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のだめカンタービレ3

201 名前:江戸のクロキン2・10/いよかん[sage]:2005/04/07(木) 23:20:38 ID:EzeVjzvU
そうこうしているうちに、一人の男がゆったりとした足取りでのだめの前に現れた。
誰だろう? 僕の知ってる人じゃないし……。
そんな黒木の周りで人々がヒソヒソと噂する。
「越後屋だ。越後屋の大河内だ」
「本当だ。あいつまた何か企んでやがるのか」
どうやらあまり評判が良くない人物らしい。
なんだか少し千秋くんに似てるような、というかコスプレ? ニセ千秋くん?
「やれやれ、まったく強情な人ですねぇ」
大河内と呼ばれた男は肩をすくめて唇の端を曲げた。
「こちらには切り札があるってこと、よもや忘れてもらっちゃいけませんよ?」
「うるさいデスッ! とっととこの人たち連れて帰ってクダサイ!!」
噛み付かんばかりに睨みつけるのだめに、おお怖いと苦笑いしながら男たちに合図を送る。
その中に先程の茶屋で騒動を起こした男が混じっていることに黒木は気付いた。
「今日はこのへんで帰ります。いい返事を期待していますよ」
おい帰るぞ、という声とともに連中は人ごみを押しのけていき、その後ろで
「おととい来やがれっていうんデスヨッ!!」
ムキ――ッ! とのだめが大量の塩を投げつけていた。
その姿に黒木はふうぅと安堵の溜息を漏らす。そしてこうなることがわかっていたのかと
隣の老人を窺うと。
チッとものすごく残念そうな表情をしていた。
「もうすこしでのだめチャンのムフフ♪な姿が見られるかと……」
「このエロボケじじぃ――っ!!!」
清良が鉄拳を繰り出すも、シュトレーゼマンはひょいと素早く避けて。
「のだめチャーン、みるひいが助けに来ましたヨ〜」
いやらしい手つきで彼女に抱きついていき。
ギャボ――! という声とともに吹っ飛ばされたのだった。


202 名前:江戸のクロキン2・11/いよかん[sage]:2005/04/07(木) 23:22:16 ID:EzeVjzvU
「ナルホド。土地の利権書をねぇ……」
鼻血を拭きつつ茶をすするシュトレーゼマンにじとーっ、とすわった目線を送りながらも
のだめは頷いた。
「それで、おとなしくこの旅籠を明け渡すか、さもなくばその身を代官に預けろ、
 なんて言うんですヨ」
ウチの使用人を脅して無理やり手に入れたクセに! と憤る。
「真さんがいてくれれば、こんなことには……」
「ご主人?」
清良が尋ねると、のだめはこくりと頷いた。
話によると、彼女は若女将として主人と一緒にこの旅籠を営んでいるのだが、
数ヶ月前に彼は旅に出たまま帰ってこないという。
真さん、てことは千秋くんのことだよな。
夢であることがわかっていても、なんとなく落ち込んだ気分になる自分に混乱して
黒木はぷるぷると首を振った。
ちょうどそのとき、
「もしかしたら、真さんも奴等に……」
とさめざめ泣きながら呟くのだめと目が合い、黒木は慌てる。
「あれ? お侍さんもしかしてこの間の?」
「ああ、あの、さっきの男たちの中に茶屋で乱暴してた奴がいたんだけど!」
無理やり清良に話をふった。
「うん、私も気付いてたけど」
「で、そのお代官が黒幕で、みんな裏で繋がってるんじゃないかと」
あ、そっかと感心する清良の横で、峰がやっぱりオレの睨んだ通りだなと鼻を鳴らす。
彼を見事なアッパーカットで沈めたあと、清良はシュトレーゼマンに向き直った。

203 名前:江戸のクロキン2・12/いよかん[sage]:2005/04/07(木) 23:23:31 ID:EzeVjzvU
「ご隠居さま、出番ですよ!」
彼女の言葉にシュトレーゼマンは不満そうに声をあげた。
「エェ〜!? せっかくのオフだっていうのに〜」
めんどくさいデース、と言う彼の横でパリンと茶碗が割れた。
「……あ、アブナイじゃないですカ」
「うるさいっ! ちゃんと仕事しろ!!」
肩で息をしながら、だいたいエリさんとオリさんは!? と清良が怒鳴りつける。
「エリさんなら温泉バカンスですヨ。オリさんは彼女に連れて行かれマシタ」
だから私もノンビーリできるんデス♪ と彼は笑い、
「のだめチャン、今晩ゲイシャさんたくさん呼んでクダサイネ」
のだめに擦り寄るように近づいて注文した。
ドガシャ――ンッ!!!
ものすごい音とともに清良は立ち上がり、峰にゆったりと微笑んだ。
「あんたは、もちろん来るわよねぇ?」
その凍てつくようなオーラに峰が震えながら頷くのを見届けると。
今度は黒木の方にその顔を向けた。
「こうなったら、最後まで付き合ってもらうわ!」
ええぇ!? と目を白黒させる黒木の腕を問答無用とまたもや掴み。
清良は男二人を引き連れて、旅籠の一室を後にした。
部屋には踵落としをまともに喰らい、口から泡を吹いて倒れるシュトレーゼマンの
姿があった。


204 名前:江戸のクロキン2・13/いよかん[sage]:2005/04/07(木) 23:24:32 ID:EzeVjzvU
「ど、どこに行くつもり!?」すっかり清良のペースに乗せられた黒木と。
「代官のところに決まってるでしょ!」わき目も振らずに進む清良。
そして「待ってくれよ〜」と相変わらずの峰。
さてさて、この三人の行き着く先は、光か闇か?


これほんとに僕が主人公なんだろうか?
なんだか納得いなかないなぁ。

中編おわり


205 名前:いよかん[sage]:2005/04/07(木) 23:28:57 ID:EzeVjzvU
中編、以上ですー。

途中、番号まちがえてしまいました。ごめんなさい。
なんだか萌えの部分にぜんぜん辿り着けず、ほんとに後編で
終われるのか、不安です。

それでは、また。

206 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/08(金) 21:58:47 ID:c7i2jIHw
面白いなー。いよかんさん、前の「新婚さんいらっしゃ〜い」もそうだったけど、
こういうパラレル上手いですね。
>「越後屋だ。越後屋の大河内だ」とか、
>「真さん」とか…
GJです。面白いです。
あと、他の人も書いてたけど、「腰のオーボエ」に激しく笑わせてもらいました。

207 名前:いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:46:13 ID:Ka9ioPl4
はい、ようやく後編が完成しましたので、投下します。
すんごく長くなってしまいましたけど、これで完結です。

コメントくださった方、ありがとうございました。

それでは、どうぞ。

208 名前:江戸のクロキン2・14/いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:47:30 ID:Ka9ioPl4
〈前回までのあらすじ〉
ご隠居(みるひぃ)と無事再会を果たしたクロキンは、彼の助けを借りつつも
最後の敵に立ち向かう。その胸に、淡い恋心を秘めたまま……。
その腰のオーボエは誰が為に振り落とさるるのか? 
行け! 行け! 我らがクロキン。愛する人を守るために!! (←ウソです)

「江戸のクロキン2」〜後編〜

彼らが大きな屋敷の門前に辿り着いたのは、日が落ちて辺りが薄暗闇に
包まれた時分であった。
旅籠を出てから町の人々にさまざまな情報を聞きまわった結果、黒木の言った通り
やはり代官と越後屋には黒い繋がりがあるらしい。
そして代官の屋敷をつきとめ、ここまでやって来たのだが……。
「で、どうするの?」
黒木の質問に、ここまで来てすることは一つでしょ? 清良が呆れたように言う。
「もちろん、乗り込むのよ」
やっぱり……。黒木は諦めの表情で溜息をついた。
「そのメンバーには僕も入っている、と」
当然、と頷く清良と、足手まといになるなよ新入り! ポンと肩を叩く峰。
あんたのほうが心配なのよと峰の胸倉を掴む清良を横目に
何故こんなことに! と黒木は頭を抱えた。

209 名前:江戸のクロキン2・15/いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:48:13 ID:Ka9ioPl4
ちょうどそのとき、道の向こうから籠屋の掛け声が聞こえてきて。
その目的地がここ代官の屋敷と見てとれるや、清良の「隠れて!」という声を
合図に三人は塀と同化し息を潜める。
やがて門の前に籠が降ろされ、中から越後屋と思しき男が出てきた。
大河内は門番と二言三言会話をし、手間賃を与えてから屋敷の中へ入っていく。
その様子をじっと窺っていた清良は不敵な笑みを漏らした。
「越後屋まで揃うなんて。ちょうどいいわね」
そして彼女は懐から先に錘のついた麻紐を取り出し、ぶんぶんと振り回してから
勢いをつけて空に投げる。
するとその紐は塀の向こうに見える松の枝に絡み、お見事! と峰は手を叩いた。
具合を確かめるようにぐいっと引っ張ってから、その紐の先を黒木に渡す。
「じゃ、行くわよ」
お侍さん上れる? 訊ねる清良に、黒木は腹を括って頷いた。

潜入に成功した三人は、話し声を頼りに屋根裏から代官の部屋を目指した。
「どうやらこの下がそうらしいわね」
耳をすませると、なるほど下のほうから大河内のものと思われる声がボソボソと
聞こえてくる。
天井に空いた僅かな隙間から覗いてみると、二人の男がなにやら密談していた。
片方は越後屋の大河内。そしてもう一人が恐らく代官の……。
き、菊池くんじゃないか!? 
あまりのことに声を上げそうになるも、清良のシーッ! と人差し指を唇にあてる
仕草で我に返り、あわてて自分の口を手で塞ぐ。
お代官が菊池くんだなんて。ププッ、に、似合いすぎ……。
今度会ったらお代官グッズをプレゼントしようと密かに思う黒木なのであった。


210 名前:江戸のクロキン2・16/いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:49:04 ID:Ka9ioPl4
「お代官様、つまらないものですが、ささ……」
大河内が菓子包みをすすっと菊池の前に出す。「銘菓 ひよこ」と書かれた蓋を開けると
菓子の下には光を放つ小判の束がぎっしりと入っていた。
「フフフ。その様子だと、お前の策もうまくいっていると見える」
「ええ、それはもう。すべてはお代官様のお陰にございます」
やはりこの二人の陰謀か。三人は屋根裏で互いに顔を見合わせ頷いた。
「それで、越後屋。あの旅籠の若女将の件もうまく運んでおろうな?」
「もちろんでございますよ。最早時間の問題かと……」
手を揉んでニヤリと笑う大河内に、菊池も満足げに頷いた。
「越後屋、お主も悪よのう」
「イエイエ、菊池様には敵いませんて」
そうして二人いやらしい笑い声をたてるのを合図に、清良が立ち上がる。
「よし。ここまでわかったら、あとは証拠を手に入れるだけね」
「ま、まさか姐さん、アレをやるつもりじゃ……」
アレって何? という黒木の疑問は放置され、峰は清良にしがみついた。
「イヤダァァ〜!! 姐さんそれだけはやめてくれっ!」
ちょっと放しなさいよっ! 振り払おうとする清良になおも縋りついて涙を流す峰。
「姐さんのハダカをあんな奴に見せるなんて耐えられねぇ!」
「別に見せないわよっ! それにコレやんないと視聴者が納得してくれないし」
視聴者って誰? という黒木のつっこみは無視され、二人のじゃれあいは続く。
「姐さんの入浴シーンを覗くのはオレ一人だけでいいんだ〜っ!!」
「あんた覗いてんのっ!?」
頭をはたかれてもヤダヤダ姐さんはオレの真っ赤な☆ルビーなんだとダダをこねる峰に
清良は顔を赤くしながらわかったから黙りなさいと彼の頬をつねる。
なんだ結局こっちでも二人はそういう関係なのか。
黒木は微笑ましく思いながらも少し面白くなかった。やれやれと肩をすくめる
「じゃあ、この作戦でいくわよ」
コホンと咳払いをしつつ、清良は作戦の内容を説明した。


211 名前:江戸のクロキン2・17/いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:50:03 ID:Ka9ioPl4
「失礼します」
そう言って代官と越後屋のいる部屋の襖を開け、中に入ってきたのは
髪を芸者風に結いなおし、着物姿になった清良であった。
その手に持つ盆の上には酒の入った徳利とお銚子が乗せられている。
「おお、越後屋。気が利くではないか」
愉快そうに笑う菊池に、こんなの頼んだっけ? と大河内は首を傾げるも、
代官が機嫌よく酒を口に運ぶので、まあいいか、と深く考えないことにした。
「ささ、お一つ」
隣でお酌をする清良の太ももに手を伸ばそうとするお代官、菊池。
あらいけませんわ、と清良は艶っぽくその手を振り払いながら立ち上がる。
「ここでは恥ずかしくて……。私、湯浴みしてきますから」
お代官様もあ・と・で。うふん、と笑う清良の後姿を目で追う菊池のメガネが光る。
どうやらここまでは順調にいったようである。黒木は峰とともに風呂場へ移動した。

カポーン。
中から湯浴みする水音が聞こえ、菊池はいそいそと着物を脱ぎ始めた。
「湯加減はどうかな?」
「ええ、ちょうどいいですわ。お代官様も、は・や・く〜♪」
その色っぽい声に辛抱堪らんといった様子で菊池はがらりと戸を開ける。
そこには……。
「いや〜ン。お代官様のエッチィ〜☆」
両腕で胸を隠しながら恥じらいの表情を浮かべる、赤ふん一丁の峰の姿があった。
その光景のあまりのおぞましさにゲロゲロゲロ〜とリバースする菊池の後ろから
「隙あり!」
黒木がオーボエで脳天をぽかりと打つと、菊池は「ユッコちゃん、ゴメン」と言いながら
気絶した。
思い知るがいい! 背後に黒いオーラを纏わせつつその額に「肉」の文字を書く峰を
置いて、黒木が先程の部屋に戻ると。
そこにはすでに大河内をふん縛って部屋の中を物色する清良がいた。

212 名前:江戸のクロキン2・18/いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:51:19 ID:Ka9ioPl4
「どう? 何か証拠になるものあったかな?」
「いいえ、なさそうね」
でもコイツを連れて帰っていろいろ吐かせればいっか。
そう言って大河内にニッコリ微笑むと、彼女はその水月に拳を打ち込んだ。
途端にぐへえ、とのびる大河内。
「姐さん、敵は討ちましたぜ☆」
戻ってきた峰に越後屋を担がせて、三人は屋敷を後にした。

旅籠に戻り、ご隠居一行と黒木は大河内を囲んで相談をしていた。
「で、どうやって吐かせるの?」
「ご隠居さま、ここまできたらアンタの出番でしょ?」
「だ〜か〜ら、ワタシはオフだって言ってるデショ?」
「ボヘ――ッ!! ドコ触ってんですカ!」
まったく話の進まない彼らを見て、峰がふふんと得意げに笑う。
「ここはいっちょ、オレに任せとけ!」
そう言ってヴァイオリンをどこかから取り出し、弓を引いた。
途端にギーコギーコとこの世のものとは思えない凄まじい音色が辺りを包み。
皆耳を押さえて悶絶する。大河内にいたっては、縛られているため耳を塞ぐことも
出来ずに口から泡を吹いて気絶した。
アホか――っ!!! 清良のハイキックが峰の頭に炸裂する。
「私たちにまで拷問してどーするのよっ!」
やっぱりここはエリさんに頼むしか……、という彼女の提案にシュトレーゼマンが
やデス〜! せっかくのオフなのに〜と泣き叫ぶ。
だまらっしゃい! 怒鳴りつける清良に黒木は尋ねた。
「でも、その人温泉バカンスなんだよね。どーやってここに呼ぶんだ?」
その言葉にふふ、と彼女は余裕の表情を顔に浮かべる。
そしておもむろに窓を開けると
「ああっ! ベッキャム様がこんなところに!!」
と意味不明なことを叫んだ。

213 名前:江戸のクロキン2・19/いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:52:02 ID:Ka9ioPl4
するとドタドタドタと階段をものすごい勢いで上ってくる足音が聞こえ。
バタンッ! 彼らのいる部屋の襖が開けられる。
「どこっ! ベッキャムどこっ!?」
必死の形相でたたずむ女性と、その後ろから強面のおにいさんが現れた。
あれ、この人たちどこかで見たことある。たしかニナ・ルッツの……。
シュトレーゼマンのマネージャーであることに思い当たる黒木であった。

「それで、コイツを拷問して知ってることを吐かせればいいのね?」
あ〜あ、せっかくの温泉だったのに。エリーゼは信じられないというふうに首を振った。
「ご隠居、この貸しは高くつきますからね」
あとできちんと払ってもらいます、という彼女に
「ワタシが呼んだワケじゃないモ〜ン。お清サンに言ってよ」
ふてくされるシュトレーゼマン。
その膨らんだ頬をムギュウと引っ張りながら、エリさん頼みます、と清良が言った。
「コイツ、なかなか口を割らないのよ」
「ふん。何をされたってしゃべらないぞ」
いつのまにか気絶から立ち直り強がる大河内に、エリーゼが怪しげな笑みを見せる。
「ウフフ♪ そうやって強がっていられるのも今のうちよ」
そう言って取り出したのは、なぜか2本の孫の手だった。
オリさん押さえて! イエス・サー! 息の合った二人の背後に、キラリと目を光らせる
鷲の幻影が黒木には見えた気がした。
「な、なにをするコラやめろギャハハハハッいやヤメテ―――ッ!!!」
こしょこしょこしょー、とエリーゼは孫の手を駆使して大河内のあんなところや
こんなところをくすぐり続ける。
「そ、壮絶デスネ」
ごくりと唾を飲み込みながらも、自ら孫の手を持ちこの拷問に参加するのだめ。
「ウキュキュー♪ 話しちゃえば楽になれマスヨ〜」
「ほ〜ら、早く言っちゃいなさい」
こうして変態と魔女に責められた大河内は
「ワハハッやめてお願い全部話すから――っ!!」
悲痛な叫び声とともに陥落したのだった。


214 名前:江戸のクロキン2・20/いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:53:01 ID:Ka9ioPl4
彼の話によると。
代官はチンピラを寄せ集めて町人をいたぶり金を巻き上げさせ、その一部を懐に仕舞い。
まったく関係の無い人を犯人として挙げ、手柄を立て。
その男たちを旅籠を乗っ取る計画を立てた大河内に貸し付け謝礼を受け取り。
たんまりと私腹を肥やしているのだという。
ついでに女好きの菊池は旅籠の若女将をも手中に入れる算段だったらしい。

「まったく、あの方も物好きで。なんでこんな女を――」
バキィッ! 彼の言葉はのだめの一撃によってぷっつりと途絶えた。
「許しマセン! 殺しマス!!」
吊るしマスーッ!! 憤るのだめを清良がまあまあとなだめる。
「ここは私たちに任せて、ね?」

その時である。
表の方から「女将とジジィ一派、出て来いっ!」と男の大声が聞こえた。
気を失った大河内を置いて全員が外へ出てみると、そこには部下を引き連れた
代官・菊池が腕を組んで仁王立ちする姿があった。
「誘拐と不法侵入の罪で、お前ら全員ひっとらえる。おとなしく縛につけぃ!」
ご隠居さま! 真剣な面持ちで振り返る清良にシュトレーゼマンはウム、と頷き、
「エリさん、オリさん!」
行きマスヨ! 隣にいる二人に声を掛けた。
「ええいええい、控えオロー。こちらにおわす方をどなたと心得る!」
決まった! とオリバーが横のエリーゼに台詞を継ぐよう窺うと。
なにやら懐をがさごそと探っている。
「エ、エリさん?」
あれ? ないわね〜。あ、そっかバカンス行くからご隠居に預けたんだわ。
ぶつぶつと独り言のようにエリーゼは呟き、「ご隠居!」と声を掛ける。
「え? ワタシが持ってたんデシタッケ?」
そしてシュトレーゼマンの胸からハラリと出てきたのは……。
大量の春画であった。
コレはワタシのお宝ネ♪ と拾い集める彼を除く全員がその場で固まった。


215 名前:江戸のクロキン2・21/いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:53:52 ID:Ka9ioPl4
「わはははは。ただのエロジジィではないか」
やっておしまい! と声高に命じる菊池に従い、男たちが襲ってくる。
何故ドロンジョ口調なんだろう? 黒木は思いながらも腰のオーボエに手を掛けた。
「なんで印籠失くすのよ〜っ! このエロ馬鹿ジジィ〜!!」
そう嘆く清良と視線を合わせ、二人で腹を括る。
もう頼りになるのはコイツしかいない! お互いにそう思ったのであった。
清良がその華麗な足技で迫る男をなぎ倒し、黒木がオーボエで叩き伏せる。
そうして一人、二人とパタパタ倒れていく男連中に菊池は歯軋りした。
「何をしてるんだっ! さっさとこいつらを捕まえんか!」
「誰を捕まえるって?」
突然頭上から落ちてきた言葉に驚き振り返ると、そこには馬に乗った武士の姿が。
「あ、あんたは火付盗賊改方の……」
ま、松田さんじゃないか! 黒木は目を丸くした。
「ちょうどいいところに。松田殿、こいつらを捕まえてくだされ」
越後屋をかどわかしたばかりか、私の屋敷にまで……、と菊池は訴える。
んー、と松田はやる気のなさそうな顔で見渡していたが、ふとその視線が止まる。
その先にはシュトレーゼマンがいた。
「久しぶりデース」彼が手を挙げると、あなたですか、と松田は嫌そうに首を振った。
「てなわけで、お前が悪人。決定」
「えぇ!? な、なんで……」
「あの人、俺より偉いんでね。長いものには巻かれろってコト」
引っ立てろ! と言う松田の言葉に、彼の部下たちが菊池どもを連れて行った。
「そんじゃ、一件落着ってコトで」
貸しにしときますよ、と彼が言うと、コレ一枚あげマスとシュトレーゼマンが春画を渡す。
それを懐に仕舞い込んで、松田は告げた。
「それと、あなたが俺に預けた男、釈放しときましたから」
逃げたほうがいいんじゃないですか? そう言い残して彼は去っていった。

216 名前:江戸のクロキン2・22/いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:54:34 ID:Ka9ioPl4
「エリさん、オリさん、逃げマスヨ」
シュトレーゼマンは顔色を変え、二人を連れて走り出す。
「ちょ、ちょっと!」
「待ってくれよ〜」
清良と峰もあとに続き、旅籠の前には黒木とのだめが残された。
な、なんだったんだろう?
呆然と事の成り行きを見届けていた黒木だったが、はっと我に返った。
ま、まずい。このままでは恵ちゃんとふたりきりに……。
「お侍さん、助けていただいてお礼のしようもアリマセン」
有難うございマシタとぺこり頭を下げるのだめにしどろもどろになる。
「いや、あの僕はほとんど何もしてないし」
じゃ、僕もこのへんで。立ち去ろうとするものだめがその袖を掴み。
「お茶でも飲んでいってくだサイナ」
強引に黒木を部屋の中に招きいれた。

通された部屋には掘り炬燵が置かれており。
黒木はそわそわと落ち着きなく部屋の中を行ったり来たりしていた。
いや、彼女はお茶を勧めてくれただけで。この間の夢とは……。
またも思い出して、黒木は赤くなる。
そこへお茶を運んできたのだめが入ってきて、どうぞお座りになってクダサイと笑った。
とりあえず落ち着こうと茶を啜る黒木の前で、おもむろに着物を脱ぎ始めるのだめ。
ブ――ッ! と茶を噴出し、黒木はむせた。
「な、なな何を!」
「何って、この間の続きデス」
なぜかキャミソール姿になったのだめは妖艶な笑みを見せる。
「おこたプレイっていうのも、なかなかオツでショ?」
そう言ってのだめは掘り炬燵にもぐりこんだ。


217 名前:江戸のクロキン2・23/いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:55:14 ID:Ka9ioPl4
(ここからはやっぱり音声のみでお楽しみください)

「ウキュキュー。黒木くんたら、逞しいんデスネ」
「いやあの恵ちゃん、キミご主人いるんじゃ……」
「いいんですよ。あの人ちっとも帰ってこナイんですカラ」
もぞもぞ。んばっ!
「クスクス。ここはどうデスカ〜?」
「あっ、そん…な、やめ……」
くりくりくり。ちゅばっ。
「くっ、だ…だめだ……よ、っあ」
「そんなコト言って。もうこんなになってマスヨ」
くちゅくちゅ。びろんびろんびろん。
「うっく、こんなのだめだっ…てばっ」
ばるんっ。りるるるる。
「あ、も、もう……っ!!」


218 名前:江戸のクロキン2・24/いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:55:55 ID:Ka9ioPl4
こうなったら、とヤケになった黒木はのだめを炬燵から引っ張り上げ、
その身体を押し倒そうとした。

その時――。
「お〜い。今帰ったぞ」
こ、この声は千秋くん!?
黒木がそう思う前に、のだめはムキャ――ッ! と飛び出していき、
千秋の胸に飛び込んでいった。
「どこ行ってたんデスカ?」
心配してたんデスから、と彼の胸にのの字を書くのだめ。
「いや、変なジジィに騙されて何故か牢屋に入れられてたんだよ」
あのジジィ、今度会ったらただじゃすまさねぇ! 怒りに震える千秋にのだめが
もしかして、と呟く。
「そのオジーサン、帽子かぶった髭のあるエロい人ですカ?」
「そいつだ!」
「その人ならさっきまでウチにいましたヨ?」
なんだって!? 言うが早いか二人は表の方に駆け出して行ってしまった。
そ、そんな……。
ぽつーん。ひとり残された黒木の、恵ちゃーん、と呼ぶ声が
辺りに虚しくこだまするのであった。


219 名前:江戸のクロキン2・25/いよかん[sage]:2005/04/09(土) 16:56:28 ID:Ka9ioPl4
「恵ちゃーんっ!」
がばっと起きた黒木の腕は、天井に向けて伸ばされ。
その額には汗が粒になって浮かんでいる。
……そっか、夢だったんだ。
そうだよな。恵ちゃんは千秋くんがいない間にそんなことするような人じゃないし。
僕の後ろめたさが見せた夢だったのかな。
フフ、と黒木は自嘲気味に笑う。

でも、やっぱり気持ちよかったなー。
暖房が壊れたままの部屋で、早朝に洗濯機を回しながら頬を染めて呟く黒木は、
やっぱりお年頃の男の子なのでした。

ぽくぽくチーン。合掌。


後編おわり


220 名前:いよかん[sage]:2005/04/09(土) 17:00:38 ID:Ka9ioPl4
以上でーす。

後編だけすんごい長さになってしまいましたが。
すこし調子をとりもどしてきたような気がします。
書いてて楽しかったです。

206さん
 ありがとうございます。「新婚さん」も読んでいただいているのですね。
 もう私にはギャグしかないんじゃないかと内心思っております(笑)
 いつか、神々のようにすばらしい萌えを書きたい……。

それでは、また。

221 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/09(土) 21:30:30 ID:1J0IjglC
>>168
結構面白いんだけど、なんで皆コメントが冷ややかなの?
嫌ならスルーすればいいのに。

と、言う訳で続きを楽しみにお待ちしています。>初めて♪様

222 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/09(土) 22:48:37 ID:Q76etnd3
いよかんさん、GJ!
キャラと、シチュエーションがいいデス!
こまかいディテールも・・・

ぽくぽくチーン。合掌。にも・・!!GJ!

223 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/09(土) 23:17:09 ID:uIONvyoD
おお、しばし見ないうちに神々がまた降臨してた。。
けろりん様&drop様のコラボ、とてもステキでした!美・・・
いよかん様、GJ!くろきんに涙です!くぅ〜

>221
そうですね。
初めての投稿だし、皆さんでアドバイスなどもしつつ、
これからも頑張ってもらいたいです。
頑張ってください!>初めて♪様


224 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/10(日) 00:10:16 ID:RouSZkgK
いよかんさん、GJ!
またも大笑いしましたよ!
セリフやキャラ設定がうまいですね〜!
所長が時々するキャラの番外編読んでるみたいでしたよ。
また楽しみに待ってますね!

225 名前:初めて♪[sage]:2005/04/10(日) 09:58:21 ID:aDT15/6E
あと少しで完成しそうなんで待っていてください☆
>>221>>223さんありがとうございます(^^)
かなり感激しました…!
自分のはまだまだ物足りないのにほんとうにありがとうございます!
では挨拶だけでごめんなさいでした♪

226 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/10(日) 13:19:10 ID:svAH+KjB
いよかん様、GJGJGJ!やはり貴方はネ申様!!
完結まで息をするのも忘れて一気に読ませていただきました。酸欠…
もー、ホントに面白い!毎回笑いのツボをつかれまくりで腹筋鍛えられてます。いつか割れます。
しがないいちスレ住民ですが、応援しつつ新作お待ちしております。

227 名前:いよかん[sage]:2005/04/10(日) 17:03:19 ID:S4NLAjsb
本当に、いつもいつも読んでくださって有難うございます!
感謝、感謝でございます。(泣)

>>222さん
 キャラの配置、難しゅうございました。
 ほんとは真澄ちゃんも登場させたかったのですが……。
 楽しんでいただけたようで、よかったです。
>>223さん
 哀れ、くろきん……(笑)
 くろきんファンには怒られそうですが、私は不器用な彼を
 実はすんごく好きだったりします。いぢめがいがあって(←ひどい)
>>224さん
 台詞は、脳内で彼らが勝手にしゃべってくれるので
 私はすごく楽させてもらってます(←ヤバー)
 所長のギャグセンスに一歩でも近づければいいなと思ってます。無理ですけど。
>>226さん
 たくさんのGJ!をありがとうございます。
 腹筋、いつか割れるようなSSを私も必死で書けるようにがんばるので
 また今度、新作で笑い転げてください(笑) 応援ありがとうです。
>初めて♪さん
 新たな職人さんの出現、すごく心強いです。
 ご挨拶が遅れましたが、これからもがんばってください!

今度は峰を主人公に何か書けたらいいな、と今から書き始めてます。
その前に、何か短いのをちょろっと投下するかもしれませんが。
この調子でみなさん盛り上げていきましょう!!!

それでは。

228 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/10(日) 18:05:49 ID:3jRx3C3E
いよかんさんGJ!!!
峰と清良の掛け合いに爆笑しました!
峰君主人公の見たいです〜!


229 名前:sage[]:2005/04/10(日) 22:44:16 ID:eB4WDm08
同じかたの作品が多くなってしまうのもなんですよね・・・。最近・・・。

ピアノさんや、ヴァイオリンさんの、読みたいです。とっても。

230 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/10(日) 22:47:54 ID:hueDIu+N
同じ方の作品でも、読めないよりはいいと思うんですが。


>いよかんさん
いつも面白い作品ありがとうございます。
いよかんさんは、他のスレを見たことはありますか?
少女漫画スレなんかちょっと覗いてみるといいかもしれません。
最近このスレの雰囲気が変わってきているような気がしますので。


私は読み専なので、他の作家さん含め新作楽しみにしてます。

231 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/11(月) 21:05:12 ID:Cd9zxime
どこのスレでも他スレの話をするヤシいるんだね。
何度も言われてるかもしれんが、「他スレの話を持ち込むな。」
雰囲気が変わったのは、ここを覘く人の質が変わったからでしょ。
新スレ立つたび関連スレにリンク貼るヤシ、ウザー

232 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/11(月) 21:55:09 ID:eclbBFsq
>231
釣りではないとふんで、カキコしてみる。

こののだめスレは少女漫画スレから派生スレだと思っていますが違ってますでしょうか。
だから、他スレではあるけれど、それで終わりに出来ない部分もあると思う。
少女漫画スレと同じようにしろと言わないまでも、
なんとなくこのスレに定着していた暗黙のルールというか、そのくくりがなくなって、
場の雰囲気が以前とは変わっているな、ということはわかって欲しい。
今までこういう決まり事というか、スレの方向性について何も議論されずに、
ここまでスレが続いてること自体、奇跡に近いと思う。
それだけ、ここの住人が『大人』だということだと思う。

このスレが好きだし、楽しませてもらっているし、
マターリ加減が心地よかったけれど、最近はやはりちょっと雰囲気が違うというのだけは否めない。
『何が違うか』をわかって欲しくて、>230さんは少女漫画スレを引き合いに出したんだと思う。
何が心地よくて、何が心地悪いか。
それは人それぞれだけど、直接的な言葉でなくそのように誘導した>230さんの態度は、
やはり大人だな、と思う。

それと。覗く人の質が変わったどうかはわかりゃしない。
何が変わったのかわかるのは、「かきこみ」でしかないんだと、理解するべき。

233 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/11(月) 23:00:42 ID:QdhDfiZr
>229

ハゲドウ!!
すごい思ってたこと言われてついついレスします。

ピアノさん、ヴァイオリンさん、カムバック!!
読みたいです。とっても。


234 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 00:18:02 ID:G1HxyiQ9
名指しして「他スレ読んできて」と言うようなのは
大人の誘導 とは思えないけど。

あと、掲示板で「○○(する)べき」っていうのって、持論の正論押し付けみたいで
ちょっと嫌な感じがします。


でも、いいたいことはわかるけどね。

235 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 00:29:06 ID:wkWGzAOY
いよかんさーん!峰君の読みたいデース!

236 名前:ノエル♪ 鬼平[sage]:2005/04/12(火) 06:15:22 ID:H4iOLZ1X
みなさんおはようございます。いつも楽しませてもらってます。
初めての挑戦なのですが、よろしくお願いします。発売日まで待ちきれないので、勝手に願望ノエルを考えてみました。
エロなし、長いです。以下、お目汚しです。


12月24日、パリの街中がイルミネーションに彩られ観光客でごった返す中
オレはひたすら家路を急いでいた。
やばい、遅くなった。あいつ、待ってるだろうな、今日帰ることは連絡してあるし。
外でメシ食おうかと思ったけど、この混みようじゃ無理だな。何か買っていくか。
適当にデリを買い、通りがかりのマーケットで目に付いた小さなクリスマスツリーを抱えて
ようやく家にたどり着いた時にはすでに夜8時をまわっていた。
のだめのピアノが聞こえる。オレは階段を駆け上がった。
そして、・・・え?オーボエの音? この音はまさか---ガチャリとカギを開けて部屋に入った。
「ぎゃぼ〜〜〜〜!!先輩、早かったデスねー。おかえりなさい〜〜らぶ〜〜!!」
のだめが駆け寄って飛びついてきた。
「おまえ〜、オレ今日帰るって連絡しただろ、まさか忘れてたのかー?」
オレの言葉を無視してひたすら抱きついたままののだめの頭越しに、
またも顔を赤らめた黒木くんと目が合った。!!








237 名前:ノエル♪ 鬼平[sage]:2005/04/12(火) 06:16:15 ID:H4iOLZ1X
1 つづき

「ご、ごめん千秋くん。僕、すっかり遅くまでお邪魔しちゃって。
 室内楽のメンバーを探しているんだけど、なかなか見つからなくてね。
 恵ちゃんにこうしてたまに合わせてもらってるんだ。」
「そうなんです〜、正しいバッハとかね、ぷぷ。のだめもすごい勉強になりますよ〜。」顔を見合わせて笑い合う黒木くんとのだめ。
「ふーん、バッハね・・・。・・・・・。」 なぜかオレは二言目が次げなかった。
「あ、ぼ、僕、もう失礼するよ。本当にごめん、遅くまで。ありがとう恵ちゃん、また・・」
「黒木くん、明日9時ですよ。忘れないでくだサイね〜。オーボワ〜〜。」
黒木くんは、オレの態度にただならぬ雰囲気を感じたのか、そそくさと帰っていった。
なんだよ、明日9時って。

238 名前:ノエル♪ 鬼平[sage]:2005/04/12(火) 06:28:03 ID:H4iOLZ1X
2
「ほわぁ〜、キレイなツリーですね。どうしたんですか、これ?うきゅきゅ、先輩がツリー?」
ぎゃははと笑うのだめをオレはにらみつけた。なんだろう、イライラする。
「明日、何があんの?」
「え〜?明日リュカのおじいさんのとこの教会に劇を観にいくんですよ。リュカと黒木くんもすっかり仲良しさんんなんデス。
 あ、先輩も行きませんか?」
オレが買ってきたデリの袋をガサガサとのぞきながらのだめが答える。
「いや、いい。」 イライラする。
「ご飯にしましょうよ、先輩♪ 先輩?ほゎ〜、コワイ顔。」 のだめがオレの顔をのぞきこんだ。
オレは思わずのだめを引き寄せてしまった。
何だろう、この気持ち。何でいつもこいつはオレの予想外の行動をとるんだ?
なんだよ、一人で淋しく待っているかと思えば、電話ひとつもよこさないで黒木くんと会ってたのかよ。
なんでオレ様がこんな思いをしなくちゃならないんだ、この変態相手に〜〜〜!!
のだめを抱きしめる手に力が入った。

239 名前:いよかん[sage]:2005/04/12(火) 09:45:18 ID:OQys7dOi
すみません。鬼平さんのSSが終わるまで待とうと思いましたが、
だいぶ時間が経っていますのでここで一言入れさせてください。

多くの方々のお気遣いとご指摘、受け取らせていただきました。
このスレの雰囲気の変化と、職人さんの投下減少について、
私が原因であるというご意見、誠にもっともなことと思います。
私なりにこのスレを盛り上げようとSS投下してきましたが、それがかえって
配慮のたりない結果となってしまったこと、本当に申し訳ありません。
コメントをくださるみなさんに甘えてしまいました。

この場を借りて、謝罪いたします。本当にすみませんでした。

これ以上私がここにいるのは、この先このスレに悪影響しか及ばさないと
判断し、こちらに伺うのはこれで最後にします。
私のSSを読んでくださっていた方々には、このような形で去ることに
心痛極まりますが、別の形でお会いできるよう思案中ですのでお許しください。

このスレに出会えたこと、本当に幸せでした。
最後までスレ汚しで、ごめんなさい。

240 名前:ノエル♪ 鬼平[sage]:2005/04/12(火) 11:03:37 ID:ahgpV3XQ
え〜〜!いよかんさん、そんな悲しいこと言わないでくださいよ!
いよかんさんのSSのファンです。みんなで楽しく盛り上がりたいです。
妄想スレなんですから、気楽に楽しくやりましょうよ♪ぜひ戻ってきてください、待ってます。
というわけで、続きです。

2つづき
「苦しいデスよ〜先輩、どうしたんですか?」
次の瞬間、オレは信じられないことを口走ってしまった。
「のだめ、おまえこれからすぐ部屋に戻って風呂に入ってこい。」
「え〜?なんでですか?昨日入ったばっかりです。のだめお腹が空きました。食べてから入りますよ。」
「いいから、言う通りにしろよ、早く。」 のだめを押し離し、オレは赤くなった顔をそむけた。
「もー、先輩カズオ!!」 ブツブツ言いながら部屋を出て行こうとするのだめに、オレは背を向けてぼそっと言った。
「それから、上下バラバラじゃない下着を着けてこいよ。」
「!!むほぉぉぉ〜〜〜、先輩それって・・・??ふほぉぉぉ〜〜〜。」
奇声を発するのだめにオレは俯いたまま何も答えなかった。
頭にかぁっと血が上るのを感じていた。

241 名前:ノエル♪ 鬼平[sage]:2005/04/12(火) 11:10:26 ID:ahgpV3XQ
3
旅疲れで重くなった体をバスタブでほぐしたかったけど、まあいいか。
シャワーを浴びながらオレはぼんやりと以前Ruiに言われた言葉を思い出していた。
『独占欲』 ふっ、そうかもしれないな。思わず笑いがこみあげた。
思えばあれがはじめて自分の気持ちを意識した瞬間だったかもしれないな。
いや、ずっと気づかないふりをしていたけど、きっともうずっと長いことオレは好きだったんだ、あいつのこと。
そうだ、もうずっとずっと長いこと・・・・。  
のぼせそうになったので、バスルームを出た。
のだめはまだ来ていない。

242 名前:ノエル♪ 鬼平[sage]:2005/04/12(火) 11:21:28 ID:ahgpV3XQ
4
こんなクリスマスを過ごすのは何年ぶりだろう。
買ってきたデリとワインでテーブルをセットしながら考えていた。
それにしても遅いな、あいつ。何やってんだ?
と、思ったところでコンコンとドアがなった。
「遅いじゃねーかよ、・・・・うわっ!!なんだそれは〜〜!!??」
「ノエルメイク♪デス!色っぽいですか〜〜?実はケーキも用意してあるんですよ、メリークリスマスです!」
「おまえ・・前にやっていた小顔メイクとどこが違うんだよ!今すぐ落として来い!!
 それに、なんだその生ハムの乗ったケーキは!?殺す気か??」
「ぎゃぼ〜〜先輩ひどいデス!せっかくロレンツォに分けてもらったのに・・」
「はぁ?ロレンツォ??」
「イタリア料理やさんのマスターなんデス♪」
「・・・・はぁ・・・・・もういいからメシにしよう・・・」 
口をとがらせて化粧を落とすのだめ。

243 名前:ノエル♪ 鬼平[sage]:2005/04/12(火) 11:26:26 ID:ahgpV3XQ
4つづき
のだめは真っ白いノースリーブのワンピースを着ていた。
「おまえ・・寒くないのかよ、真冬だぞ、今。」
「お色気大作戦デスよ。先輩の気が変わったらいやなので。」
オ、オレ、いいのか、こんな変態とホンとに・・・・?
「これ、はおってろよ。」 のだめにカーディガンを掛けてやった。
「ほわ〜〜、優しい〜〜。ありがとう、真一くん。」
嬉しそうに見上げるのだめがかわいくて、オレはそっと抱きしめた。

244 名前:ノエル♪ 鬼平[sage]:2005/04/12(火) 11:35:15 ID:ahgpV3XQ
5
ハッと目が覚めたのは、夜中の3時をまわった頃だった。
BGMはちょうど‘Petit Papa Noel` 何度目のリピートだろう。つい寝てしまった。
テーブルの上のキャンドルのほの灯かりの中で見るのだめは、ぐっすりと寝込んでいた。
深い寝息・・・。それを見ていたら何だか胸にぐっとせまるものがあった。
オレはベットからそっと出ると、キャンドルを消した。
そうだ、明日の朝は、シナモンをきかせたフレンチトーストを作ってやろう。
久しぶりにこいつのピアノも聞きたいな。
ショパンがいいかな・・それとも・・
腕の中にのだめの寝息を感じながら、オレはやがて深い眠りに落ちていった。

245 名前:ノエル♪ 鬼平[sage]:2005/04/12(火) 11:54:29 ID:ahgpV3XQ
6
「ぎゃぼ〜〜〜〜〜〜!!!」
オレは奇声で飛び起きた。な、何だ!?
「どうしよう、もう8時半です〜!!寝坊しちゃいましたー、ヤバイです〜〜〜!」
のだめは椅子に掛けてあったワンピースをひっつかむと、ベットから転がり落ちた。
「おいこら、どこに行くんだよ。」 オレは出て行こうとするのだめの腕をベットの中から掴んだ。
「リュカの劇ですよ〜!黒木くんと行く約束をしてるんデス。遅れちゃいます〜!」
ムッ・・こいつまさかこのまま行くつもりかよ、この状態で?
「行くなよ。」 オレはのだめを引き寄せた。
「ムキャ〜〜〜!先輩、じゃましないでクダサイよ!!のだめ、リュカにもおじいちゃんにも約束したんデス。」
次の瞬間、のだめはオレを突き飛ばして戸口に走っていた。
ボーゼンとするオレにのだめは振り向きざま、
「先輩、今日はリュカのおうちで食事するので、夕ご飯は要りまセン。
 あ、それと、真一くん、好きデス♪」 そう言ってにこっと笑うと扉をバッタンと閉めて出ていった。
ウソだろ、こんな。フレンチトースト、ショパン・・・・ のだめ・・・・おまえって・・・・・

オレは私そびれたネックレスを片手に、季節はずれの白いワンピースをコートの下からちらつかせて走るのだめを
窓から見送るのだった。

いつになったら真一くんはネックレスを渡すことができるのでしょうか、神よ・・・・アーメン!!
(終わり)

失礼しました!改行、表現、至らないことも多々ありましょうが、どうぞご容赦を〜〜。

246 名前:ノエル♪ 鬼平[sage]:2005/04/12(火) 12:01:07 ID:ahgpV3XQ
早速、ごめんちゃい。

私そびれた ×
  ↓ 
渡しそびれた

です。

247 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 12:19:54 ID:BZGWoHck
鬼平さん、投下おつかれさまでした。
次の作品、マターリお待ちしてますね。

このスレの雰囲気の話、ほんとにいよかんさんの
責任なんでしょうか?
私は納得しかねます。

248 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 12:21:02 ID:DM70yL7Z
いよかんさん,
まず、あなただけが悪いだとか、あなたのせいで職人が減ってるなんて誰も書いてません。
実際あなたのSSが多くの人から支持されているのは、貰ってる感想の量や内容からいっても、
あなた自身よくわかっているはずだと思います。

みなさん大人みたいですが、私ははっきり言わせていただきます。
いよかんさんも含めて、とりあえず最近書き込まれている皆さん、
他の板やスレも覗かれて、少し2ちゃんに慣れた方がよいのでは?
(230さんの言いたいことは、そういう意味だと思います)
半年ロムれという言葉がありますが、
いかにこのスレがアットホームだとはいえ、あまりに2ちゃんらしからぬノリが続くと、
このような流れになることことは、ままあります。
少なくとも、
全レス、自らのSSを貶めるような誘い受け文、ネタ・感想のクレクレ・・・
これらは、一般的に見ても、好意を持たれることではないと思います。
そしてここは2ちゃんねるですから、普通のファンサイトのノリも控えた方がいいかと。

というのも、勿体ないと思うんですよね。
特にいよかんさんなんて、
幼い書き込み(失礼ながら)をされる割には、びっくりするほどお上手ですから。
ネタもよければ、ノリもテンポもよくて、かなりの萌えがある。
(「にらめっこしましょ」なんか特に最高でした)
その上、大部分において文章がしっかりしていますよね。
正直なところ、SSにおいては、量も質も今までの職人さんを凌駕していると私は思います。
それだけに、惜しい。
ここではどうしたって、SS以外のレスも目に入ってしまいますからね。
素晴らしいSSを書かれているのに、勿体ないと思っていました。

いよかんさん、このままこのスレを去ることは簡単でしょうが、ぜひ色々考え直していただきたい。
それに、あなたがスレを盛り上げるためにがんばってくれていたことは、ここにいる全員が知っています。
同時に、スレ全員が自戒して、これからも素敵なスレでいられるよう、みんなで大切にしていければと・・・思います。

249 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 12:24:22 ID:DM70yL7Z
そして、言葉足らずだと申し訳ないと思ったので追加しますが、

>247さんのおっしゃる通り、いよかんさんだけの責任では勿論ないとおもいます。
スレの大部分の方に、上記のような傾向があったと思います。

250 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 13:04:28 ID:Kak5stDj
>>248
激しく同意です。
ファンサイトと2ちゃんねるの雰囲気ってやはり違うと思うので、わけて欲しいなぁと思ってました。
でもここはまだよい方で、他のエロパロスレで、一人の書き手の独壇場兼日記状態兼感想クレ
クレ状態に比べたら、まだ雰囲気は全然いいんですけどねw

251 名前:鬼平[sage]:2005/04/12(火) 13:31:23 ID:ahgpV3XQ
難しい話になってますが、要は、

252 名前:鬼平[sage]:2005/04/12(火) 13:31:56 ID:ahgpV3XQ
ごめん、途中送信しちゃった。

253 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 13:36:52 ID:sofBkxiG
今までの職人より、量も"質"も凌駕してる……って、ほかの職人さんに失礼じゃない?


254 名前:鬼平[sage]:2005/04/12(火) 13:38:16 ID:ahgpV3XQ
すんません、sageと間違えてenterで書込みをチェックしてました。

難しいことになってるけど、要は
作家は自己満と割り切り、感想を過剰期待しない、妙にへりくだらない。
読み手はラブラブリクエスト、ラブラブ感想をしない。
そして両者のラブラブ馴れ合いは見ていてひくのでノリをもすこし考えてほしい。
ということでよろしいですかね?私も気をつけます。
いよかんさんは、ぜひ考え直してまた投下してほしいですね。
よい作品が読めなくなるのは悲しいことです。

255 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 14:46:21 ID:5MhhEmvS
>254
ものすごく意訳するとそういう表現になるかもしれませんが
248さんが言いたい本当のところはそれじゃないと思う。
言葉にしきれないから
他のスレも廻って2chに慣れてまたスレに戻っておいでって言われてるんですよ
周りを見てあわせたり、覚えるってことも大事です。

他のスレだったら半年ROMれ雰囲気嫁で終了ですし

256 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 16:04:11 ID:BZGWoHck
248さんのおっしゃること、よくわかります。
でも、前スレをよく見てみると、みなさん似たような
書き込みをされてますし、いよかんさんもわりと
気を遣っていたように思えるのですが。
確かに「ネタクレ」発言もありましたが、それだって
一言ヤメロで済んだはずなんですよね。
それができずにこんなことになってしまい、私自身、
反省するとともに、悲しい気持ちです。

257 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 16:19:30 ID:0HFu8USC
鬼平さん、よかったです!
千秋のモヤモヤ感&なんだかんだいいつつのだめには甘甘なところと、
ノエルメイクwがツボでした。
レスとレスの間の時間の感覚?もなんだか良かったです。


いよかんさん、自分ひとりの責任とあんまり気にし過ぎないようにしてくださいね。
とりあえず、「腰のオーボエ」はハマりました。

258 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 20:47:19 ID:SW/hNMrk
ちょいと待て。
自覚が無いにせよ有るにせよ、結果的に
作家さんを少なくとも一人追い出した訳ですよね。
したら、二度とこういった事が起こらないように
騒いだ人たちがガイドラインでも何でも、
わ か り や す く 作ってみては。

しっかし、何だか悪意を感じるレスが多いな…
萌えスレで萎え…

259 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 21:22:46 ID:0S1bfkTT
職人さん向け
・感想をくれ、と求めるのはやめよう。
・必要以上に自分を卑下するのはやめよう。
・一旦テキストエディタに書き、ある程度まとまったら投下しよう
 (SSを書きながらの投稿はやめましょう。ほかの職人さんや住人にも迷惑となります)
・続く場合は「続きは後日」等、宣言しましょう。
・頂いた感想レスへの全レスはやめよう(スレ私物化の原因になりがち)。

読み手さん向け
・過剰にマンセーした書き込みはやめよう。簡潔な感想とGJ! を。
・職人さん達の食指が動くような萌えシチュをさらりと投下しよう

こんな所?ほかにあるかな?

260 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 21:47:22 ID:C63ZrhnF
リクはいいんじゃないかな?
それで作家さん達が書きやすくなって、作品も増えるとスレも活性化するし。
感想くれとか、感想に対する全レスとかはどうかと思う。
前スレ、前々スレなんかはその点大人な作家さんが多かった。

261 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 21:51:25 ID:C63ZrhnF
>259
リロせずに書いてしまいました。
ごめんなさい。

262 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 22:12:38 ID:xEKXRVF+
ここはエロパロ版だがエロは全くなくていいのか?


263 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/12(火) 22:26:19 ID:4dq3NJT/
エロ有り無しは作家さん達も気にしているみたいだね。
個人的には無くても構わないけど、気になる人の為に
書き出しにエロ有り無しを入れるのは?

264 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 00:08:22 ID:56p/lpJ/
そうですね!エロあり、なしを書いたらいいと思います。


265 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 00:41:13 ID:1+gBqvIs
追い出したって・・・出てっちゃったの?
戻ってきてくれたら結局みんな喜んで迎えると思うよ。

戻ってきてよーいよかんさんー



266 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 01:06:19 ID:mENrK8sj
いよかんさん、すごく残念です。
いよかんさんのお話だったので、ぜひまた戻って来てください。
でも、やはりどうしてもここでは無理なら、サイトかブログという形でまたネットに戻って
来て頂けたらすごく嬉しいですので。
待ってますよ!

267 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 03:42:31 ID:GNCfVMy1
2ちゃんでSS投下して得られる物って、率直な感想だと思う。
例えばサイトを持っていて、そこでSSを公開して常連さんに見て貰ったり、リアル友人に見て貰ったりしても、
大抵が「友達」という関係に気を遣った無難な感想しか貰えなかったりする。
特にサイトの常連さんなんかだと、面白いと思わなくても必要以上にお世辞で褒めたりマンセーしたりすることも。
本当にしっかりいいとこも悪いとこも感想言ってくれる人ってのは、そういう環境の中では少ない。
不特定多数の人に見て貰えて、かつ率直な感想を貰えるという点では本当に2ちゃんは最適だし、
2ちゃんに投下する時点で、何を言われても承知の覚悟で、その感想を元にもっと精進しよう。
とSS書きの端くれとして思ってたりするんだけど、最近のこのスレはやや「サイトにSSを公開している作家さん」と「常連さん」みたいな
馴れ合い的雰囲気があったんじゃないかと。
でも、なってしまったものは仕方ないし、誰の責任がどうとか言う事は余計にスレの雰囲気を壊す事にしかならないので
>>259みたいなやり方でやっていくのが一番なのでは?
長文失礼しました。

268 名前:1[]:2005/04/13(水) 08:18:09 ID:BSkmQq/K
最初は一週間程前。
いつものように、千秋の家で早めの夕食を取り、のだめは学校の課題で
分からないところがあると言い、ソファで二人、あーでもないこーでもないと
仲良く議論していた時のことだった。

突然BGM代わりにしかなっていなかったテレビから卑猥なあえぎ声が響く。
どうやら映画の中の過激なラブシーンのようだが、こういう時、誰かといると
非常に気まずいのは、ここパリの地でも同じだ。
ましてや、まだ肉体関係を結んでいないカップルにとっては針のむしろ以上の何者でもない。

「だ、だから、この時の主題が、えっと第三楽章で生きてきてるんだろ?」
「第二楽章じゃなくて…第三ですか?和声パートしかないですけど…」
「あっそうそう第二楽章の…」
ぐだぐだになった議論は、ますます二人を妙な雰囲気にさせる。
気まずい雰囲気だけ残し、テレビは別のシーンへと変わった。
その後は、なんだか居心地が悪く、あいつは、明日の準備があります!と部屋に戻っていったけど…。

俺も何年もシてないし、人並みに性欲もある方だけど、付き合い始めてしばらく経つのに
のだめに手が出せない。
というかなんだかうまく交わされてるような気もしてきた。
あいつだってもう20歳過ぎなんだから、なんにも知らないってわけじゃあ無いと思うんだけど、
なぜかそういう雰囲気に持っていけない。

269 名前:2[]:2005/04/13(水) 08:19:03 ID:BSkmQq/K
「はぁ…。」
つい、ため息をこぼしてしまう。
明日から公演が始まる。
最終チェックをしなければと、スコアに手を伸ばした時だった。

ピ〜ンポ〜ン♪

来た…。
時計を見ると6時を回ったところで、夕食の時間には早い。
っていうか考え事をしてて、何の準備もしてなかった!
まぁいいか…その辺でテレビでも見ててもらえば。
そう考えドアを開けると、案の上のだめはいた…が、何か違う。
のだめは、いつものワンピースでは無くて、薄手のピンクのニットにチェックのミニスカートを
履いて、珍しくきちんとメイクをしていた。
「突撃!北の将軍様!!」
「はぁ〜?」
見とれている場合では無い。
また何奇抜なこと言い出すかと警戒したが、要するに俺を外食に誘いたいらしい。
「うっきゅっきゅ〜。ターニャとお買い物してきたデスよ。カウンターでお化粧してもらったんですけど
変じゃないデスか?千秋先輩を拉致って今日はお洒落なお店でディナーしたいんデスけど〜。」
人差し指をツンツンしてカワイコぶってるが、要するにどっか連れて行けってことらしい。

でも、改めてよく見ると、明らかに男好みの服のセンスと言うか、体のラインがよく分かると言うか…。
「その服、ターニャが選んだんだろ…?」
「しゅごーい!なんで分かったんですか?」
「いや、なんとなく…。それより、どこ行くんだ?明日の公演の前祝いしてくれるんだろ?」
「あ、お金は今日使っちゃ…あ、ちょうちょ…」
「ごまかすな。」
「も〜!!それより早く着替えてのだめをエスコートしてくだサイ!」

270 名前:3[]:2005/04/13(水) 08:20:07 ID:BSkmQq/K
また丸め込まれてしまった…が、欧州育ちの俺様のプライドにかけて、ジェントルマン振りを発揮したい所だ。
まぁ純粋に可愛く着飾ったあいつを見せびらかしたいだけなんだけど…。

さて、どうするか。
エスコートって行ってもあいつの格好結構カジュアルだしな。
タイは無しでもいよな…。店は…。

色々思案していると、リビングからのだめがピーピーとうるさい。
「先輩!のだめ米が食べたいので、前行った和食のお店がいいデス。」
「お前の言う“お洒落な店”ってそんなんかよ…。考えて損した…。さ、行くぞ。」

ジャケットを羽織り、通りに出ると、のだめがいつものように腕をからませてくる。
「ふぃー、寒〜い。日本だったらとっくに春なのに…。」
「バカ、当たり前だろ、フランスは日本より北にあるんだから。わかったらもっと暖かいカッコしろよ。」
「でも、こうしてくっついてれば暖かいデスよ。二人はいつも一緒デス…。」
そう言ってますます寄り添ってくる…が、腕に当たる感触に顔まで赤くなってしまう。
「お前、計算してやってんのか…?」
「えっ、単位ですか?足りてますよ。」

なぜそうなる…。っていうかはぐらかしてないか…?


271 名前:4[]:2005/04/13(水) 08:21:07 ID:BSkmQq/K
「ふぉー。お腹いっぱい…。やっぱり日本食はいいデスね。先輩!」
日はすっかり暮れ、人通りもまばらになったシャンゼリゼ通りを、のだめは数歩先をルンルンで歩きながら
千秋を振り返る。
「あ、あぁ。しかしお前よく食うな…。お前を飼ってからエンゲル係数上がりまくりだ、まったく…。」
「そんな人を穀つぶしみたいに言わないでくださいよ…。今日は、先輩の公演を祝してプレゼントがあるんデス!」
「え?」
「何だと思いますか?」
「何だと思う…って…。指揮棒とか?」
「そ、そこまでいい物じゃないですよ…。でも!先輩の今一番欲しい物デスよ!」
「今一番…」
つい、立ち止まって考え込んでしまうが、欲しい物と言えば一つしか思い浮かばない。
それは、やっぱり…。そうなのか!?それで、今日は着飾ってるのか!?
「うきゅ〜。帰ってからのお楽しみデス!寒いから、早く帰りましょ!」
「あ、ああ…」
のだめに引っ張られ歩き始めるが、頭の中では疑惑が確信に変わり、もうその気になってしまう千秋だった。


272 名前:5[]:2005/04/13(水) 08:21:59 ID:BSkmQq/K
アパートに着き、部屋に入るなりのだめに促されるまま、ソファに座らされる。
「先輩、今からのだめがいいって言うまで目を開けちゃダメですよ。」
「はぁ〜?なんで…」
「いいからいいから♪」
これからの展開に期待を抱きながらも、素直に目を閉じた。

妙に楽しそうだなこいつ…。目を閉じてる間に全裸になってるとかか?
いきなりそれは無いか…。せめて下着姿だろうな…。いかん、ドキドキしてきた…。

言われるまま目を閉じている千秋を横目に、のだめは静かに動き始めた。
できるだけ音を立てないように慎重に気を配ってセッティングしようとするが、千秋の部屋の廊下は
幅が狭く、どうしても壁にぶつかってしまい、音が出てしまう。

ガタ…ドン…あ…壁紙…まいっか…ガタタ…

「………のだめ。」
「ぎゃっ、な、なんですか。床に傷は付けて無いですよ!」
「床…?」
「あー!ダメです。まだ目ぇ開けちゃダメ!」

しかし、千秋はうっすら目を開けると同時に、やり場の無い怒りにふるふると体を震わしながらも静かに必死なのだめに声を掛けた。
思ったのと真逆のプレゼントに、怒りは倍増してしまう。

「……のだめ、それはコタツに見えるが、気のせいか…」
「あーー!!目ぇ開けちゃダメって言ったじゃないデスか!ひどいデス!」
「ひどいのはどっちだーー!」
「だって、先輩、こないだ久しぶりに鍋がしたいなって言ったじゃないデスか!だからのだめ…」


273 名前:6[]:2005/04/13(水) 08:23:07 ID:BSkmQq/K
くそっ!今日こそはと思ったのに…こいつに普通の行動を期待したのが間違いだったのか…。
しかし、このまま引き下がるのは自分が不憫すぎる…。
もう、こいつがその気になるのを待ってられん…。

千秋は最後のコードをつなげようとしているのだめの腕を引っ張った。

「ぎゃぼっ…コードつなげないと使えないデスよ!」
「安心しろ、使わないから。それより、俺の一番欲しい物くれるっつったよな」
「えっ、せんぱ…」

まだ喋ろうとするのだめの唇をふさぎ、ソファに押し倒す。
腕を押さえているせいか、まだらの電源プラグは静かにのだめの手から落ちた。

それまでの期待とさっきの怒りが相まって、強引にのだめの歯列をこじあけ、その間に舌を滑り込ませる。
余すところ無く口内を舐め回すとのだめは苦しそうな声を上げ始めた。

「ん…んむっ…せんぱ…待って…」

のだめの綺麗に引かれたアイラインの淵に微かに涙が滲んでいるのを見て、千秋は慌てて離れた。
「ご、ごめん…」
無理やり過ぎたか…?

まだ呼吸を整えているのだめの、今にも泣き出しそうな表情に、幾分かクールダウンし、今度は
怯えさせてしまったのでは無いかと不安になる。

274 名前:7[]:2005/04/13(水) 08:23:51 ID:BSkmQq/K
「先輩…のだめの事、そんなに…欲しかったとデスか?」

何聞くんだこいつ…?
そんなの、決まってる。
出来るなら片時も離れずに傍に置いておきたい。
でも、こいつは糸の切れた凧みたいに、すぐフラフラするし、俺のこと、ほんとに好きなのかも
曖昧だし、早く自分のものにしたくて堪らなかったって言うのに…!

「あぁ…欲しくて我慢できない…。でも、お前が嫌なら…」
「嫌じゃないデス…でも、のだめ初めてだし…嫌われちゃいそうで…」

初めてだから嫌いになるってどういう理屈だ…。最高じゃないか。

「嫌いになんてなる訳ねーだろバカ。」
そう言って軽くキスをすると、のだめをいわゆるお姫様だっこで暗い寝室まで連れて行き、そっとベッドに寝かせた。
「ふぎっ…、王子様みたい…縁の下の力持ち…」
「バーカ。俺はフロントマンなんだよ。しっ…黙って…」

さっきのキスの続きだ。
今度はのだめもおずおずとこっちの舌の動きに合わせようとする。
くちゅり…くちゅ…
静かな寝室に二人のキスの粘着質な音がやけに大きく聞こえ、興奮を誘う。

275 名前:8[]:2005/04/13(水) 08:24:48 ID:BSkmQq/K
空いた右手をのだめのニットの裾から入れ、ブラの上から触ると、のだめの肌が粟立った。
神経がそちらに行っているのか、舌の動きが止まる。
「あ…。」

今度はゆっくりとその手を動かし、揉んでみると、目をぎゅっと瞑り、恥ずかしいのか顔を背けてしまった。
それにしても、……でかい…。いや、でかいのは知ってたけど、触ると更に胸の大きさを実感する。
そのまま耳元に唇を寄せ、舐めあげると、やっ、と小さく声を上げて、益々顔を背けてしまう。

可愛すぎる…。
まだほとんど何もして無いのに、下半身が充血しきっており、ミニスカートの裾から
下着越しに主張しまくっている。当然のだめも気付いてるんだろう…。ここまで余裕が無くなるとは
思って無かったけど…。

耳穴をねぶり続けると同時に、ブラを上に押し上げて、今度は直接肌に触れるともうその乳首は隆起して
硬くなっていた。
「あ…あ…やっ…せんぱ…やだ…」
乳首を指腹で撫ぜ続ける俺に抗議の声を上げる唇を塞ぎ、なおも続けると乳首がますます硬くなってきた。
左手で服の上から反対の乳首をつまむと、びくっと体を反らせて反応する。
服を捲くり上げ、今度はその硬くしこった先を、舌で味わった。
でかい割りに敏感で、小さな乳頭を吸ったり舐めたりと繰り返す。

276 名前:9[]:2005/04/13(水) 08:26:19 ID:BSkmQq/K
「やっ、あっ…あぁ…せんぱい…もうのだめ…うぁっ…」
「…もう、何…?」

顔を近づけ耳元でささやくと、のだめは涙目になっていた。

「も、もう、何か変です…のだめ…」
「変って…どう変なの?」

そう言いながらさりげなく、スカートの隙間から手を入れ、下着の上から指腹で円を描き始めると、そこはもう湿っていた。

「やっ…!先輩…やだ…!」

手の動きは止めず深いキスをする。
嫌だと言われてももう止めようが無い…。

「んむぅ…!ん」

のだめの主張を吸い込み、指を下着の隙間から進入させると、ぬるぬると指に液を絡みつけ
そのままクリトリスをそっと撫ぜた。

「ん…んっーー!んむっ!」

必死に俺の体を押し返そうとするが、男の力に敵うはずも無く、次第にその抵抗も無くなった。
そのままクリトリスをなで続けると、今度は淫靡な響きにその声を変えた。

「んっ…んん…あぅ…あっ…やめ…せんぱ…あぁっ…」

俺の背中に爪を立て、痛い位に力が入り始めた。
なおも続けると、足を閉じ、つま先をピンと張ったと思ったら、急にビクンビクンと弓なりにしなった。

277 名前:10[]:2005/04/13(水) 08:27:42 ID:BSkmQq/K
「あぁ…!あ……あ…あ…はぁ…せんぱい…」

まだ息も付けずに、何が起こったかも分からない虚ろな目でぐったりとしているのだめを力いっぱい抱きしめる。

「せんぱい…のだめ…恥ずかしくて死んじゃいそうです…こんな…変な声…それに、汚いとこ触らせて…」
「俺は嬉しくて死にそうだけど…」
「え…?」

そろそろこっちは限界だった。
ズボンの中で痛いぐらいに張り詰めてるのが分かった。

のだめの服と下着を脱がせ、全裸にさせた後、自分も服を脱いだ。
再度、のだめが濡れている事を確認して、声を掛ける。

「のだめ…入れてもいい…?」
「こ…怖いデスけど…が、頑張ります…」

カタカタと震えている体をぎゅっと抱きしめ、軽くキスをして、そっとのだめの膣口に自身をあてがった。
そのままゆっくりと前進させる…が、やはりきつくて思うように行かない。

「のだめ、力抜いて…」
「し、自然に力が入っちゃいます…」
「頭の中でヴィヴァルディの四季を流して…」
「え…はい…」

ますます力が入っている。

「おい…冬じゃないぞ、春だぞ…」
「あ…冬を流してました。春デスか…」


278 名前:11[]:2005/04/13(水) 08:29:14 ID:BSkmQq/K
脳内音楽で少しはリラックスしたのか、力が抜けてきた。
時間を掛けてゆっくり入れて何とか根元まで挿入するが、あまり激しい動きはこいつの体が持たないだろう…。
現に苦痛に耐えているのか眉間にしわが寄っている。
俺はというと、さっきの興奮と、三年ぶりのセックスですぐにイってしまいそうだ。
早漏と思われるのもしゃくだが…。

「のだめ、動くぞ…」
「う〜…痛い…デス。ゆ、ゆっくりお願いしマス…。」
「あぁ…」

のだめの右足を抱え、前後に動き始めるとのだめの胸がそれに合わせて揺れる。
キツくて、でも柔らかくて…やばい…めちゃくちゃ気持ちいい…。
ごめん、と小さくつぶやいてゆっくりという約束を破り激しくピストンしてしまう。
のだめは歯をくいしばって耐えている様だがそれも短い時間のこと。
すぐに果ててしまった…。

279 名前:12[]:2005/04/13(水) 08:32:57 ID:BSkmQq/K
「のだめ…ごめん…痛かった…よな…」
まだ虚ろな目をしている彼女のおでこに張り付いている髪の毛を避けながら抱き寄せる。
俺は、嬉しくて愛しくて堪らないけど、きっとこいつは苦痛の方が大きかったよな…。
「痛かった…けど、し、幸せデス…千秋先輩と…のだめ…」
「俺も…我慢してた甲斐があった…」
「な、なんデスか、我慢って…下品デス!」
「な…仕方ねーだろそんなん。好きな女が四六時中一緒にいるんだから…男の事情ってのがあったんだよ!」
「ほわぁ…今の、今のもっかい言ってください!」
「え?男の事情?」
「違います!その前です…」
「四六時中…?」
「…先輩…わざとでしょ?」
「あっはっは、ほんと面白いなお前。………好きだよ。」
「ぎゃはぁっ!死にそうデス!」
腕から逃れ、布団をかぶってしまったのだめを追いかけ、背中越しに抱きしめる。
「愛してる恵、ジュテーム、ヤーリュブリーバース、ウォーアイニー」
「も、もう十分ですから…」
「あぁ、コタツは持って帰ってくれよな…」

280 名前:名無しさん@ピンキー[]:2005/04/13(水) 08:35:51 ID:BSkmQq/K
おわり

281 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 09:52:35 ID:6IrB2xUm
朝からGJ!

282 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 10:34:59 ID:EAdRMxDJ
Gj!
ウォーアイニーワロタ

ヤーリュブリーバースって、ドイツ語ですか?

283 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 12:33:28 ID:mENrK8sj
GJ!
昼から素晴らしいものを見させて頂きましたよ!
ありがとう!

284 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 14:59:30 ID:GNCfVMy1
初めてのぎこちない感じと千秋の心の葛藤がよく出ててGJ!!
まったり濃厚えっちもいいけど、初々しいのもいいですな〜(´∀`)

ドイツ語は イッヒ リーベ ディッヒ だね

285 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 20:23:46 ID:kUjiAxXY
GJ!


286 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 21:01:48 ID:QOkvBcac
待ってました! GJ!


287 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 21:21:30 ID:6zMYqN35
ありがとうございました!!!

288 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 22:24:11 ID:DKrn2iN/
ヴィヴァルディの冬。笑った。
GJ!!!

289 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/13(水) 23:13:45 ID:rZpZsAfR
プレゼントがコタツだったのにワロタ
GJ!!すごくイイ!


290 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/14(木) 00:34:08 ID:9RzfKPr5
ヤーリブリュー
は、ロシア語だね。

291 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:2005/04/14(木) 01:13:47 ID:JVRKIce6
面白かった!ウマイ!

292 名前:1[]:2005/04/14(木) 02:36:48 ID:2X8zxngT
初めて体を重ねた日から数日経った。
俺はというと、初公演の為、ホテルに缶詰状態で
あれ以来、一度ものだめに会えない日が続いている。
携帯の着信履歴を見る…が、あいつの名前は無く、楽団関係者とエリーゼの名前しかない。

まるで、こっちが片思いしてるみたいじゃねーか!!
素直にこっちから電話すればいいんだけど、あいつは昼は学校だし、夜は
遅くにならないと時間は空かないし…。
初めての後なんだし、もっと甘ったるい関係を望むのは当然じゃないのか?

公演自体は大成功だが、千秋の関係者からの評価と、苛立ちは比例し
最終日を明日に控えた今夜、最高潮になっていた。

しかし、その苛立ちをぶつけることもできず、空になったミネラルウォーターのボトルを
ゴミ箱に乱暴に投げつける…が、大きく弧を描いて見当違いの方向に落ちた。

まぁいいか…明日になれば会えるし、帰ったらサルみたいに…じゃなくて…
少しずつ慣らしてってやろう。
二回目だし、前よりはスムーズに出来るといいんだけど…。

幸せな妄想をしながら、千秋は眠りに落ちていった。

293 名前:2[]:2005/04/14(木) 02:37:33 ID:2X8zxngT
パリの朝

のだめはいつものように、ターニャに起こされると、面倒臭そうに髪の毛を梳かし始める。

「ノダメ!早くしてよー!私まで遅刻しちゃうじゃない!」
「ほぎー!待って、まだパジャマです!」
「もー!私が服選んどくからノダメは顔を洗ってきて!」

言われるまま洗面所に向かうのだめだったが帰ってくると、ターニャがクローゼットの前で
のだめの服を広げ、座り込んでいた。

「どしたんデスか〜。今日の服選んでくれました?」
「ノダメ…あんたこないだ買ったばっかのニット伸びまくってるのは…。千秋って見た目以上にアニマルなのね…意外だわ。」
「ぎょわ〜!違いマス違いマス!ターニャエロです!」
「何が違うのよ。あの日シたんでしょ?」

ニヤニヤと嬉しそうに笑いかけてくるターニャに、顔を真っ赤にしながらもごまかせないと悟るのだめ。

「あ、あれは違うんデスよ!もう忘れたいんデス!」
「忘れたいって…まさかほんとに無理やりされた…とか?」
「そうじゃナイですよ…。も〜早くしてくだサイ遅刻しちゃいマス!」
「な…あんたを待ってたんでしょー!?」

バタバタと慌しく出かけて行く二人だった。

294 名前:3[]:2005/04/14(木) 02:38:03 ID:2X8zxngT
のだめは悩んでいた。

あの日の事。初めての…。
先輩は最初から最後まで優しくてくれたし、好きだとも愛してるとも言ってくれたけど…
翌日公演に出かけていった先輩を見送って…それで前日の事を思い出してジタバタと一人で
恥ずかしさと嬉しさにひとしきり大暴れした後、ふと悪い考えが頭をよぎってしまった。

先輩って…前は彩子さんと付き合ってたんデスよね…。
のだめ、初めてだし、あんなにスタイル良くないし…。
千秋先輩あんなにかっこいいから、その前にも綺麗な人といっぱい付き合ってて…。
きっと初体験は小学生の時の家庭教師のスタイル抜群なメガネ美人で…。
のだめの体見て、がっかりしたとか…。めいっぱい痛がって困らせちゃったし…。
ほいでもって優しいから、のだめを傷つけないように、優しくフォローしてくれただけで…。

考えれば考える程気が滅入ってくる。
さっきまでは、あんなに幸せな気持ちでいっぱいだったのに。
ピアノの蓋を開け、弾いてしまうのは魔王だった。


295 名前:4[]:2005/04/14(木) 02:38:41 ID:2X8zxngT
千秋が帰ってくる日がやって来た。
折りしもその日は寒の戻りか底冷えのする冬日だった。
その日に帰ってくる事は知っていたけど、なんだか会うのが
恥ずかしくて、嬉しいはずなのに、先輩の顔見るのが怖くて、個人レッスン用の部屋で一人暗くなるまで練習に耽っていた。

「こんなことしてても、どうしようもないけど、今はなんだか会いたくないんデス…」

ひとりつぶやいてまたピアノを弾き始めるが、もう時計は8時を回っていた。
そろそろ帰ろう…。
帰り支度を済ませ、とぼとぼとアパートへの道を歩き始めた。

下からアパートを見上げると、千秋の部屋には電気が付いていた。

帰ってる…って当然だけど…公演成功したのかな…お話聞きたいナ…。
きっと先輩のことだから天狗になりまくってんでしょうネ…。カズオ…ぷぷ。

会いたい気持ちは募るが、やっぱり勇気が出ずに、自室の鍵を音を立てないように注意しながら開ける。
電気も付けると帰ってきたの気付かれちゃうから、付けないでおこう…。

ガタッ…

暗がりの中、手探りでコートとマフラーを掛けようとするが、なにせ物が散らかっているせいか
つまづいて転んでしまった。
「イタタ…しまった…気付いた…カナ。でも疲れて寝てるかも…。」
隣からは物音一つしない。

296 名前:5[]:2005/04/14(木) 02:40:36 ID:2X8zxngT
安心して、シャワーを浴び、やはり手探りで寝る準備をしている時だった。

ピンポーン

ふいにチャイムが鳴り、のだめは口から魂が出るくらいビックリしてしまった。
のぞき窓からそーっと覗くと、案の定千秋先輩が腕組みして仁王立ちしている。
その姿にますますビク付いてしまい、じっと息を殺していると、今度はドアノブをガチャガチャと
乱暴に回したり、ドンドンと叩いてくる。

(ひえーっ、山賊みたいデスよ、先輩…!でも、今日は会いたくないんデス!のだめは留守デス!)

しばらくそうしていると、諦めたのか音が止み、足音が遠ざかっていった。
ホッとしたその時だった。

月光が遮られ、人影が窓を覆った。
千秋は窓の外からコンコンとノックしてくる。

「おい、お前いるのは分かってんだよ。いい加減諦めろ。わかったら早く開けろ。」

声色は明らかに怒りを帯びていて、それもこれものだめが悪いから当然なんデスけど…。
でも、窓からってルパン三世デスか!?


297 名前:6[]:2005/04/14(木) 02:41:32 ID:2X8zxngT
カーテンを開けずに返事をする。

「私はのだめの妹デス!留守を預かってるだけデスよ!」
「お前、いつ妹出来たんだよ…。早くしないと窓割るぞ。大家の身内だから許されるんだよ!」

その声に合わせ、本当にノックが激しくなる。
急いで窓を開けると、千秋はその隙間から滑り込んできて、のだめの両方の頬を思いっきりつねった。

「お前!何避けてんだよ!」
「しゃ、避けてないデスよ…にょだめ、実は結核なんデシュ。うちゅるといけないデシュから…。」
「血色のいい結核患者だな。人が疲れて帰って来てるってのに、出迎えも無しなんて…。
俺はお前に会うの楽しみにしてたんだぞ。お前は違うのか?俺が何した?」

一気にまくしたてる千秋に、二の句も告げずにうつむくのだめ。

やばい…泣きそうデス…心がモヤモヤして…

「と、とにかく今は会いたくないんデス!一人にしておいて!」

い、今のは結構傷ついた…。クリーンヒットだ…。
でも、本当にこいつなんかあったのか…?心当たりと言えばアレしか無いけど、まさかほんとに嫌だったとか…。
ひょっとして、早かったから嫌いになった…?
それとも、あまりの痛さに俺が憎かったとか。
初夜の後、急に冷たくなるなんて、男の泣き所を押さえた素晴らしい攻撃をしてきやがって…!
くそ…こんなにこいつの事だけ想ってるっていうのに…!

298 名前:7[]:2005/04/14(木) 02:42:55 ID:2X8zxngT
次の瞬間、泣きそうな顔で千秋を押し返すのだめの両手をつかみ、強引にキスをする。
そのまま、楽譜やらさきいかやら乗っているベッドに押し倒した。

「のだめ…今になって俺を拒むな…!!」
「や、やめてくだサイ…お願い…」

のだめは泣いていた。
いくら好きな女でも、泣いている相手を強引に、というのはやはり良いものでは無いだろう。
なんなんだよ…ほんとに…。

「ごめん…もうしないから…。」
「うっ…うっ…」
「ごめんな…ごめん…」

千秋はそれから小一時間のだめの頭を撫で続けて、寝たのを確認すると、今度は玄関から静かに出て行った。


299 名前:8[]:2005/04/14(木) 02:45:05 ID:2X8zxngT
それから数日、お互いに会わないように、避けている二人。
まるで、コンクールの後のあの日のように…。

そんな二人を見かねて、ターニャが、部屋に招待をしてくれた。
定番のウォッカに、酒の弱いのだめはすぐに真っ赤になって酔っ払い、
つい今回の事を話してしまったのだった。

「あ〜、それは死ぬ程ショックだったと思うわ。」
「死っ?」
「あたしが男だったらインポになってもおかしくないわね。立ち直れないわよ。」
「ほぎっ、のだめそんなつもりじゃあ…(インポって…?)」
「そんなつもりじゃないとこが自己中だって言うのよ。
い〜い?普通一回許しちゃうと、それこそサルのようにヤリたくなるものなのよ男って。
それが好きな女ならなおさらそうでしょ?
しかもしばらく離れ離れでやっと会えたのに、そんな反応されたら、チアキは嫌われたって思ってるんじゃない?」

「でも、ノダメの方こそがっかりされちゃったと思って…もうダメです〜」
「がっかりって…チアキがそう言った訳?」
「言うわけないじゃないデスか!それどころかすごく優しくて…」
「じゃあ、何がそんなに不安なのよ。そんな夜中にノダメに会う為に窓から侵入なんて
よっぽど想われてるんじゃないの?普通嫌いな女にそんなことする?」
「でも、先輩の前の彼女すんごく綺麗な人だったんデスよ?それに、先輩の初体験は
グラマーな家庭教師なんデス…。そんな百戦錬磨の人相手にのだめ…」
「い、意外と軟派なのねチアキって…。でも、要するにー、ノダメ嫉妬してるのね。」
「嫉妬?」
「前の彼女ーズに嫉妬してて拗ねてるだけじゃない。
もー、そんなのに振り回されるチアキが可哀相!なんならあたしが…」
「あー、ダメですダメです!!先輩とのだめは一心同体なんですから!」
「一心同体なら、ちゃんと謝ってしっかり奉仕してあげなさいよ。まったくもー!」
「奉仕って…エロですターニャ!ロシアンエロですよ!」

酒宴は明け方まで続いた。

300 名前:9[]:2005/04/14(木) 02:46:06 ID:2X8zxngT
早朝、テーブルに突っ伏しているターニャを尻目に、昨日彼女に言われたことを考えてみる。

嫉妬…って、そうなんデスかね…。
のだめ真澄ちゃんや、萌薫姉妹には先輩を取られないよう闘争心が燃えたことはあったけど
彩子さんは、なんだか世界が違う人みたいでそんな気持ちになったことは無いけど…。
でも、彩子さんと比べられたのかも…って思ったらなんだか悔しくて悲しくなって…。
これは、つまり、前の彼女に嫉妬ってことになるのかな。
でも、先輩のだめのこと好きって愛してるって言ってくれた。
それをほんとに信じていいんデスか?
のだめがどんなにみっともなくても嫌いにならないでくれるんデスか?

もうのだめの中で答えは出ていた。
そっとターニャの部屋を出ると、その足で千秋の部屋に向かった。

ピンポーンピンポーン
いつも通りチャイムを二回。
どうか先輩が出てきてくれますように…!

しばらくして、静かにドアが開いた。
寝ぼけ眼の千秋はのだめの姿を確認すると、幾分か驚いたようだった。



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