8NY
GJ
続きは楽しみだけど
全部出来てから投下したのでいいのじゃないかと。
がんばってくださーい

716 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/17(金) 02:53:37 ID:qk8ndsrJ
楽しみに待ってます!!頑張ってくださいね☆

717 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/17(金) 08:27:20 ID:qWc7tciZ
続き気になルンバ

718 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/17(金) 22:56:38 ID:BuYuvOvT
まだかなぁ〜。楽しみo(^ヮ^)o

719 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/18(土) 01:37:37 ID:9LgR+Tuc
続き来なス(´・ω・`)

720 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/18(土) 03:04:19 ID:LVayrdQN
あうう・・・。まだかしら???

721 名前:ショコラ[sage]:2005/06/18(土) 04:09:47 ID:mmiHAEJA
こんばんわ。
す、すいません。お待たせしております・・・。
全部投下したほうがよいかと思いまして必死こいて推敲してました・・・。

しかしスレの容量の事もありますし、また・・・その・・・長いので(汗)。
様子見も含め、一部投下してみます。
一気にいけなくて申し訳ありません。

722 名前:「喪失」・31[sage]:2005/06/18(土) 04:10:59 ID:mmiHAEJA
のだめの主治医である山口先生の部屋を訪ねると、ちょうど脳のCTスキャンの画像を用意している所だった。

「失礼します、千秋ですが・・・。あ、これ、アイツのですか?」
「ええ。今日詳しい精密検査をして、一応結果が出ましたので・・・。ご説明致しますね?
どうぞこちらにお掛け下さい。」
山口先生は、とても紳士的な所作で、俺に椅子を勧めた。

「見て頂いておわかりになったと思いますが、
今の所野田さんの頭部には、脳内出血及びその他の気になる箇所等は認められません。」
俺でも分かる様に優しく噛み砕いた表現で、先生はのだめの症状を説明してくれている。
「つまりそれは・・・脳に異常はないという事ですか?」
「そういう事に、なると思われます。
出血した箇所が脳内部を圧迫して、それが原因で記憶障害が出ている訳ではないようですね。」

異常がない・・・という事は、のだめは何故、記憶喪失になってしまったのだろう・・・?

「よく、ラグビーをやられる方でいらっしゃるんですよ。
タックルを受けて脳震盪を起こされて、病院運ばれて来る方の中に、このような症状を見せる方が・・・。
CT等でも脳に異常は認められないのに、何故だか目覚められると記憶がない、って状態になっていて・・・。」
山口先生はのだめのカルテをパタンと閉じると、俺の方に向き直った。
「でもそういうのは、ほとんど一過性の場合が多いのです。
次の日には不思議と・・・ちゃんと記憶が戻られているのです。
それに加え患者さん本人は、その間の記憶がなかった事自体を、全く憶えていないケースが多いのですよ。」
先生は机の脇にあるコーヒーサーバーから二つコーヒーを注ぐと、俺の前にその一方を置いた。

723 名前:「喪失」・32[sage]:2005/06/18(土) 04:12:28 ID:mmiHAEJA
「良かったらどうぞ。」
「あ、有難うございます。頂きます。」
二人で同時に、そのコーヒーに口をつける。先生の淹れてくれたコーヒーは、俺には少しほろ苦かった。

「野田さんの場合は・・・。脳にショックを受けた事による記憶障害に間違いないのですが・・・。
そのショックの部分が非常に大きかったという事かもしれません。もちろん・・・個人差はありますけど。
今の所は”部分的な健忘症”・・・というのが私の診断ですね。」
コーヒーカップを弄びながら、先生は慎重に言葉を選んで発言している様だった。
「部分的な、健忘症・・・。」

・・・表情が暗くなった俺が気になったのか。
さっきまでの、のんびりとした雰囲気とはうって変わり、山口先生は急にキッパリとした口調で言った。

「こういう時に、”気を落とさないで下さい”って言葉はツキナミなんですが。」
そうして、空になったコーヒーカップを置き、俺の目をしっかりと見据える。
その意志の強そうな眼差しがとても印象的だった。

「野田さんの記憶が絶対に戻らない、って決まった訳ではありませんからね。
あなたが野田さんをしっかり支えてあげることが大事ですよ。一番不安なのは野田さん本人ですから。」
「・・・はい。」
「あなたのお母様から聞きました。二人でパリに留学されているそうですね。
二人だけで共有している思い出とか、どんどん彼女に話してあげて下さい。まずはそこからです。」
「明日、他の友人達も見舞いに来るのですが・・・。会わせて大丈夫ですか?」
俺は一応気になっていたので、山口先生に峰達を会わせて良いか、確認を取る事にした。
「そうですね・・・。野田さんは割合しっかりしておられるから、まぁ、大丈夫でしょう。
記憶を失ってひどく混乱されている方だと、落ち着くまでは、ごくごく一部の方の面会しか認めないのですが。」
「のだめ・・・、いえ、野田恵に関しては、会わせても大丈夫なんですね?」
俺がアイツを”のだめ”と呼んで、慌てて訂正したのを聞くと、
山口先生はようやく厳しい表情を崩し、口元に柔らかな微笑を浮かべた。

724 名前:「喪失」・33[sage]:2005/06/18(土) 04:13:39 ID:mmiHAEJA
「”のだめちゃん”って皆さん呼んでるんですよね。あ、本人も自分をそう言ってましたか?
面白い呼び名ですよね〜”のだめちゃん”。僕もそう、呼んでもかまわないですか?」
「ええと、あ、はい。」
「”のだめちゃん”なら大丈夫ですよ。冷静に自分の状況を判断している。順応性が高いんでしょうね。
案外、記憶のピースが一つでも失くした所に上手くはまれば、次々に思い出されるかもしれませんよ。」
「そうですか・・・。それを聞いて勇気づけられました。」
最後の先生の言葉を聞いて少しホッとした。
確かにアイツはパリでも抜群の適応能力を見せていた。
フランス語も・・・何だかんだ言って、あっという間にマスターしていたしな・・・。

「身体の方は、時間が経過すれば痛みも和らぎますので。まぁ、少し内出血の跡が痛々しいですけどね・・・。」
「ピアノの留学中だったので、手や腕にケガがなかったのが不幸中の幸いでした。」
「そうですね。でも、もしかしたらのだめちゃん、落ちる時に反射的に手を庇ったのかもしれません。
上半身の、特に背中から両肩にかけて、随分とひどく打撲していましたから。」
「・・・そうでしたか。」
「ピアニスト魂・・・でしょうか?」
先生は悪戯っぽい光を瞳に宿らせながら、俺を覗き込んだ。
「ったく、馬鹿なヤツ・・・。でも、そうならアイツらしいかもしれません。」
「では、今日はこれ位にしましょうか。
私どもも、全力でのだめちゃんの記憶が戻る様、お手伝いさせて頂きますので。」
「どうかよろしくお願いします。」
俺は山口先生に深々と頭を下げた。この先生にならのだめを任しても大丈夫・・・。そんな気がした。
「山口先生、今日は本当に有難うございました。」
「いえいえ。こちらこそ遅くまで引き止めてしまい申し訳ありませんでした。」
俺が失礼しようと立ち上がると、律儀に山口先生も自分の椅子から腰を上げた。

ドアを開ける前に山口先生に振り返ってもう一度深く一礼し、そして俺は先生の部屋を後にした。

725 名前:「喪失」・34[sage]:2005/06/18(土) 04:14:12 ID:mmiHAEJA
今日は、R☆Sオケのオフ日だった。

昨日まで東京に接近していた台風は、結局関東地方に一度も上陸することなく太平洋側に逸れていった。
しかしゆっくりとした台風の進度に伴って前線を刺激したせいか、今日は朝から土砂降りの雨が降っていた。
せっかくのオフ日にこんな雨・・・そう思うオケメンバーも居るだろう。

---これは恵みの雨?
---それとも・・・。

俺は高速を走るタクシーの窓を叩く雨の雫の跡をじっと見つめながら、ぼんやりと物思いに沈んでいた。


今日は朝からハードスケジュールだった。
一日中マスコミ関連と言うか、取材関係の仕事で埋まっている。

・・・こういう仕事を、オケの練習がある日に入れて余計な気を散らしたくなかったから。
取材なんかは全部、オケのオフ日である今日に集中させてこなす事にしたのだ。

726 名前:「喪失」・35[sage]:2005/06/18(土) 04:15:00 ID:mmiHAEJA
今日は、主に新聞各社の音楽欄のコラム等の取材が一番のメインで。
駆け出しの指揮者とオケの特集を、思った以上に大きく組んでもらったりしていて・・・本当に有難い事だ。
取材を受ける先は音楽系雑誌はもちろんだけど、情報系の男性誌や何故だか女性誌も何社か入っていた。
でも俺にとっては、これらはほとんどR☆Sオケの為の仕事、という位置づけだ。
何故ならば・・・本来なら引き受け(たく)ない仕事内容もあったからだ。

男性向けの、とある雑誌の撮影では・・・。
松田さんと絡みでスーツやフォーマルや私服なんかを何着も着させられた・・・。
松田さんは、カメラ目線でノリノリだったけれど・・・。俺はとにかく恥ずかしさを堪えるので精一杯だった。

---くそっ!!エリーゼのヤツ、本当に俺を馬車馬の様に働かせやがって・・・!!!

メディアと言えば、3日後にはあるテレビ番組にも宣伝を兼ねて出演予定だ。
これは、夜のニュース番組の特集で特別ゲストとして、ということらしい。
実はこれも松田さんと一緒の仕事だ。”新進指揮者二人の競演”が、メディア受けしたのかもしれない。
・・・ある意味、峰の目論見は十分に成功しているようだった。

この番組は初老の切れ味たっぷりの有名キャスターを冠し、だから日本ではとても人気がある。
俺も確かに楽しみではあるけれど・・・ライブだから、何が起こるか想定できなくて不安だった。
何しろ一緒に出演するのが、松田さんだからな・・・。

727 名前:「喪失」・36[sage]:2005/06/18(土) 04:15:35 ID:mmiHAEJA
---つまり、そんなこんなで。

朝から、何回も同じ質問に同じ答えを繰り返したり、何回も着替えさせられたり、何回も髪を弄られたり・・・。
とにかく夕方まであっという間に経っていた。
もう最後の方は、慣れない事に対する気疲れを遥かに通り越して、ダウン寸前だった・・・。

午前中から入れすぎた取材の時間が押したせいで、
5時前の今でも、まだある女性誌1社の取材が残っていた。
本当ならば、もう今日の取材は終了する時間だった。

俺はのだめの病院に行く為に、その社の担当の人に頼み込んで、何とか今日の取材を切り上げて貰った。
撮影は何とか済ませたので、インタビュー部分のみ明日のオケ練の合間に取材、と言う形になってしまった。
まぁ、それは・・・止むを得ない。

とにかく午前中に買い物に行く時間も無かったので、俺はオリバーにある物の購入を頼んでおいた。

マネージャーだから、このスタジオの何処かに居るはず・・・と思い探すと。
目を凝らしてよく見れば、薄暗い撮影スタジオの隅の方で、場違いな程大きなシルエットが見える。
・・・オリバーだ。
俺は壁を背にして立っている彼に声を掛けた。

「オリバー!」
「あ、千秋。頼まれていたもの、買って来たよ!コレでいいのカナ?」

728 名前:「喪失」・37[sage]:2005/06/18(土) 04:16:41 ID:mmiHAEJA
オリバーは今回俺のマネジメント担当で一緒に来日している。
日本だから別に俺一人でも大丈夫だったのだが・・・。
今回、オリバーが俺と一緒に行くと言って、珍しく強く主張して譲らないので、連れて来たんだけど。
・・・どうやら実は、観光目的のようだ。
そういえばこの前日本に来た時は、あのスケベ巨匠の捕獲役だったしな・・・。

「ああ、これでいいんだ。サンキュ!よくちゃんと買えたな。」
「日本人の女のコってみんな優しいね。困っていると、向こうから声掛けてくれた。」
「そっか・・・?まぁ。今日は俺も仕事終わりだから。オリバーもホテルに戻るなり自由にして。」
「Ya!じゃあ千秋、何かあったらいつでも連絡してくれ。」
「うん、お疲れ。買い物、本当に有難う。」
オリバーは気にするなとばかりに手を振って歩いていく。手にはもうしっかり日本のガイドブックを持っていた。

---後ろからチラッと覗いた感じでは、あれは今夜は六本木に行くつもりだな・・・。
---これもあのエロジジィの影響か・・・。(ため息)

鼻歌交じりでスタジオ内をオリバーは闊歩していく。
途中すれ違ったアシスタントの女の子が、
不気味なモノを見たかのようにギョッとしたのが遠くから見ててもわかり、とても可笑しかった。

729 名前:「喪失」・38[sage]:2005/06/18(土) 04:17:12 ID:mmiHAEJA
今日は昨日より早く行く予定だったのに、またしてもこんな時間になってしまった。
それでも何とか電車とタクシーを乗り継ぎ、面会時間終了ギリギリの30分前に病院に着く。

昨日は朝に一度会っていたから、夕刻の面会は時間が少なくてもよかったけれど。
・・・今日はまだのだめの顔を見ていない。
なるべく毎日顔を見せて、一日も早くアイツの記憶が戻るきっかけになればいいのだけど・・・。

のだめの病室のあるフロアに上がると、休憩所に見知った面々が居るのに気が付いた。

・・・峰達だ。
そういえば今日見舞いに来るって言ってたな・・・。アイツ等まだ居たのか・・・?

見舞いに来てるのは、峰、真澄、それから鈴木姉妹の4人と。
そして・・・昨日はまだいなかった黒木君も、今日は来ている。
どうも、皆で何やら休憩所の窓側の方でかたまって話し込んでいる。
全員窓の外を見ながら後ろ向きだから、俺がその後ろに来ているのにまだ誰も気が付いていないようだ。
俺が皆に声を掛けようとしたその時、ぼそぼそと喋る、峰達の話し声が聞こえてきた。

730 名前:「喪失」・39[sage]:2005/06/18(土) 04:17:47 ID:mmiHAEJA
「・・・のだめ、マジで何も覚えてないんだな・・・。」
「本当に・・・。真澄ちゃんからは話聞いてたけれど、やっぱり結構ショックよね・・・。」
「千秋さまかわいそう・・・。」
「バカバカバカ!!・・・バカのだめっ!ううう・・・。」
「真澄ちゃん、泣くなよ〜・・・。オレだって泣きたいの我慢してんだからよ〜・・・。」
「・・・ハンカチ。僕のでよかったら使って・・・?」
「・・・っひっく。ありがとう・・・。」
「・・・けどさ。アイツの中じゃ、今5年前なんだろ?
って事はさ〜、そうなるとオレはまだ皆と同じ2年で、ナント!留年してねーんだよ!!
・・・ちょっとだけ、オレ、のだめン中の世界に戻れたらいいなぁ〜ってそう思っちゃっ」
「ちょっ!ちょ、ちょっと、龍っ!!」
俺が背後にいるのに真澄が一番早く気が付き、慌てて小声で峰を制止した。

「あっ・・・ち、千秋!?何時からそこに?!い、居たのか・・・?」
「あーうん。今来た所。みんな大雨の中、ありがとな。わざわざこんな遠くまでのだめの為に・・・。
せっかくのオフ・・・潰してすまなかった。」
俺は峰達の話には気が付かなかった振りをして話し続けた。でも皆、顔を合わせて気まずそうにしている。
「もう、のだめに会ってくれたのか?」
「あ、ああ!今さっき、のだめの病室から出てきたばかりなんだ。み、みんなで・・・っな?」
「そ、そうなんです!千秋さま。のだめちゃん、意外と元気そうで安心しました!」
薫が峰をフォローするかの様に、早口で慌てて付け加えた。

731 名前:「喪失」・40[sage]:2005/06/18(土) 04:19:05 ID:mmiHAEJA
「でも、ビックリしただろ?アイツ、本当に綺麗サッパリ記憶喪失になってて。」
そう言いながら俺が笑うと、かえって逆効果だったのか、皆黙したまま俯いた。

「・・・びっくりと言うか、僕は正直、胸が押し潰される様にとても苦しくて・・・辛かった・・・。
恵ちゃんとついこの間、室内楽を一緒にやったばかりだったから・・・。」

黒木君は切なそうな瞳で、素直に心情を吐露した。
それはとても・・・、とても黒木君らしい誠実で人間味のある言葉だった。

「・・・俺、今からのだめの病室行くんだけど、お前らも来ない?」
「え、オレ達、一緒に行っていいのか?」
「もちろん。っていうか・・・その方が助かるよ。
・・・俺ものだめと二人きりだと、まだちょっと・・・その、ぎこちなくて・・・さ。」

俺も黒木君を見習う事にした。
そうだよな・・・。なるべく、こいつらの前では自分を偽りたくない。
音楽を一緒に頑張ってきた、かけがえのない同士なんだから・・・。

「おっしゃー!じゃあもう一度、みんなでのだめの所行こうぜ!!」
峰は張り切って先頭を歩き出した。

732 名前:「喪失」・41[sage]:2005/06/18(土) 04:20:25 ID:mmiHAEJA
昨日と同じようにドアを三回ノックすると、はーいとのだめの声が聞こえた。
よかった・・・。今日も元気そうだ。

俺達が中に入ると、のだめはすぐに驚いた顔をした。
「あれ?千秋先輩・・・と、皆サン?さっき帰ったんじゃ・・・?」
「そこのロビーで、ちょうど帰る所の峰達に会ったんだ。
せっかくだからまた一緒にお前のとこ行かない?って俺が誘ったんだ。」
説明してやると、のだめは納得したのかうんうんと頷いた。
「そでしたか。のだめ、今日はもう、千秋先輩は来られないのかなー?って思ってました・・・。」
「待ってた?・・・遅くなって、本当にごめんな。」
「いえ!遅くなんてそんな事・・・。今日もやっぱり来てくれて、とってもうれしいデス!」
「おい・・・。アツい・・・。この部屋、ものすンご〜くアツいぞ・・・。」

峰がわざとらしく手で額を拭い、Tシャツの胸元をパタパタとやった。
黒木君は両頬を染めて、俺達から目を逸らしているし・・・。
鈴木姉妹の方はと言うと・・・。
ハンカチを口で噛み締め”キィー!”っとやっている真澄を両サイドから宥めていた。

---っていうか、そ、そのハンカチ、黒木君のじゃ・・・?

「そだ!のだめ、千秋先輩にお伝えすることがありマス!」
のだめは何か良い事があったのか、嬉しそうに明るく笑った。
「明後日の退院、山口先生が明日にしてもいいですヨって!だから、のだめ、明日退院することにしました。」
「え?そうなの?山口先生が?・・・もう退院して本当に大丈夫なのか?」
「はい!そうなんデス。
身体の方はもう大丈夫なんで、病院にいるよりお家のほうがリラックスしやすいでしょうって。
毎日通院してくれれば明日退院してもかまわない、てそう言われたんデス!」

733 名前:「喪失」・42[sage]:2005/06/18(土) 04:21:14 ID:mmiHAEJA
俺は、オリバーに買って来て貰った紙袋を見ながら呟いた。
「それじゃコレ・・・いらなくなっちゃったな・・・。」
「えっ?なんですかー?これ、のだめにデスか?」
俺がのだめに紙袋を渡すと、のだめははしゃいだ声を出して袋を覗き込んだ。
「ふぉぉぉ・・・!綺麗にラッピングしてあるぅー!先輩、開けてもいいデスか?」
「・・・うん。」
のだめは紙袋から包装された箱を取り出すと、
マーブルピンク色の包装紙を破らないように慎重にシールを剥がしている。
「わぁーー!何々?何が入っているの、のだめちゃん!」
「いいなー!千秋さまからのプレゼント、わたしも欲しい!!」
萌と薫も顔をくっつけるようにして包装紙を開けるのだめの手元を見つめていた。

「・・・あ!コ、コレ・・・!」
のだめは放心したように呟いた。

『きゃーー!カーーワーーイーーイーー!!』(←双子シンクロ中)
「あらヤだ、トイピアノじゃないの。しかもちゃんと黒のグランドピアノ!!」
何故だか鈴木姉妹と真澄が、のだめ以上に俺のあげたトイピアノで盛り上がっている。

「ほら入院中、暇かなって。それにお前、ピアノにも触れてないし。
代わりにはなれないけど、ま、気分だけでもどうかな?って。おもちゃだけど一応ちゃんと音出るし。」
「あ、ありがとうございマス・・・。のだめ、大事にしますネ・・・。」
のだめがトイピアノを宝物を扱うように両手で抱えた。
「でも明日退院なら、もう明日には本物に触れるな。ま、それまでの繋ぎって事で?」
---タイミングは・・・あれだったが、のだめが喜んでくれている様だから、まぁヨシとするか。

734 名前:「喪失」・44[sage]:2005/06/18(土) 04:22:06 ID:mmiHAEJA
「ほら、真澄ちゃん見て!このトイピアノ、ちゃんと上が開くの!」
「本当ねぇ〜。いっちょまえに”グランドピアノ”なのねぇ?」
「ねね、のだめちゃん、何か弾いてみて!」
萌のリクエストにのだめは照れながらトイピアノに向かう。
「ええと・・・、じゃあ、こんなのどうですカ?」

---キラキラ星だ・・・。

小さなトイピアノに不釣合いな程、大きなのだめの手。
四苦八苦しながらも器用にメロディを奏でるその姿を見て、何故だか急に胸が切なくなった。

---暖かいはずのトイピアノの音が、俺には何故か悲しい音・・・?
---何故・・・なんだ・・・?
---トイピアノの音が・・・どこか感傷的だからか・・・?

俺にもよく・・・自分の気持ちが分からなかった。

暫くその理由を考え込んでいると・・・ふと、左から誰かの視線を感じた。
顔を上げると・・・それは峰だった。
峰は、何時もだったらありえないほど神妙な顔で、俺をじっと凝視していた。

俺は慌てて表情を戻した。もしかして見られたかもしれない、俺の困惑を・・。
変な所でコイツ、妙に勘がいいからな。気を付けないと・・・。

735 名前:「喪失」・45[sage]:2005/06/18(土) 04:23:23 ID:mmiHAEJA
俺はとにかく誤魔化して・・・何事もなかった様に、のだめ達を見やる。
するといつの間にか真澄が自分の両手の人差し指をマレットに見立て、
マリンバよろしくトイピアノを叩いていた。

「きゃーー!さすが、真澄ちゃん!打楽器の女王!大天才ーーー!」
「ムキャーーー!茶色の小びんーーー!!」

---っていうか、トイピアノは打楽器じゃねぇだろ・・・。

「そうだ・・・。わたし達もおもちゃのピアノ、昔買って貰ったよね?」
萌は、思い出に浸る様にうっとりと遠い目をしていた。
「うん。ケンカしない様にって・・・おもちゃのトランペットとセットでね?」
そこで二人はもの凄い勢いで千秋の方に振り返った。

「でも聞いてください、千秋さま!私達、ピアノよりトランペットの取り合いだったんです!」
「そうそう。ピアノが一つしかないと喧嘩になるからって、付け足しで買ったトランペットの方が!」
二人はお互い頷きあい、見つめあい、とても楽しそうだ。
双子ってこういう時、面白い位シンクロするするものなんだな・・・。俺は心の中で妙に感心していた。
「へー。そうなんだ?」
「じゃあ、アレか?もうその頃から、萌と薫は”吹きモノ専門”だったって事か?」
峰がそう言うと、二人は”やだ!そうかもー!”とその指摘を嬉しがっていた。
真澄も峰も、そして俺もそれにつられるようにして一緒に笑った。
「・・・あのさ。もう面会終了時間を過ぎているみたいなんだけど?」

736 名前:「喪失」・46[sage]:2005/06/18(土) 04:24:03 ID:mmiHAEJA
それまで黙って皆の話を聞いていた黒木君が言い難そうに口を開いた。
時計を見ると・・・面会終了の時間をすでに10分もオーバーしていた。

「あれー?ここって、面会時間が終わるのを知らせるアナウンスってないのか?」
峰は”普通、あるもんだろ?”と言いながらのだめに尋ねた。
「アレが流れるのは一部の病棟だけなんです。この階はそーゆー音、流しちゃダメなんだそうデス。」
「へーそうなのか。」
「・・・入院してるのだめが言うのもなんデスけど・・・頭の患者さんは色々デリケートですからネ・・・。」
のだめは態と声を潜め真面目な顔をして峰に囁く。そして次の瞬間、”にしし”と笑った。
「のだめ・・・。言っとくけど、それ、全然笑えないぞ・・・?」
「ぎゃぼ!!」
「まぁまぁ・・・。でも恵ちゃん、明日退院出来て良かったね。しばらくは千秋君の所でゆっくりするの?」
黒木君はのだめに聞きながら、でも視線は俺の方だ。え?黒木君、俺に対するその目は一体・・・?
「え、と。そう・・・なるんですかネ?どうなんですか?千秋先輩。」
「だって、恵ちゃんの実家は確か福岡だよね?
暫らくは病院に通院しなくちゃいけないんだし、もちろんこっちにいるんでしょ?」
「・・・もうすでにお前の荷物はうちの客間にあるから。・・・その・・・いつも通り・・・。」
黒木君の妙に迫力ある視線に耐え切れず、つい正直に答えてしまった。
「いつも通り・・・デスか?」
「・・・うん。」

あーくそー!
皆の好奇な視線を物凄く感じる中、何か一人で照れているのが馬鹿みたいだ・・・。

737 名前:「喪失」・47[sage]:2005/06/18(土) 04:25:22 ID:mmiHAEJA
「・・・だそうですヨ。えと、・・・く、黒木君?」
「僕の楽器は・・・?」
「・・・オーボエ?」
「うんうん、ちゃんと合ってるよ。恵ちゃん。」
黒木君が目を細めて優しく微笑むと、のだめもそれにつられてふわり、と笑った。

「じゃー、そろそろ帰るか。俺らも明日から練習再開だしなっ!」
峰の一言で皆がドアの方へ歩みを進める。
「のだめちゃん、またね!」
「体調良かったらオケのリハーサル、見学しに来てね!」
鈴木姉妹はドアのすぐ側で振り返って二人で一緒に”待ってるからね!”とのだめに言った。
「ハイ!必ず!」
「じゃーね!ちゃんと体治すのよ、のだめ。そ・れ・と、千秋さまに迷惑かけるんじゃないわよ!」
「うぎ・・・。気をつけマス。」

俺が最後に病室を出て行こうとした瞬間、のだめが思い出したかのように叫んだ。
「あっ!千秋先輩!このピアノ、ホントにホントに、ありがとうございましタ!!」
「ん・・・。じゃーな!また明日。」

俺達はそのままのだめの病院を後にした。

738 名前:ショコラ[sage]:2005/06/18(土) 04:29:50 ID:mmiHAEJA
すいません。ナンバリング43飛ばしました。だめだめだ。
この辺りで話が区切れるので区切りました。
この話で一番明るい部分かも。

後は、鋭意推敲中ですので、気長に待ってくださると嬉しいのですが。
(誤字脱字が多いので。)では・・・。寝ます・・・。

739 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/18(土) 07:57:43 ID:9LgR+Tuc
キタ―(゚∀゚)―!
乙。続きお待ちしておりますね。

740 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/18(土) 08:07:57 ID:zS/oLwwU
乙鰈です〜
続きを楽しみにしていますね!

741 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/18(土) 16:05:10 ID:MyHwMmV9
続き、待ってます!!

山口先生、なんだかイイワァ(*´∀`*)

742 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/19(日) 00:31:04 ID:hhDURsL+
続き気になる…(ワクワクテカテカ

ちなみに、スレ容量が気になっているようなので。
ここまでで394KB。あと100KBちょいありますね。
様子見ながら次スレ考えましょう。


743 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/19(日) 06:48:43 ID:JMEaKXC8
一気に読みました。
面白い!面白いよー!萌えたーー
続きが楽しみです!!


744 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/19(日) 19:30:10 ID:9gELQ/WC
今日中に続きよめるかな(>_<)

745 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/19(日) 21:25:13 ID:ibgxzfYI
ショコラさん待ちのところすみません。
新作できたんですが、投下してもよろしいですか?
ただメモ帳で63KB、計算すると60レス近く使用するかと思うので、
このスレに投下するかどうか、ちょっと迷っています。
次スレが出来てからにした方がいいですか?

746 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/19(日) 21:40:14 ID:lIeGMgeD
早く読みたいけどショコラさん切れるかな?

747 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/19(日) 22:10:17 ID:CI1QLNUY
>>745さまの新作、ぜひ読みたいです。
ショコラさまのは「次スレへ続く」になってもいいんじゃないかと思えるほど
超大作大河ロマン(!?)だと思うので。
新作いっぱい読めて嬉しい。お願いします!

748 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/19(日) 22:27:58 ID:mxoAabgZ
もう新しいのをたててしまったら?ダメなのかな?

749 名前:745=ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:31:35 ID:ibgxzfYI
あ、どうしましょう。
計算したらやはり60レスあったので、半分にわけてもいいのですが。


750 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/19(日) 22:38:13 ID:mxoAabgZ
じゃ、とりあえず、キリのいいとこまで投下してみてもらえますか?楽しみです!

751 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/19(日) 22:39:32 ID:JOs0nsUM
ヴァイオリンさんの見たいです!
次スレたてて半分ずつとか?
とにかく一気読みしたい・・欠乏症はもういやん。

752 名前:ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:41:12 ID:ibgxzfYI
お久しぶりです。ヴァイオリンです
お言葉に甘えまして、新作を投下させていただきます。
ただ、60レス近く使いそうなので、状況によって半分に分けて
新スレに投下するかもしれません。
ショコラさん、続き楽しみにお待ちしています。

一応、以前投下したクリスマスの話の続きという設定にしていますので、
本誌のノエルとは異なっていることをご了承下さい。



753 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:42:49 ID:ibgxzfYI
時間旅行

■■1

強い北風が窓に叩きつけるように吹き抜け、千秋は思わず立ち上がって窓の外を眺めた。
風に揺れるミモザが月光に照らされ、黄金色に光輝いているのが見える。

「春一番か……」
千秋は小さく呟いた。

そういえば、今朝ジョギングしに行った公園で、小さな赤い花が咲いていたっけ……。
ふと、そんなことを思い出す。

去年の今頃はまだ日本にいて、のだめのコンセルヴァトワールの入学試験の結果を
やきもきしながら待っていた。
だからこうしてパリで春一番を迎えるのは、子供の頃以来になる。

昔もこんな風に、この部屋の窓にかじりついて、春の到来を見守っていたっけ……。
そんな幼い頃の自分を思い出し、思わずクスリと笑みが零れた。
千秋は再び書斎の椅子に腰掛け、いつも通り就寝前の日課をこなそうとしたが……。

「先輩、何してるんデスか?」
その声の主によって、妨害されてしまった。

風呂上りののだめが、濡れた髪をピンク色のバスタオルで拭きながら、
千秋の手元を覗き込んでいる。

「こら!勝手に見るな!」
千秋は、慌てて右手で手元を隠しながら、左手の親指と人差し指とで
のだめの額をコツンと弾く。


754 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:44:13 ID:ibgxzfYI
■■2

「ぎゃぼー!酷いデス〜先輩!」
弾かれて少し赤くなった額を掌で撫でながら、のだめは抗議の声を漏らした。

「勝手に人の日記を覗いたバツだ!」
千秋は溜息をつきながら、書きかけていた日記帳をパタンと閉じる。

いつもはのだめが風呂に入ってる間に終わらせるのだけれど。
今日は春一番に気を取られ、つい長引いてしまったのだった。

「日記なんて、先輩つけてたんデスねー。知りませんでした」
ちょっと意外そうな顔をしながら、日記帳をみつめる。

「まあ、おまえの前では書いたことなかったからな。
 パソコンでつけてもいいんだけど、なんかこっちの方が落ち着くんだよな……」
千秋は、手元の日記帳をみつめる。

背表紙に2005年と書かれ、立派な装丁が施された紺色の日記帳。
鍵付きで、いかにも真面目そうなそれはまるで―――

「先輩みたいですね♪」
そっと、日記帳のカバーをそっと触りながら、クスリとのだめは微笑む。

「はあ!?なんだよそれ……」
「別に、何でもないデスよ♪」
のだめは、千秋が日記帳に鍵をかけ、机の引き出しにしまうのをみつめながら、
笑顔で答えた。

「先輩、もしかして毎日つけてるんですか?」


755 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:45:04 ID:ibgxzfYI
■■3

「まあな。もう習慣になってしまったし、勉強とか練習内容とか、
 そういうのを後で自己管理するのに色々便利だしな」
 
のだめが傍から離れないため、千秋は日記の続きを書くのを諦め、
総譜を出してきて、勉強を始めた。

「そっかー……先輩もつけてたんですねー、日記」

……ん?先輩も……?

「なあ、もしかしておまえもつけて……」

「もしかして、これって全部日記帳ですか?」
のだめの感嘆の声が、千秋の言葉を遮った。

振り返えると、のだめが書斎の棚を眺めていた。
そこに置かれているのは、日本から送ってもらった今までの日記帳。

「スゴイですねー、1列全部そうですか?ほわぁ…1984年からありますよ〜!」

のだめが手にしていたのは、オレの3歳の時の誕生日プレゼントにもらった日記帳で。
思えば、この時から今までずっと日記をつけていたことになる。

「この棚の日記帳が、今までの先輩の歴史なんですね!」

千秋真一伝記デスねー♪なんてのだめが嬉しそうに呟いている。


756 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:46:18 ID:ibgxzfYI
■■4

「先輩、あの……」
「ダメだ!」
「のだめ、まだ何も……」
「おまえのことだから、中身読みたいとか言うんだろ?プライバシー侵害だぞ!」
「先輩、ツレナイですねー。妻なのにー!」
「誰が妻だ〜!!」

いつも通りの、夫婦漫才を繰り広げる。

「言っとくけど、オレの留守中にこっそり見ようなんて思うんじゃねーぞ?
 全部に鍵がかけて、みんな金庫に入れてるし、あきらめろ」

「先輩のケチー!」
ブーとのだめがふくれっ面を見せる。

そんな子供っぽい仕草も、なんだかとても、可愛い。

千秋は、総譜をチェックしながらも、横目でちらりとのだめを見る。
のだめが身につけているのは、日本から送られてきた洋子さん新作の、
シルク素材の淡いピンク色のパジャマ。
なぜか、ボタンを全部止めても、胸元が必要以上に開いているという、
摩訶不思議な寝着で。
おかげで、さっきから襟元から桜色のレースのブラジャーが見え隠れし、
なんだか、落ち着かない。

そんな千秋も、洋子さん新作の、水色のシルク素材のパジャマを着ていた。
いわゆるペアルックというやつで。
最初は、こんなもの着れるか!と激しく抵抗していた千秋ではあったが……。


757 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:47:26 ID:ibgxzfYI
■■5

「しょうがないですねー。じゃあもったいないから、
 黒木くんかユンロンにあげましょうか……」
などとのだめが言い出したため、渋々着ることにしたのだった。

まったく、他の男とペアルックになんかさせられるか……!

しかも、そのパジャマはご丁寧に色違いで着替え分も用意され、
毎日洗濯できるようになっていた。

何考えてんだ?あの家族は……普通は大事な娘の彼氏に、
『嫁入り前の娘に悪さをするなよ!』
と釘を刺すのが普通だろ?

まあ、実際その大事な娘さんとやらに、毎晩悪さしまくってるオレが、
こんなことを思うのは筋違いなんだけどな……

思わず、苦笑いを零してしまう。

「ねぇ先輩?先輩が生まれたのって何年でしたっけ?」
ふいに、のだめが尋ねてくる。

「1981年の2月17日。この間誕生祝いしてくれたばっかりだろ?
 それくらい覚えとけよ……」
もう忘れられたのかと、内心ちょっとがっかりしながら千秋は答えた。

「じゃあ……のだめと先輩は同じ年に生まれてるんデスね?」
「え……?おまえって……」
「1981年の9月ですよ。先輩とは約7ヶ月しか変わらないんですよね♪」
「……あ」


758 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:48:34 ID:ibgxzfYI
■■6

今まで特に気にしてなかったけれど、それってもしかしたら……。

「先輩がもう少し遅く生まれていたら、先輩とのだめは同級生だったんですよネ?」
ハイテンションにのだめがはしゃぐ。

「オレは何ヶ月母さんのお腹の中で待機しないといけないんだ……」
思わず、苦笑いを零す。

でも、そうだな。
そんな風に考えると、なんか不思議な感じがする。
こいつとは出会ったときから、当たり前みたいに先輩と後輩の関係で。
でも……。

「もしかしたら千秋先輩は、“千秋先輩”じゃなかったのかもしれないですネ♪」
「もし先輩じゃなかったら、なんて呼ぶつもりなわけ?」
「うーん、“千秋くん”とか?」
「調子に乗んじゃねぇぞ……」

苦笑い混じり言いながら、のだめの細い腕を掴んで引っ張り、
椅子に座りながら、抱っこするようにその柔らかい身体を胸の中に抱き締めた。
まるで熟しきったりんごのようになってしまったのだめが、たまらなく可愛い。

「せ、先輩!じゃあ千秋先輩は、みんなからなんて呼ばれてたんデスか?」
照れ隠しに、のだめが腕の中でもがきながら、必死に声をあげる。


759 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:50:25 ID:ibgxzfYI
■■7

「さあな……男からは“千秋”で女からは“千秋くん”とか“千秋さま”……だったかな?」
「子供の頃は、どんな風に呼ばれてたんデスか?」
「同じかな……欧州でも日本でも。まあ当然冠詞は変わるけどな」
「え……先輩って子供の頃、日本の学校に行ってたことがあるんですか!?」
のだめが目を丸くして振り返る。

「……そんなに驚くことか?」
思わず、苦笑いを零す。

「だってー、先輩ってこの家で生まれてから、ずっとこっちに住んでたんだって
 思ってましたヨ?」
「……オレ、そんなことまで話したことあったか?」
「うきゅ♪実は先輩のお母さんから……」
「やっぱり……」
千秋は小さく溜息をつきながら、話を再開した。

「まあ、ずっとこの家で住んでたんだけど、どうしても欧州から
 離れないといけない状況になったんで、日本に初めての帰国をしたってわけ」
「何か、あったんですか?」
「1986年4月26日……何が起こった日かわかるか?」
「……???……」
「チェルノブイリ原発事故……おまえだってそれぐらいは聞いたことあるだろ?」
「……そういえば……」
のだめがハッとしたような表情をみせた。


760 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:51:46 ID:ibgxzfYI
■■8

千秋が5歳になったばかりの春に、旧ソ連ウクライナ共和国で起こった、
原子力発電史上最悪の事故。
その事故が起こってすぐ、家族全員日本に帰国した。
もっともフランスは、欧州の中ではさほど影響なかったものの、
汚染された水や食物を摂取することを恐れ、結局3年間三善家に滞在したのだった
もっとも、父だけは仕事の都合で世界中を飛び回ってはいたが……。

「だからその日本にいる3年の間に、普通に小学校にも行ってたってわけ」

そういえば、こいつとこんな話しをするのは初めてかもしれないな……。

のだめを胸に抱きながら、千秋はふとそんな思いを抱いていた。
こいつが傍にいると、次々と懐かしい思い出がよみがえってきて、
ついつい饒舌になってしまう―――
それは、なんだかとても不思議な感覚だった。

「じゃあ、3年後にまたパリに戻ったんですか?」
「まあ、な。本当はドイツに住む予定だったんだけど、
 ベルリンの壁崩壊とか色々あったせいで政局が不安定だったし、
 結局ここには10歳まで暮らしてた」

「その時に、日本に帰国したんですか?」
「日本に帰国したのは12歳の冬。それまではウィーンに住んでたな……」

本当は……あの飛行機事故に巻き込まれなければ、ニューヨークに住んで、
音楽院に行く予定だったんだけどな……。

ふと、そんな苦い思い出が蘇ってくる。


761 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:53:02 ID:ibgxzfYI
■■9

「まあ、その後はずっと日本の三善の家に住んでたけど」
「高校生の時も、あの家に住んでたんですか?」
「いや……高校が東京だったしな。通えない距離じゃなかったけど、色々忙しかったし、
 それで1人暮らしすることにしたんだ」

「むきゃあ……昔からぜいたくな男だったんですねー」
「うっせー……」

2人顔を見合わせて、クスクスと笑いあった。

「おまえは……」
「むきゃ?」
「おまえはどうだったんだ?子供の頃とか……」
「……先輩に比べて、ちっとも面白くないですよ?」
「別に面白くなくていいから、聞かせてみろよ?」
背後から、そう優しく囁いた。

「えーと……東京で生まれて、9歳の時に辰男が会社をやめて大川に引っ越して、
 で、中学も高校も地元の公立へ行ってました」
「で?」
「……それだけデス」
「……本当に面白くないな」
「むきゃあ!だから言ったじゃないですか〜!!」
「ハハハハハ!」
白目で怒るのだめを見て、思わず気持ちよく笑ってしまった。


762 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:54:57 ID:ibgxzfYI
■■10

「なぁ、前から聞きたかったんだけど……」
すっかり拗ねてしまったのだめの頭を、宥めるように優しく撫でながら尋ねる。

「……なんデスか?」

そんな千秋の優しい仕草に、のだめはさっきまでの怒りも忘れ、
気持ちよさそうにしながら答えた。
そんなのだめはまるで、茶色の毛並みをした子猫のようだと思ってしまう。

「何で桃ヶ丘大学を受験しようと思ったんだ?九州にも音大はあるだろ?」
「えーとですねー、昔東京にいた頃に習っていたピアノの先生が桃ヶ丘大学だったんデスよ。
 のだめ、そのリカちゃん先生が大好きだったんで、大学に行くなら絶対桃ヶ丘にしようと
 思ってたんデス」

なんだよ、案外単純な理由なんだな……。

何か特別な理由を密かに期待していた分、内心ちょっとがっかりしていると、
のだめはまるで悪戯っ子のような目でこちらをみつめていた。

「なーんて、本当の理由はね、真一くん……」
のだめはクスリと微笑みながら、千秋の大きな手をきゅっと握り締める。

「本当の理由はね……真一くんに、出会うためだったんですよ?」
そう小さく呟きながら、のだめは千秋の大きな手を絡ませながら口元へ持って行き、
そっと、手の甲にキスを落とした。


763 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:55:42 ID:ibgxzfYI
■■11

反則だろう?それは……。
もしかして、誘われてる?
だとしたら……。

「お誘い、ありがたくお受けしますか……」
「……え?」
キョトンとするのだめが可愛くて可愛くて。
千秋は優しくのだめをみつめながら、両腕の力を強くしたのだった。


「……のだめ……」

そう耳元で甘く囁きながら、パジャマから覗いている、白いうなじにそっと唇を落とした。
半乾きの髪からキラキラと雫がこぼれ、いまだお湯で火照てる、少し湿ったうなじ。
それは気が遠くなるほど、とても熱く柔らかで……。
洗いたての身体からは、リンゴのような甘い甘いカモミールの香りが鼻腔をくすぐる。
思わず、強く強く抱き締めながら、顔中にキスの雨を降らせてゆく。

「……はぁ……せん、ぱい……」

熱く甘い吐息が自身の首筋に零れ、千秋はたまらずのだめの唇に触れた。
ふっくらとした、瑞々しい紅い唇。
それはまるで、熟しきったさくらんぼのように艶やかで……。

―――甘い―――

千秋は、その柔らかな果実を夢中に味わった。
舌を差し入れて、その柔らかな紅い舌を引き出し、甘い唾液をのせて絡めあう。
歯列を舌でなぞり、歯茎を舌で丹念につつく。


764 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:57:08 ID:ibgxzfYI
■■12

くちゅり、くちゅりと湿った音が静かな室内に響きわたり、2人は夢中で互いを貪りあった。
千秋はのだめを抱きかかえながら、その華奢な背中を優しく撫でながら強く強く抱き締めた。
のだめは千秋の首に腕をまわしながら、その艶やかな黒髪をくしゃくしゃに掻き廻す。

「……はぁ……」

長い長い口付けが終了しても、いまだ舌は湿った音を立てながら絡み合い、
ようやく甘い唾液が糸を引きながら、名残惜しそうに離れた。

「……先輩……」

のだめの目は、すっかり官能に支配されていて。
そんな熱のこもったのだめの目に、千秋の官能も完全に引き出されていた。

「……のだめ……いいか……?」

のだめの耳朶をそっと舐めながら、甘い吐息と共にそう囁くと。
のだめはその細い腕をぎゅっと首にまわし、小さな顔を千秋の首筋に埋めた。
それは、のだめからの合意のサイン。
その可愛らしい仕草は―――
千秋の欲望に火をつけるのに十分すぎるほどだった。

「……はぁ……セン、パイ……」

甘い甘いのだめの嬌声が、室内に響きわたる。
千秋は、のだめを背後から抱きかかえるようにして椅子に腰掛け、
パジャマの裾から右手を差し入れて、その豊満な胸を優しく愛撫する。
繊細なレース素材のブラ越しでもわかる、その柔らかさに……その豊かさに。
いつもながら、身震いするほど興奮する。


765 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:58:04 ID:ibgxzfYI
■■13

左手で細い腰を抱きかかえ、唇でパジャマ越しに背中を優しく愛撫しながら、
右手で早急にパジャマのボタンを外してゆく。
まるで剥ぎ取るように、シャツを脱がせ机の上に放り投げると、
そのまま白くシミひとつない滑らかな背中に唇を這わせる。
綺麗な桜色の、センスのいいレースのブラジャー。
そのホックを口で器用に外してしまう。

「……あぁんっ……」

のだめが甘い吐息を漏らすのと、パチンと小さな音を立てて、
豊かな胸が右手に零れ落ちるのがほぼ同時だった。
何度触れても信じられないほど柔らかな、のだめのバスト。
弾力があって、どこまでも瑞々しくて、まるで掌に吸い付くように、
しっとりと白く滑らかで……。

―――本当に、たまんねー……――

両手でたぷたぷと思う存分揉みあげながら、千秋の欲望はどこまでも増幅していった。

「……やあっ……セン、パイ……!気持ち、いいデス……」
悲鳴のような声をあげながら、のだめは可愛らしく身体を震わせる。

本当に、なんて可愛いんだろう……。

そんなのだめが可愛くて愛おしくて……。
心の底から愛しいと思う女をこの腕に抱く喜びに、千秋は心の底から
こみ上げて来る興奮を抑えることが出来なかった。


766 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/06/19(日) 22:58:28 ID:9gELQ/WC
まだかな〜。o(^o^)o

767 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 22:58:54 ID:ibgxzfYI
■■14

もっともっと、オレに夢中にさせたくなる。
もっともっと、オレだけを見ていて欲しくなる。
もっともっと、オレの傍に居て欲しいと願う。

どうしてオレは、もっと早くおまえに出会わなかったのだろう。
今までの彼女達とのセックスが、なんだったんだろうと思うほど、
オレはどうしようもなくおまえに夢中で。

もっと早く、おまえと出会いたかった。
もっと早く、おまえを愛したかった。
もっと早く、おまえを抱きたかった。

おまえと出会うまでに過ごした時間が、なんだかとても無意味に思えてくるけれど。

……いや、そうじゃない……。

オレはきっと……おまえと出会うために、
おまえのいない月日を過ごしていたのかもしれない。
この広い世界で、一度しかない、長いようで……とても短い人生の中で
おまえと出会うために、それまでの時を過ごしていたのなら。
それは―――とても奇跡的なことなのかもしれない。
もしも、時の女神というものが存在するのならば。
おまえとこうして出会えた奇跡を、オレは彼女に感謝したいと思う。

千秋は、滑らかな背中に情欲の証を刻みながら、両手ですっかり尖りきった乳首を、
コリコリと摘みあげる。
途端に、のだめが可愛らしく悲鳴をあげる。


768 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:00:41 ID:ibgxzfYI
■■15

「……やあぁん!センパイ!のだめ、変に、なりそうデス……!」

身体中が敏感になっているのだめは、ふるふると首を振りながら、
喜びに全身を震わせる。

千秋は、左手で胸への愛撫を継続させながら、右手でさわさわととのだめのお腹を
撫でながら、ヘソを優しく弄る。
そして、パジャマのズボンの中へそっと右手を差し入れて、
細く柔らかい太ももを優しく撫で上げる。
そして……そっと、彼女の秘部をショーツごしに触れた。
のだめは、待ち望んでいた刺激に一瞬ビクリと身体を震わせる。
そんな、のだめの可愛らしい反応を楽しみながら、千秋は人指し指と中指を揃えて、
可愛らしい蕾をグリグリと撫で上げる。
そこは、既にグッショリと熱く濡れそぼっており、すでにショーツは役目を
果たしていなかったが、ますます蜜が溢れ返り、右手を濡らしていった。

「のだめ……わかる……?もうこんなに濡れてる……」

「……やあっ……!お、ねがい……言わないで……」

千秋が耳元で甘く囁くと、のだめは恥ずかしくてたまらないといった感じで、
ふるふると首を振った。

こんなにも童顔で、まるで少女のように可愛いらしいのに。
身体はこんなにも淫らで。
こんなにもオレを欲しがっていて。
千秋はそのギャップがたまらなかった。


769 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:01:55 ID:ibgxzfYI
■■16

もっともっと、乱れているところを見たい。

ふいに、そんな欲望に襲われる。

千秋は、右手をズボンの中から引き抜くと。
のだめの腰を少し浮かせ、そのほっそりした足からズボンを剥ぎ取った。
机に放り上げると、指先でショーツのリボンを引っ掛けながら外す。
するりと引き剥がし、生まれたままの身体になったのだめの耳元に、そっと甘く囁いた。

「……オレも、脱がせてくれる……?」

すると、のだめは恥ずかしそうにしながらも。
千秋の身体から起きあがり、向かい合うようにして膝の上に座りなおした。
そして、千秋の肩に両手をかけ……そっと唇を重ねた。

のだめからのキス。
それは、とてもとても甘美で。
まるで口内全体が、とろけるように甘くなる。
2人は夢中になって、舌を絡ませあった。
歯列をなぞり、歯茎を舐めあげ、零れた唾液を追うようにして下あごを舐め上げる。
くちゅり、くちゅりと湿った音が響き、それだけで全身に甘い痺れが走った。

「……はぁ……」

零れる吐息はどちらのものかもわからず。
ただ夢中になって再び口内を貪り続けた。
ようやく唇を解放すると、自然と視線が交差する。


770 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:02:50 ID:ibgxzfYI
■■17

「……真一くん……大好き……」
「……うん……オレも……」

互いに、心情を吐露しあう。
心の底から嬉しそうに微笑むのだめが、可愛くて可愛くて。

こんなにも、こいつが愛おしい―――

のだめは、そっと千秋のパジャマに手をかける。
ひとつ、またひとつ、のだめの細く白い指先がボタンを外すたびに、
千秋の興奮は否応なしに高まっていった。

すべてボタンを外し終わると、そっと脱がし机に放り投げる。
そして……そっと千秋の細身だが、均整のとれた逞しい身体に唇を落とした。
上質の磁器のような滑らかな白い肌に、キスの雨を降らしながら、
両手の掌でさわさわと撫で上げる。
整った白いうなじに唇をよせ、強く吸い上げる。
たちまち、紅い華が千秋の肌に浮かび上がる。

それは……オレがのだめのものであるという、なによりの証。

「むきゃ……キスマークですね……」

嬉しそうに微笑むのだめが、本当に可愛くて。
千秋は夢中でのだめの紅い舌を絡め取った。


771 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:04:48 ID:ibgxzfYI
■■18

昔のオレなら、誰かに独占されたいなんて考えもしなかった。
誰かのものになんかなりたくなくて、執着されるなんて鬱陶しい以外の
なにものでもなくて。

オレの時間は、オレだけのもの。
オレの身体も、オレだけのもの。
オレの心も、オレだけのもの。

それが、オレにとっての当たり前の真実だったのに―――

おまえに、独占されたくて。
おまえに、執着されたくて。

こんな自分は、おまえと出会う前には考えられないことだったけど。
だけど……そんな自分も悪くないと思ってしまう。

オレのすべてをおまえにやってもいいから―――
だからおまえも、オレだけのものになって欲しいと願うのは……
オレのエゴなのだろうか?

のだめは、滑らかな掌でさわさわと千秋の引き締まった身体を撫でながら、
ふっくらとした柔らかい唇で、千秋の白い肌にキスの雨を降らしていく。
千秋の乳首を弄りながら、柔らかな舌で何度も舐めあげると、
ゾクリと鋭い快感が背中を突き抜けた。

「……はぁ……あぁ……」
思わず、甘い喘ぎ声が唇から零れてしまう。


772 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:05:47 ID:ibgxzfYI
■■19

「……真一くん……気持ちいいデスか……?」
乳首を執拗に舐めながらしながら、くぐもった声でのだめは問いかけてくる。

「……あぁ……最、高……おまえ、ホントに上手くなったな……」
柔らかな栗色の髪を何度も梳きながら、千秋は答える。

「むきゃ……のだめ、ちゃんと勉強しましたからね……」
クスクス悪戯っぽく笑いながら、のだめは上目使いで千秋の顔を見上げた。

「たく……結局上級編まで勉強しやがって……あ、の後、
 どれだけジジイにからかわれたか……」

「うきゅー……でも真一くだって、なんだかんだ言って、
すっごく楽しんでるくせに……」
勝ち誇ったようなのだめの顔が、なんだかムカつく。

クリスマスに、ジジイから貰った怪しいレッスンビデオ。
ジジイにのせられたのだめは、初級編、中級編をクリスマスまでに勉強したのだめは、
『のだめ魔性の女化計画』を実行したのだった。
その後、のだめは上級編までしっかり勉強したらしく、
夜毎、それを千秋に対して実践するのだった。
まあ、他の男に実践されても困るのだけれど……。


773 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:06:46 ID:ibgxzfYI
■■20

はじめは、主導権を握られるのは死ぬほど嫌な千秋だったが。
それもすべて、自分のためにしていることだとポジティブに捉えることにし。
なんだかんだいって、結局千秋もそんな『魔性の女のだめ』を、
思う存分楽しむことにしたのだった……。

「……真一くんの、ムッツリスケベ♪……」
「……うるせー、黙れ……」

思わずムカッとして、のだめの脇に手をやりこちょこちょとくすぐってやる。

「むきゃあ!し、真一くん!くすぐったいデス〜!」

「うっせー、お仕置きだ!」

きゃあきゃあと笑い声をあげながら、くすぐったそうに身をよじるのだめを
押さえつけて、さらにくすぐりを強くした。

「……もうっ!やだ、真一くん!」

あまりのしつこさに、ちょっと怒りながら身をよじって
千秋の手から逃れようするのだめを目にし。
千秋は急に不安に襲われる。
逃げようとするのだめの腕を掴み、強引に腕の中に拘束する。
ぎゅっと強く抱き締め、耳朶にそっと唇を寄せた。

「……バーカ……逃げんじゃねーよ……」
冗談めかして言いながらも、心はとても心細くて……。


774 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:07:51 ID:ibgxzfYI
■■21

オレから、逃げるな。
オレから、離れるな。
オレを、置いていくな。

まるで、母親に置き去りにされる幼い子供のように。
なんだか、不安で、心細くて。

こんな情けないオレを見られたくないのに。
だけど、同時に……おまえならかまわない思ってしまう自分がいて。
おまえなら、オレのすべてを受け入れてくれる……そんな気がするから―――

「……真一くん……のだめはどこにも、行きませんから……」

そっと、頬を両手で挟まれる。
のだめを見ると、とても優しい顔で千秋をみつめていた。
それはまるで、母親が幼い子供をあやすような、そんな優しい表情で。
その顔を見ているだけで、すっと……心がやすらぐのがわかった。

「……どこにも……ずっと真一くんの傍にいますから……だから、安心して下さい……」
「……うん……約束だぞ……?」
「……約束は、ちゃんと守りますから……だから、そんな顔をしないで下さい……」

そのままのだめは……千秋の額に唇を寄せて、そっとキスを落とした。
千秋は、そんなのだめを強く強く抱き締めた。

こんなにも、この腕の中の存在が愛おしくて。
ずっとずっと、守っていきたい―――大切な宝物のような存在。


775 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:09:33 ID:ibgxzfYI
■■22

「……めぐみ……」

そっと呟いて、のだめをみつめる。
ただ、名前を口にしただけなのに。
こんなにも……愛おしさが胸にこみ上げてくる。

「……おまえが、好きだ……」

優しく囁きながら、そっと口付けを交わす。
唇に触れているだけなのに……身体中が痺れるほど、気持ちがいい。

そっと唇を離すと、のだめはにっこりと微笑んだ。

「……大好き……真一くん……」
そう愛おしげに呟くと、愛撫を再開した。


千秋の足元に跪き、パジャマのズボンに手をかけ、
グレーのボクサーパンツと一緒に一気に引き下ろした。
そこから現れたのは、もうすっかり硬く熱くそそり立つ千秋自身。
のだめを求め、のだめだけを欲しがる千秋の欲望の証。

千秋は、ふいに見上げてきたのだめとみつめあう。
その瞳は熱く、官能に濡れていた。
千秋は小さくうなずくと、それを待っていたかのように、のだめはそれにそっと触れる。


776 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:10:40 ID:ibgxzfYI
■■23

それはドクドクと熱く脈打ちながら、まるで別の生き物ように、
のだめの手の中で蠢いていた。
のだめは、両手で屹立した陰茎を上下に何度もしごきながら、そっと唇を寄せた。
舌に唾液をたっぷりとのせ、最初はちろちろと舐めあげ……
くびれに重点的に舌を這わす。
徐々に口内に受け入れ、喉元寸前までまるで飲み込むように、
口内全体を使って強く強く吸い上げる。
これ以上ないほど硬くなった欲望を、右手を使って激しく上下にしごきながら、
左手で袋をやわやわと揉み上げた。

「……はぁ……のだめ……いいっ……!」

思わず、掠れ声が零れる。
快感が背筋を突き抜け、何度も訪れる激しい射精感をやり過ごした。
そして、目の前に跪くのだめをみつめる。
生まれたままの姿で、男の欲望を口に銜え、必死に愛撫するその姿を。

とても淫らで、いやらしくて。
こんな姿を見ることが出来るのは今までも、今も、そしてこれからも
オレだけなんだという事実に。
どうしようもないほど、心が喜びに満たされてくる。

おまえを、誰にも渡さない……絶対誰にも……!!

「……めぐみ……今度はオレの番……」
優しく髪を撫でながら、囁いた。


777 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:12:03 ID:ibgxzfYI
■■24

のだめを立ち上がらせ、テーブルの上に座らせる。
そして、足を大きく開かせた。
そこはもうキラキラと光る蜜が溢れ、零れた蜜がテーブルを濡らしていった。
千秋は、椅子に座ったままのだめの太ももを掴んで秘部に顔を寄せ……そっと口付けた。

「……やあぁん……!!」
敏感になっていたのだめはたちまち悲鳴をあげ、背中をのけぞらせた。

「……何?もういっちゃった……?」

くつくつと笑いながらのだめをみつめると。
のだめは真っ赤な顔で、快楽に溺れた表情をしていた。

「……だって……のだめ、もう……」
物欲しげに、腰を揺らしながらおねだりする。

「……まだまだ……これから……」

「……やあぁあん……!!」
さらに舐めあげると、のだめはたまらないといった感じでふるふると首をふった。

充血しきった、のだめの秘部。
泉に舌を差し入れ、溢れかえる蜜を音を立てて舐めあげる。
じゅるじゅると淫らな水音が響きわたり、それを聞きながらのだめは、
あまりの快感の凄さに身体を震わせた。

「……しん、いちくん……!のだめ、も、もう……!」
「……まだまだ……もっとだ……」


778 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:13:04 ID:ibgxzfYI
■■25

そう呟きながら、今度は泉の中に指をゆっくりと差し入れる。
1本……2本……3本……。
そこはどこまでも熱くきつく。
きゅうきゅうとどこまでも締め上げてくる。
激しく出し入れすると、じゅぶじゅぶと音を立てながらしぶきが飛び散り、
右手とテーブルを濡らした。
親指で、蕾をぐりぐりと刺激をし、3本の指で裏側のざらざらした部分を
強めに撫で上げる。

「……はぁあぁん……!真一、くん……!お願いっ!早く、入れて!」
とうとう、のだめは泣き叫びながら懇願した。

千秋はのだめの秘部から顔を上げ、のだめの両脇を掴んで抱きかかえながら、
再び椅子に深く沈みこむ。
そして、向かい合うのだめをみつめながら、頬を流れる涙をそっと、唇で拭い取った。

「……ゴメンな……?泣かすつもりはなかったんだ……」
優しく、のだめの柔らかな髪を撫でる。

のだめはふるふると首を振りながら、千秋の顔をみつめた。

「違うんデス……あんまり気持ちよくって……それで、
 なんだか自然に涙が溢れてきちゃって……のだめの方こそゴメンなさい……」

そう涙で濡れた瞳で千秋をみつめるのだめが、愛おしくて愛おしくて……。
おまえとひとつになりたい―――心からそう強く願う。


779 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:14:44 ID:ibgxzfYI
■■26

椅子に座りながら、引き出しからゴムを取り出し、手早く装着する。
そして、自分の膝の上に座るのだめの腰を浮かしながら、
これ以上ないほど膨張した欲望を、そっとのだめの秘部にあてがう。

「……めぐみ……いいか……」
そう、優しく耳元で囁く。

「……真一、くん……早く……」
いまだ、涙と快楽に濡れた瞳で、そう懇願される。
それだけで、もう理性完全に吹っ飛んだ。

「もう、限界……!」
うめくように呟きながら、一気に腰を突き上げてのだめの中を貫いた。

「……きゃあぁああん……!!」
「……はあぁあぁあ……!!」

互いの唇から、共に甘い嬌声が零れ落ちる。
余りの快感に頭が一瞬真っ白になりかけた。

もう何度も味わっているのだめの中は、まさに快楽のるつぼだった。
相変わらず処女のようにキツイそこは、熱く蠢く襞がうねうねと千秋自身に絡みつき、
きゅうきゅうとどこまでも締め上げる。
まるで別の生き物が住んでるかのようにねとねとと絡みつきながら、
ぐぐっと奥底までどこまでも吸い上げてくる。


780 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:16:20 ID:ibgxzfYI
■■27

それはまるで、底なし沼のようで―――

だけど、おまえとなら……どこまでだって堕ちたってたっていいとさえ、
思ってしまう。

こんな快感は今まで知らなかった。
こんなにセックスが気持ちいいものだとも知らなかった。

おまえとだから、きっとこんなにも感じるのかもしれない。
こんなにも愛おしいと思える女とのセックスだからこそ……
こんなにも感じるのかもしれない。

セックスは、本来は生殖行動の一種であり、
子孫を残すために、どうしても必要かつ必然な行為でしかない。
だから、雄は自分の遺伝子を残すために、複数の雌と交じりあうのは、
ごく自然な行為だと、どこかで聞いたことがある。

雌は優秀な雌の遺伝子を欲し、雄はより多くの雌に自分の遺伝子を残させようとする。

なのにどうしてオレは―――おまえしか抱きたくないと、そう思うのだろう。

神が人類を創造した時に、セックスに快感を与えたのは、
あくまで子孫を残すための御褒美のようなものだと、そう聞いたこともある。
あくまで子孫を残すのが目的で、快感はそのエサのようなもので。


781 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:18:05 ID:ibgxzfYI
■■28

だけどおまえを抱く時―――そんな自然界の摂理なんてどこかに吹っ飛んでしまう。
心も身体も……魂からひとつになりたいと思う女と出会える―――
それはとてもとても奇跡的なことなのかもしれない。

おまえと出会えた奇跡を、オレは神に感謝したい。

「……めぐみ……めぐみ……めぐみ……」

耳元で、何度も何度も甘く囁く。
その名を口にするだけで、心が甘く満たされる。
首にしっかりとしがみつくのだめを強く強く抱き締めながら、
激しく腰を突き上げ、熱く蠢くのだめの中を存分に味わう。

「……しんいちくん……しんいちくん……しんいちくん……」

まるでうわごとのように、何度も何度も愛しい名を呼ぶのだめが、
愛おしくてたまらなかった。
たぷたぷと揺れる、豊かな胸に頬ずりし、乳首を甘い噛みしながら舌で転がすと、
のだめの中がいっそう強く収縮して自身をどこまでも絞り上げた。

パンッ!パンッ!と激しくぶつかりあう肌の音も、摩擦音でクチュクチュと響く、
淫らな水音も、激しく絡み合う唾液の音も、すべてが2人を高みに押し上げていった。

「……しん、いちく、ん……のだめ……もう……」
限界に近づき、せつなげにのだめの瞳が揺れる。


782 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:19:09 ID:ibgxzfYI
■■29

「……めぐみ……まだ、だ……」

もっと、高みまで共に登りつめたくて。
だから千秋は動きを止め、のだめを身体を無理矢理引き剥がした。

「……やあぁあんっ……!」

抗議するかのように、のだめは小さく悲鳴をあげる。
のだめの中から無理矢理引き出した、千秋の欲望はのだめの蜜でぐっしょりと濡れ、
ぬらぬらと光っていた。
その淫靡な光景に、千秋は否応なしに興奮する。

「……のだめ、立って机につかまって……」

そっと腰がぬけかけているのだめを支えながら、
後ろ向きにしながら両手を机につかせる。
のだめが、耳まで真っ赤なのがわかる。
何をしようとしているのか、理解したのだろう。

「……バックで、いくから……」
そう呟くと、のだめは恥ずかしそうに俯いた。

「……や、だ……しんいち、くん……」
「……やなの?じゃあこれでやめる……?」

そんなこと出来もしないくせに、わざと意地悪く耳元で囁く。
すると、のだめは恥ずかしそうに、でも必死に首を横に振った。


783 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:20:19 ID:ibgxzfYI
■■30

「……い、や……お願い、だから……しんいち、くん……!」

そして、背中を伸ばして、尻を高く突き上げる。
それは、のだめからのおねだりのサイン。
そこから、キラキラと雫が溢れ、粘性を伴ったそれは太ももを伝い、
ゆっくりと重力の法則に従いながら床に向かっていく。

そんなのだめが愛おしくて、たまらなくて。
のだめのすべてを、手に入れたくてたまらない。

ゆっくりと、のだめの細い腰を掴む。
そして、欲望を熱い泉にあてがった。

「……入れて、欲しい……?」
「……あぁ、お願い……早く……入れて、入れて下サイ……!」

悲鳴のような声をあげるのと、奥底まで激しく突き上げるのがほぼ同時だった。

「……きゃぁああ……しん、いちくん……!!!」
「……はあぁあぁ……!!!」

同時に悲鳴をあげる。
途端に激しく収縮する膣内に暴発を必死にこらえ、激しく突き上げる。
円を描くように腰をまわしながら、小刻みに突き上げてゆく。

「あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!」

その動くにあわせて、のだめも短く悲鳴をあげる。


784 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:22:46 ID:ibgxzfYI
■■31

手を伸ばし、揺れる豊かな乳房を揉みしだく。
あいた手で2人の繋がりに手を伸ばし、蕾をぐりぐりと押しつぶす。
とたんに、

「きゃああああ!!」
のだめが悲鳴をあげた

パンッ!パンッ!と肌がぶつかりあう音も、ぐちゅぐちゅと泡立つ水音も、
絶え間なく零れる荒い息遣いも、すべては快感へと繋がってゆく。

おまえと、早くひとつになりたくて―――

千秋は身体を突き抜ける射精感に、限界を感じていた。

「……しんいち、くん……のだめ……」
「……オ、レも、限界……そろそろ……いくぞ……」

身体中の汗腺から汗が滝のように吹きだし、しだいに目の前が真っ白になってゆく。

―――身体が、溶ける―――

「……もう、ダメっ……し、んいちくっ……!!!」
「……うわぁああぁ……めぐ、み……!!!」

2人同時に限界を向かえ、悲鳴をあげながら一気に登りつめた。
千秋は、端正な顔を一瞬大きく歪め、己の白濁した欲望を一気に吐き出した。
全身が激しく痙攣し、それからじわじわと弛緩していった。


785 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:23:58 ID:ibgxzfYI
■■32

のだめを抱き締めながら、ずるずると床にへたりこむ。
甘い痺れが全身を駆け抜け、情事後特有の気だるさに襲われる。
千秋は、半ば呆然としながらも、のだめを後ろから抱き締めながら、
そっと汗に濡れたうなじにキスを落とした。

おまえと、ひとつになりたくて―――
この愛しいぬくもりを、ずっとずっと抱き締めていたかった。

「……しんいち、くん……だいすき……」
「……オレも……」

そっとみつめあい、舌を絡ませあう。
湿った音が響き、愛おしさがこの胸にじわじわとこみ上げてくる。

―――この世の誰よりも……おまえが、好きだ―――

のだめの中は、ゆっくりと弛緩しながらも、いまだにうねるように蠢きながら、
優しく千秋の欲望を優しく包みこんでいた。

「ちょっと、待ってろよ……」

千秋は、そう呟きながら机の上のティッシュに手を伸ばす。
そのままそっと、中に吐き出したものを零さないように注意しながら引き出そうとするが、
それはいまだにうねるように絡みつくのだめの中に吸い込まれており、
なかなか引き出せなかった。
押しのけるようにしてようやくずるりと引き出したそれを、ティッシュで拭い取る
そのあと、栓がなくなって溢れ出てきたのだめの膣口を、優しく拭ってやった。

まだ、朦朧としているのだめの身体をそっと起こしながら、優しく抱き締める。


786 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:25:04 ID:ibgxzfYI
■■33
「……ごめんな、ムチャさせて……」
すると、のだめは恥ずかしそうに俯いた。

「……ううん、とっても気持ちよかったし……また、惚れ直しちゃいましたよ……?」

そして、そして千秋の唇に口付けを落とした。
どこまでも、柔らかいのだめの唇。
快楽の余韻に浸るのだめの肌は、桜色に染まっていて。
とてもとても、綺麗だった。
そんなのだめに、そんな可愛いことをされると―――

「……あれ……?真一くん、また……?」
「いっとくけど、おまえが悪いんだからな……?」

恥ずかしくて、のだめの顔がまともに見られない。
でも、こんな風になるのは、相手がおまえだから……。
他の女じゃあ、絶対こんな風にならないから……。
きっとオレはもう、他の女を抱くことなんか出来ないのだと自覚する。

「しょうがないデスね……真一くんは本当に甘えん坊さんなんだから……」
くすりと笑いながら、千秋の身体をぎゅっと抱き締めた。

「……続き、お風呂でもいいデスか……?」
「……了解……お姫様の仰せのままに……」

クスクス笑いながら、おでこをこつん☆とくっつけあう。
そっと、のだめを抱き上げながら風呂場へ向かった。


787 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:27:10 ID:ibgxzfYI
■■34


「……リクエスト、何かあるか?……」
のだめをバスタブに下ろし、立ったまま耳朶を甘噛みしながら優しく囁く。

「……真一くんの、好きなようにして下さい……」
のだめは千秋の逞しい胸に顔を埋めながら、甘えるように頬ずりをした。

「……へぇー、じゃあ、お言葉に甘えて……」
その愛らしい仕草に、千秋はますます煽られる。

千秋は蛇口を捻り、シャワーヘッドを壁のタイルに向けた。
熱いお湯を勢いよく流れ出し、タイルと2人の汗と愛液で汚れた肌に激しく打ち付ける。
千秋はのだめを乱暴に壁に押し付け、激しく唇を奪った。

絡まりあう、柔らかな赤い舌。
どこまでも甘いその唾液には……きっと、オレの汗も混ざっているのだろう。
そう考えると、千秋は奇妙な支配欲に心が満たされるのを感じていた。

のだめをこんな風にできるのも、オレだけで。
のだめの心も身体も好きにしていいのも、オレだけで。
おまえは―――オレだけのものだ!

「……んっ……ふぅ……」

何度も何度も角度を変えて、のだめの口内を貪る。
肌にぶつかるお湯は白い湯気を立てながら、
そんな2人のすべてを包み込むように、流れ続けてゆく。


788 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:28:23 ID:ibgxzfYI
■■35

千秋は、のだめの口内を貪りながら、右手は柔らかな白い乳房を揉みしだき、
左手は先ほどまで2人が繋がっていた秘部への愛撫を始めていた。
ただでさえ、感じやすいのだめの身体は、先ほどまで高みに登りつめていたこともあり、
簡単に快楽に支配されてしまう。

「……やぁっ……しんい、ちくん……そんな、に乱暴に、しないで……」
「……いやか?……おまえ、言ってることと、身体の反応、まるで違うんだな……」

のだめの熱い愛液で溢れる秘裂に長く美しい指を挿し込み、
尖りきった乳首を舌で自在に転がし甘噛みしながら、くつくつと喉の奥で意地悪く笑う。
指を強めに出し入れすると、じゅぶじゅぶと愛液が飛び散り、お湯と混ざりあってゆく。
乳首をカリリッと強めに噛むと、とたんにのだめが切ない声をあげた。

「……やあぁあー!!いっちゃっ……!!」

のだめは白い喉をのけぞらせながら、手足を伸ばし、絶頂を迎えようとする。
すばやく、千秋はのだめの膣内から指を引き抜き、突き放すように身体を離した。

「……ひどっ!どうしてっ……!」

高みから放り出されたのだめは、涙目で千秋に抗議する。
そんなのだめに胸を痛めながらも、そんな残酷な自分に奇妙な興奮を覚えていた。

もっともっと、おまえを支配したくて。
もっともっと、オレに夢中にさせたくて。
もっともっと、オレだけを見ていて欲しくて。


789 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:29:32 ID:ibgxzfYI
■■36

こんなに自分が残酷だとは知らなかった。
こんなに自分が独占欲が強いとは知らなかった。

おまえと一緒にいると、いつも新しい自分を発見してしまう。
それはきっと、どんな自分を見せても。
きっとおまえは……すべてを受け入れてくれるから。

「……めぐみ」
のだめの頬にそっと触れ、涙に濡れる睫に優しくキスを落とす。

「……オレが、好きか……?」
甘く耳朶を噛みながら、そう甘く囁く。

「……はぁっ……す、きデス……」
千秋の首にすがりつくように腕をまわし、たくましい胸にキスを落とす。

「……もっと、言って……?」

まだ、足りない。
もっともっと……夢中にさせたい。

「……好きです、真一くん……」
「もっと……」
「大好きです……世界中の、誰よりも……」
「……オレが、欲しい……?」

そう甘く囁くと。
のだめは快楽に濡れた瞳で、切なげに千秋の顔をみつめた。


790 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:30:43 ID:ibgxzfYI
■■37

「……ほ、欲しいデス……」
「……じゃあ言って……?オレに抱いて欲しいって……」
そう言いながら、白い肩に口付けを落とす。

「……お願い……!抱いて、抱いて下サイ!」
のだめは、大きな瞳いっぱいに涙をため、叫ぶように言葉を紡いだ。

そんなのだめが、どうしようもないほど可愛くて愛おしくて。
すべてを手に入れたい―――その欲望に思考が支配される。

千秋は、備え付けの箱からいつものようにゴムを取り出し、手早く装着する。
そしてのだめを壁に押し付け、柔らかな太ももを抱えあげて、
これ以上ないほど硬くそそり立った千秋自身をのだめの秘裂にあてがい、前後に擦り付ける。
秘部が擦れあい、くちゅりと淫らな音が、シャワー音と溶け合う。

「……やあぁあん!……しん、いちくん、は、早く……」
十分すぎるほど焦らされたのだめは、腰を揺らしながら必死におねだりする。

「……めぐみ……おまえが欲しい……」
千秋は、のだめの大きな瞳をみつめ―――そして一気にのだめの膣内を貫いた。

「きゃああぁああんっ!!!」
「うぁあああぁああっ!!!」


同時に悲鳴をあげ、たがいに身体を激しく痙攣させながら高みに登りつめる。
のだめの膣内は火傷しそうなほど熱い蜜で溢れかえり、微細な襞が蠢きながら、
千秋自身にねっとりと絡みつきながら、激しく絞り上げるように強く強く収縮する。


791 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:31:45 ID:ibgxzfYI
■■38

やべ……気持ち、良すぎる……。

あまりの快感に、いつもながら暴発しそうになるのを必死に抑える。
そのまままるで、奪うようにのだめの舌を音を立てて絡めとり、
角度を変えて何度も何度も深く絡ませあう。

そのままのだめを壁に押し付け、打ち付けるように腰を振りながら、
激しく抽送を繰り返していった。

「……め、ぐみ……感、じてるか……?」
唇を解放し、零れる吐息を互いにかさねあいながら、大きな瞳を覗き込む。

「あぁっ!しんいち、くんっ……!すっごく、き、気持ちいいデスっ……!」
のだめは完全に快楽に溺れきった表情で、心情を吐露する。

そんなのだめが可愛くて可愛くて……。
千秋は、抽送を激しくしながら、空いている左手でのだめの胸を揉み上げ、
その柔らかさを心ゆくまで味わった。

さっき、思う存分抱いたばかりなのに。
さっき、おのれの欲望を吐き出したばかりなのに。
欲望は止まることなく、この身体から湧き出してくる。


792 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:32:56 ID:ibgxzfYI
■■39

「……めぐ、み……もう片方の足もあげて……あと、しっかり首にしがみついて……」

そう掠れ声で囁くと。
のだめは素直に、下ろしていた足を千秋の手に託してきた。
千秋は首に回した腕に力を入れさせ、両足を抱えあげて壁に押し付ける。
宙に浮いたのだめは、その細くて長い足を千秋の腰にまるで絡みつくようにしがみついた。

華奢だが丸みをおび、女性らしい身体つきをしたのだめは、けっして軽いわけではない。
しかし、毎日体力トレーニングを欠かさない千秋にとっては、
のだめの身体を抱えあげるということは、そんなに難しいことではなかった。

宙に浮いたのだめの全体重は、必然的に2人の繋がりに集中する。
千秋は、何度も何度ものだめを宙に突き上げ、落ちてくるのだめを自身で受け止める。
互いの粘膜が擦れあうたび、全身が痺れるような激しい快感が全身を貫いてゆく。

シャワーが肌に当たる音も。
艶やかな唇から零れる吐息の音も。
肌が激しくぶつかりあう音も。
互いの粘膜が擦れあう音も。
身体から溢れ出す、体液が混じりあう音も。

すべてが一体となり、溶け合ってバスルームに充満していく。

こんなに深い悦びは知らない。
もう、この身体を抱かずにはいられない。
この感覚が、身体に、セックスに溺れる―――そういうことなのかもしれない。


793 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:34:41 ID:ibgxzfYI
■■40

快楽に溺れる。
千秋は、ずっとそんな人間を軽蔑してきた。
理性が快楽に負けるなんて、まるで獣みたいじゃないか。
そんな人間には、けっしてならない―――心に誓っていた。

今までの、昔の恋人達とのセックスだってそうだ。
確かに、快感がなかったと言えば嘘になるけど。
だけど、どんな時にも常に冷静さを保っていられた。
身体に、セックスに溺れるということなど一度もなかったのに。

なのに、どうしてオレは。
こんなにも、この心も身体も、そうして魂でさえも。
おまえに溺れきってしまってしまうのだろう。

確かに今オレは、のだめの身体に、のだめとのセックスに溺れている―――
そう認めざるをえなかった。

「……めぐみ……」
「……しんいちくん……」
互いに、愛しい名前を呼び合い、みつめあう。

「……いっしょに……」
「……うん……」
それ以上は、言葉を紡がなくてもわかる。


―――いっしょに、溶けてひとつになろう―――



794 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:35:45 ID:ibgxzfYI
■■41

深く深く舌を絡ませあい、粘膜を擦りあわせる。

もう何度、溶けてひとつになってきただろう。
もう何度、一緒に高みに登りつめてきただろう。

のだめとの、熱く激しいセックス。
オレは、それで何度となく至高の悦びを手にしてきた。

そして確かに今オレは―――再びそれを手に入れる予感を感じていた。
すでに思考は停止しはじめ、頭の中が真っ白になる。

早く、ひとつになりたくて。
早く、高みに登りつめたくて。

千秋は、これ以上ないほど激しく、えぐるように自身を膣内に打ち込んでゆく。
背筋に射精感が走りぬけ、千秋に限界を告げる。

「……しんいち、くん……のだめ、もう……だめぇ……」
「……オレも、限界……そろそろ……い、くぞ……」

怒涛の勢いで突き上げると、のだめの高い嬌声が甘く耳にこだまする。
背筋に甘い痺れが走り抜け、一気に頂点まで登りつめた。

「……きゃあぁあああ!!!……し、んいちく……いっちゃっ……!!!」
「……くっ……!の、だめっ……!!!」

身体の中心が熱くなり、千秋は思わず端正な顔を歪ませる。
のだめの膣内はこれ以上ないほどきつく自身を絞りあげ、
逃さないようにぎゅうぎゅうと執拗に絡みついてゆく


795 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:37:18 ID:ibgxzfYI
■■42

白濁した迸りは千秋自身を一気に走り抜け、2度、3度と打ち付ける腰と共に
ゴムと自身の空洞へと吸いこまれてゆく。

「……はぁああぁ……」

零れる吐息はどちらのものかわからず、激しい痙攣の後には弛緩が全身を支配し、
抱き合ったままズルズルとバスタブの中にへたりこんだ。
激しく痙攣をしていた互いの身体も、しだいに緩やかになってゆく。
のだめの中も、ゆっくりと痙攣がおさまっていくものの、
それはいまだに千秋自身を逃すまいとのたうつように絡みついたままだった。

気だるさ中、千秋はゆっくりとのだめを抱き締め、顔中にキスの雨を降らしてゆく。
この愛しい存在と、また頂点に登りつめることが出来た悦びに、千秋は胸を熱くした。

ずっと、一緒にいよう。
ずっと、おまえを抱いていたい。

本能とか性欲とか、そんなことじゃなくて。
魂から1つになれる―――きっとそんな相手にはもう2度と出会えないから。

「……大丈夫か……?」
意識が朦朧としているのだめを優しく抱き締めながら、瞳を覗き込む。

「……ハイ……とっても気持ちよくて……のだめ、おかしくなりそうでした……」

恥ずかしそうに俯きながら、もじもじとのだめが答える。
そんな初々しいのだめが、たまらなく愛おしい。


796 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:38:25 ID:ibgxzfYI
■■43

千秋はゆっくりと腰を引いて、しっかり吸い込まれている自身を、
半ば強引にずるりと引き出した。
互いに粘膜が擦れあい、快楽の余韻に酔いしれる。
2人の繋がりを解くと、そこから白く濁った愛液が次々と溢れ出してきた。
千秋はその淫靡すぎる光景に、しばし目を奪われてしまう。

「……あ、んっ……」

のだめが、子猫のような甘い声を漏らす。
そのまま千秋の逞しい身体に、その柔らかな身体を甘えるようにすりよせた。
上目使いで千秋の顔を見上げ、恥ずかしそうに微笑む。

それはあまりにも無邪気で可愛らしくて。
千秋の欲望に再び火をつけるには、十分すぎるほどだった。

千秋は、再びのだめをバスタブの底に押し倒し、
その溢れ出る泉に舌を差し入れ、溢れ出る愛液をすすり上げた。

「……し、しんいちくん!?……なにやって……やあぁんっ……!」

再び、快楽に支配されたのだめの抗議を無視し、千秋は夢中で愛液を舐め取ってゆく。
のだめは悦びの嬌声をあげながら、愛おし気に千秋の濡れた漆黒の髪をかき混ぜた。

千秋は、とっくに完全復活している自身に手早く新しいゴムを被せ、
横たわっているのだめの両足を両脇に抱えあげ、秘裂に擦りつけながら一気に貫いた。
そのまま揺さぶるようにして、何度も何度も激しく腰を打ち付ける。


797 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:40:04 ID:ibgxzfYI
■■44

「……やあぁああん!!……しんいち、くん……のだめ、もうっ……!」
「……まだまだ……これから……だ、めぐみ……!」

のだめの華奢な身体が、千秋の激しい動きに合わせて何度も何度も跳ね上がり、
その度にバスタブに残っているお湯がじゃぶじゃぶと水音をあげながら飛沫をあげる。
吐息が混じりあい、皮膚がぶつかりあって、とろけるような甘い音楽を奏でてゆく。
粘膜が擦れるたびに、混じりあう体液がぐちゅぐちゅと音を立てて飛び散り、
なまぬるいお湯に溶けていった。

何度も高みに登りつめ。
何度も快楽を分かちあう。

今日何度目かの頂点が見えはじめ、千秋は再び抽送の激しさを増していった。



798 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:41:15 ID:ibgxzfYI
■■45


3度目のセックスが終わり、千秋はようやくのだめの身体を解放した。
繋がりを解き、放心状態ののだめを丁寧に洗ったあと、
バスタオルで包み込むようにしてベッドまで運んでいった。

のだめの身体を拭いてパジャマを着せ、ベッドに横たえる。
自分もすばやくパジャマを身につけてベッドに入り、
のだめの柔らかい身体を抱き締めながら、優しくまだ湿っている髪を撫でた。

「……ごめん……大丈夫か……?」

疲れきったのだめを見て、さすがにやりすぎたと後悔する。
すると、のだめは甘えるように千秋を見上げ、クスクス笑った。

「へーきデスよ。だって毎晩こうだから、さすがに慣れちゃいました……」
「なっ…!毎晩ってことは……」
「違いますか?」
「いや、あの……」

必死に反論しようとするが、のだめは嬉しそうに顔を覗き込みながら、
追い討ちをかける。

「朝も2回したし」
「……うっ……」
「さっきも3回連続だったし。休みの日はいつもこうなんデスから……♪」


799 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:42:41 ID:ibgxzfYI
■■46

悪戯っぽくのだめに笑われ、さすがの千秋もぐうの音もでない。
確かに、ここ毎晩ずっとこんな調子かもしれない。
さすがに平日はのだめの翌日のことを考えて、夜2回ぐらいにしているが、
休日になるとなんだか歯止めがきかなくてつい……。

「……嫌か……?おまえが嫌だったら……その……」

のだめを抱き締めながら、ぼそぼそと呟く。
するとのだめは、にっこり微笑みながら千秋の滑らかな頬を、両手で挟んだ。

「……や、じゃないです。だって、いつもすごく気持ちいいし、それに……」
千秋の顔に顔を寄せ、その綺麗な瞳を覗き込んだ。

「……大好きな、真一くんだから……。だから、ちっとも嫌じゃないデスよ……?」
そう囁きながら、そっと千秋に触れるだけのキスを落とした。

その柔らかな唇から、のだめの優しさが伝わってくるような気がして。
千秋は、心がほっとあたたまったような気がした。

「……ありがとな……あんまりムチャしないようにはするから……」
「……なんかそれ、毎晩言ってませんか……?」

お互い顔を見合わせ。
なんだかおかしくて、クスクス笑いあった。


800 名前:時間旅行/ ヴァイオリン[sage]:2005/06/19(日) 23:44:48 ID:ibgxzfYI
■■47

「明日も休みだろ?何か食べたいものあるか?」
「んーと、オムライスが食べたいデス!」
「オムライスか……。ふわふわ?それともトロトロ?」
「もちろんトロトロでーす♪」
「よし!じゃあとびっきりのを作ってやるから楽しみにしとけよ?」
「むきゃあ!真一くんの作るトロトロオムライス〜!」

嬉しそうに顔を輝かせるのだめが、愛おしくて。
額にそっとキスを落とした。
たちまち真っ赤になったのだめの顔が、なんだかとても可愛くて。
強く胸の中に閉じ込め、その柔らかさを堪能した。

「……ねぇ、真一くん……」
「……ん……?」

まどろみの中、のだめの声が胸元で小さく響いた。
見下ろすと、なんだか思いつめた感じの表情が、暗闇の中見え隠れしている。

「……どうした……?」
優しく、のだめの柔らかな髪を梳きながら囁く。

「……真一くんは……よく、日記とか読み返すんですか……?」

なんだか、声の響きがちょっと暗く響くような気がするのは気のせいだろうか?
いったいなんなんだ?



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