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のだめカンタービレ2

1 名前:1[]:05/02/09 00:41:02 ID:xCktttJi
ここは、のだめカンタービレのエロパロです。
職人さん達が投下しやすいようにまったり待ちましょう。

前スレ のだめカンタービレ   
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1096824021/

のだめカンタービレ・2chの過去ログ保管倉庫
http://www.geocities.jp/nodame2004jp/

2 名前:名無しさん@ピンキー[]:05/02/09 00:44:09 ID:YlWNXiRc
2?



3 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 00:44:49 ID:R2iuj57P
3

4 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 00:45:15 ID:lxWmK0Il
4様

5 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 00:45:29 ID:k8LFP2xN
>>1


6 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 00:47:13 ID:46h5bL9t
神待ち。

7 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 00:47:42 ID:zAA5HG9L
>1さん 乙です。
ありがとう。

前スレの842タンは、ここに気づいてくれるかな……
楽しみにしてるんで、続きよろしくねー。待ってるヨー!!

そのほかの神の光臨もお待ちしています。
結構、いいタイミングで新スレ立てられたのかもね。
もう、私萌え全開ですw

8 名前:1[sage]:05/02/09 00:54:05 ID:xCktttJi
こちらこそ、色々ミスしてすみません。
でも次回のスレ立ては容量からいって900を踏んだ時点でスレ立てした方がスムーズかもしれませんね。

9 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 02:16:30 ID:JKKSKijF
>>1さん乙!
842さん、カマーン!

10 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 08:47:44 ID:JKKSKijF
早売りゲットしてきた。あへー!
エロはないけど、バカップル…。

11 名前:842[sage]:05/02/09 09:55:49 ID:Owva1zIG
おはよーゴザイマス。
前スレ書き込めなくなっちゃったのですね。
〉1さん乙です。

それじゃー、つづきイキマス。

12 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 10:09:24 ID:vxDSdKU7
埋まっちゃってたのか。書き込み試すまで気づかなかったよ。
スレ立て乙です>1さん

842さん、文章上手いですねー。誤字脱字少ないし。
詩っぽくまとめられたエロも官能的でした。
続き楽しみにしています。

ところで、今更なんですが、一応前スレのリスト、
アンカー無しで載せておきます。
このスレは保管庫に格納いただけるみたいなので参考にしていただけると有難いです。


13 名前:エロパロ板のだめスレ1(前スレ) 目次1/2[sage]:05/02/09 10:25:40 ID:vxDSdKU7

◆完結SSリスト

 01.「のだめ×千秋」……19さん作 ■>20-27 
 02.「千秋×彩子」……46さん作 ■>36-46 
 03.「 題名ナシ 」(菊池×いずみ)……名無しさん作 ■>103-105 
 04.「千秋カンタービレ」(エリーゼ×千秋)……ピアノさん作 ■>131-142>145-155
 05.「Kiss away」(千秋×のだめ)……ピアノさん作 ■>234-251

 06.「千秋×のだめ」……226さん(=dropさん)作 ■>259-265
 07.「へタレ千秋」……285さん(=dropさん)作 ■>289-294
 08.「千秋×のだめ」……名無しさん作 ■>332-335>344-347
 09.「千秋×のだめ」……名無しさん作 ■>359-365>377-382
 10.「Kiss it better」(千秋×のだめ)……ピアノさん作 ■>397-414>437-458

 11.「千秋 in フィンランド」(オリジ現地女性×千秋)……名無しさん作 ■>486-495
 12.「 題名ナシ 」(黒木×のだめ)……501さん作 ■>501-506、>803-804、>806-810、>814-821
 13.「私を温泉へ連れてって」(千秋×のだめ)……ヴァイオリンさん作 ■>520-535>542-553
 14.「露天風呂編」(千秋×のだめ)……ヴァイオリンさん作 ■>569-577 
 15.「嫉妬」(千秋×のだめ)……dropさん作 ■>588-603>695-704

 16.「前夜」(峰×清良)……ピアノさん作 ■>635-652
 17.「変態の森へ」(千秋×のだめ)……dropさん作 ■>756-760
 18.「 題名ナシ 」(千秋×のだめ)……501さん作 ■>831-836、>852-861
 19.「眩暈」(千秋×のだめ)……842さん作 ■>842-843、>863-864、>883-886
 20.「マシュマロ」(千秋×のだめ)……dropさん作 ■>844-846、

 21.「 題名ナシ 」(俊彦→のだめ)……501さん作 ■>871-880
 22.「 題名ナシ 」(千秋×のだめ)……名無しさん作 ■>897

       完結SSリスト 以上。


14 名前:エロパロ板のだめスレ1(前スレ) 目次2/2[sage]:05/02/09 10:27:39 ID:vxDSdKU7

◆連作案内

 I  05.「Kiss away」 → 10.「Kiss it better」
    ピアノさん作(千秋×のだめ)
    ■>234-251>397-414>437-458

 II  12.「私を温泉へ連れてって」 → 13.「露天風呂編」
    ヴァイオリンさん作(千秋×のだめ)
    ■>520-535>542-553>569-577

 III 06.「千秋×のだめ」 → 07.「へタレ千秋」 → 16.「変態の森へ」
    dropさん作(千秋×のだめ)
    ■>259-265>289-294>756-760


◆未完SS

 「 題名ナシ 」……71さん作(鈴木姉妹×千秋予定) ■>84-88 未完
 「新婚さんいらっしゃ〜い♪」(千秋×のだめ)……842さん作 ■>904-906、>910-911、>914-915 未完
  ※次スレ(エロパロのだめ2)で続き連載予定


◆ネタ

 「峰の裏試験」……名無しさん作(原作のギャグエロパロ) ■>514-516
 「他の作者がのだめカンタービレを描くとどうなるか」……名無しさん作 ■>627-628

       エロパロ板のだめスレ1(前スレ)目次 以上。


15 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 10:35:04 ID:vxDSdKU7
アンカーつけないと単色で見づらかったので、■マーク入れさせていただきました。
読みづらかったらすみません。

では、6さんと同じく神待ち。

16 名前:842(未来形)8[sage]:05/02/09 10:46:08 ID:Owva1zIG
「ふわあ〜、なつかしいデスね」
かつて共に学んだ桃ヶ丘音楽大学の校門前にタクシーを停め、千秋とのだめはしばし
その校舎を眺めた。今は夏休み中だが、それでもさまざまな楽器の音が聴こえる。
「変な学校だったけどな……」
過去のさまざまな出来事を思い出し微かに眉をひそめる千秋だったが、その表情は穏やかだ。
がんばれよ、と自分たちの後輩に当たる学生たちへ心の中でエールを送り、のだめに左手を
差し出す。
「そろそろ行くぞ」
二人手をつないで、秋の気配を感じさせる涼しい風の中を歩いた。

ガラガラと営業中の札が掛かった扉を開けると、中から「いらっしゃい!」と
いう陽気な声が響いた。
「峰くんパパ〜! お久しぶりデス」
「のだめちゃん!? それに千秋先生も!」
「どうも」
のだめと裏軒のマスターが再会の喜びに盛り上がる横で、千秋は一言挨拶すると
学生時代の指定席だったテーブルに着く。
龍〜、千秋先生とのだめちゃん来たよ〜、とマスターは二階に向かって声を上げ、
「二人ともお昼まだでしょ? なんでも作るから言ってよ」
とにこにこ笑いながら言った。
「のだめ、マーボーにごはん!」
「俺はクラブハウスサンドとエスプレッソ」
はいよー、と厨房に入っていくマスターにお願いしマースと声をかけてから、のだめは
千秋の隣に腰掛けた。
すると、トントントン、と階段から下りてくる足音が聞こえ、奥から峰が顔を出した。
「おお、悪かったな呼び出して」
せっかくの新婚☆バカンス中に、とにやにやしながら千秋の前に座る。
「新婚、は余計だ!」
「いーじゃんほんとのことなんだしー、なぁのだめ?」
「しんいちくんは照れ屋サンなんですヨ。それより峰くん、清良サンは?」
千秋の反応を横目にプププ、と笑いながら、のだめは尋ねた。


17 名前:842(未来形)9[sage]:05/02/09 11:40:03 ID:Owva1zIG
「いま子供寝かしつけてるトコ。すぐ来るよ」
今や世界的に有名なヴァイオリニスト、三木清良。彼女は1年ほど前まで千秋たちと
同じようにヨーロッパを中心に活動をしていたが、妊娠が発覚し、結婚。
現在は子育てに専念して休業中である。この、峰の妻となった女性とのだめは、留学中に
千秋の紹介を通じて知り合い、以来仲のよい友達だ。
「そっか。沙良ちゃんもう5ヶ月でしたっけ? あとで会わせてクダサイね♪」
「おう、かわいいぞ〜」
デレデレと親バカぶりを発揮する峰に、お前に似なくてよかったよな、と憎まれ口をたたく
千秋だったが、その眼差しは暖かいものであった。
「で、話ってなんだ?」
「ん? ま、まぁ、先に飯でも食えよ。そのうち清良も来るから、話はそん時にでも」
少し焦り気味の峰にあやしい、と危険な香りを察知した千秋だが、ちょうど頼んだものが
マスターによってテーブルに運ばれてきたので言葉に従うことにする。
千秋の心の中の不安が大きくなっていることをよそに、のだめは
「ムッキャーッ!! マーボー最高デス!!!」
はうはうと目の前の昼食に夢中になった。

「二人とも久しぶりね〜」
昼食を食べ終わり一息ついている二人に向かって、清良は鮮やかな笑顔を見せた。
沙良は? 今よーやく眠ってくれたわ、という子持ちらしい会話を交わしつつ、
峰の隣に座る。
「ごめんね〜、結婚式に出られなくて」
「いいんですよーそんなこと。清良サンはママになるためにがんばってたんですカラ」
出産予定日に近かったため出席できなかったことを謝ると、のだめは今度写真でも見て
くだサイね、と微笑む。
見る見る〜♪ と盛り上がる女性陣の会話には加わらず、
「じゃ、話とやらを聞かせてもらおうか」と千秋は言った。

18 名前:842(未来形)10[sage]:05/02/09 12:28:07 ID:Owva1zIG
「断るっっ! 絶対に! 断固として! 断る!!!」
拳を握り締めて立ち上がり怒りをあらわにする千秋に、峰はなおも食い下がった。
「そんなこと言わずに〜。親友☆だろ、俺達」

峰の話というのは、テレビ出演の依頼だった。R☆Sオケは今や固定客が多数いる
人気の高いオーケストラであり、宣伝などしなくてもチケットはほぼ売り切れ状態。
しかし峰の野望はここで満足するものではなく、未だお堅いというイメージを
払拭できずにいる日本のクラシック界に旋風を巻き起こしたいと考えていた。
そこに友人である指揮者とピアニストの結婚というニュースが飛び込んできたのだ。
二人は日本でも有名であり、現実にそのニュースは世間を騒がせた。当然、すでに
出演が決まっていたR☆Sの事務所にも取材依頼が舞い込んでくる。これを使わない
手はない、と峰は頭の中で計画を練った。

その考えに反論はない、と千秋は思う。彼とて、日本でももう少し気軽にオケを楽しめる
雰囲気があればと考える一人である。そのための協力は惜しまないつもりだ。
しかし……。
「だからって何で『今夜は新婚さん』なんだ――っっっ!!!」
『今夜は新婚さん』というのは、有名人の新婚夫婦をゲストに迎えて、トークを繰り広げる
人気の番組である。
「だってお前らの結婚って、結構ビッグニュースだったしよぉ。俺あの番組好きなんだよ」
ざけんなー!!! と千秋は峰の襟元を掴んで強く揺する。
「お前らが出て宣伝すればいいじゃねーか!」
「俺らもう新婚じゃねーもん」
ハートはまだまだ新婚ラブだけど♪ と言う峰に、千秋は鉄拳を食らわせた。

19 名前:842(未来形)11[sage]:05/02/09 13:44:04 ID:Owva1zIG
ひ、ひどい、と涙ぐむ峰を見下ろし、まだ怒り覚めやらぬ様子の千秋。
「だいたいなー! 俺の事務所は――」
「エリーゼならO.Kくれたぞ」
出演料の3割入れるって言ったら「よろぴくー」って、と言って峰は不敵の笑みを
見せる。千秋は脱力した。
――エリーゼェェ! あの女自分のバカンスのために、この金フトコロにしまい込む
  つもりだなぁっ!!
ブルブルと打ち震える千秋は、ゆっくりと清良の方に顔を向けた。
「……清良、お前はどう思ってんだ?」
そのオーラに、かつての鬼千秋を思い出した清良は後ずさりながらも。
「わ、私が龍のやるコトに反対するわけないじゃな〜い♪ 今度の公演は
 私の復帰戦でもあるんだしぃ……」
そう、清良は長かった休業期間を、今回の公演で終わらせる予定である。
盛り上げていきましょうよ〜と言う清良を前にして、千秋は改めてこの二人が
夫婦だということを思い知らされた。
「……とにかく、この話は無しだ。行くぞ恵!」
いままでの会話の中で、ただオロオロしていたのだめの腕を掴み、足早に外へ
出ようとする千秋。彼の前に立ちはだかったのは、峰パパであった。
「せんせぇ〜、……食い逃げですか」
キラリと光る包丁に、千秋は最後の頼みの綱とのだめに尋ねる。
「……お前は、どう思うんだ?」
「え、えと。のだめは別にかまわない、ていうか〜、むしろ出たい、みたいな♪」
がっくりと肩を落とす千秋であった。

20 名前:842(未来形)12[sage]:05/02/09 14:50:57 ID:Owva1zIG
えへ〜、『新婚さん』に出るの夢だったんデスと言うのだめと。
楽しみね〜とにやりとする清良。
お土産持ってってよといきなり上機嫌になる裏軒おやじに。
んじゃ、事前に連絡行くと思うけどよろしくと肩を叩く峰。
――何故、こんなことに!!!
この四人に囲まれて、激しくブルーになる千秋がいた。

その時、上の階から赤ん坊の泣き声が聞こえ、「あ、いけない」と清良があわてて
2階に駆け上がっていった。
「あ、そだ! 帰る前に沙良ちゃんに挨拶しなきゃ」
のだめが言うと、清良が赤ちゃんを抱いて下りてきた。母親のぬくもりに安心したのか
目じりに涙をためながらもニコニコと微笑んでいる。
「ほわぁ、かわいいデスね〜」
「だろ〜?」ウチの娘は世界一、と峰は満足げにうなずく。
抱っこしてみる? と言う清良に、いいんですか〜? とのだめはおずおず赤ちゃんに
向かって手を伸ばした。初めはキョトン、としていた沙良だったが
「のだめデスよ〜。よろしくね♪」と笑いかけると、しっかりとしがみついて
笑い声を上げる。そんなのだめの様子をまだショックの抜けきらない顔で見つめていた
千秋だったが、赤ちゃんとのだめという構図になんとなく気恥ずかしくなり。
「この場にいる人間で心が黒くないのは、俺とお前だけだな」
沙良を覗き込むようにして言った。そして何の気なしに、ふわふわのほっぺたに
軽くキスを送る。千秋のこの行動に、一人固まった男がいたことを誰も気づくことは
なかった。そして千秋とのだめは自分たちの家に帰っていった。


21 名前:842(未来形)13[sage]:05/02/09 15:06:02 ID:Owva1zIG
――千秋真一、許すまじ。

沙良のファーストキスを奪いやがってぇぇぇ!!! 俺でさえまだしたことなかったのにっ!
怒りの炎を燃やしながら、紙に向かってなにやら書いている峰の様子に清良はただならぬもの
を感じたが、触らぬ神に祟り無しと知らぬ振りを決め込んだ。
峰は出来上がったものを、不気味な笑い声を挙げる中メールやファックスで知人に送りつけた。

              通知

この度、今月15日放送の『今夜は新婚さん』にて千秋夫妻出演決定。
千秋に恨みを持つ者、からかいたい者、その他なんでもO.K
番組の「視聴者からの質問」コーナーにキミの気持ちをぶつけよう!
ユーモアあふれるダークな質問、待ってるゼ。
                          峰☆

送り先は、そのほとんどが千秋とのだめも面識のある音楽仲間だったため、本気で
千秋を敵視する人間はいなかった。だが、こんな面白いことを見逃す人間もまた、
一人もいなかったのである。
「へっくしゅっ」
背中に悪寒を感じた千秋は、傍らにあるぬくもりを引き寄せて、再び眠りについた。


22 名前:842です[sage]:05/02/09 15:36:44 ID:Owva1zIG
今日は、ここまで、かな。
本当は今日中に終わらせたかったのですが、
予想外に長くなってしまって……。

感想、どうもありがとうございます。
ではでは。

まだまだ、つづく。

23 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 18:46:48 ID:JKKSKijF
842さん、楽しませていただいてまーす!
ユーモア溢れるダークな質問…。むっちゃ楽しみ〜。
ところで、「新婚さんいらっしゃ〜い」って
今もやってたんでしたっけ?
司会は桂●枝師匠ですか?
「いらっは〜い」って独特の発音とか、
椅子から転げ落ちるのとか健在なんだろうか…。

24 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 18:58:07 ID:0h90yDAn
それとNHKの「今夜は恋人気分」も入ってますよね。
あっちは熟年夫婦ですけど。
この間、指揮者とピアニストのご夫婦(岩城宏之・木村かをり)がでていて
千秋たちもこんな風になるのかなぁて萌え萌えでした。

旦那さんが奥さんのピアノが好きで
「現代音楽を弾かせたら世界一だと思っている」なんて言っていたのが印象的でした。

この旦那さんは、演奏旅行ばかりの自分につきあわせて
奥さんがピアニストとしての活動が、十分にできないことがあったのも気にしていて
なんだか、のだめをどうしていいのか悩む千秋とだぶりましたよ。

25 名前:ふおおお![sage]:05/02/09 19:32:00 ID:5WTPweai
842さんGJ!すべての場面がコマ割りまで目に見えるようですた!

26 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 20:49:22 ID:hEqxw6Lo
842さん、面白展開になりそうで楽しみですw!

>23さん
豪快に椅子から転げ落ちる、はいまだ健在ですよ〜
椅子まで転がるほど派手に転んでますw。

27 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 21:48:44 ID:JKKSKijF
23です!
26さん、ありがとうございます!
椅子まで転がるほど派手になってるんですか!ふぉぉぉ〜
機会があったら見てみます!

28 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/09 21:49:45 ID:367tt2bZ
842さんGJ!
面白いですね、ストーリーが練ってある感じで。
続き期待してます。

目次作ってくれた人も乙です。
前スレの最後の方は結構混在していたので助かりました。

29 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 02:18:12 ID:xazk+8ZM
ここの住人、結構難民板にいますよね?
私もそうだけどw

向こうでSSが出来そう、って書いている職人さん、ここに投下してくれると嬉しいな。

>842さん
すごく楽しみにしてます。
投下待ってるよー。

30 名前:842です[sage]:05/02/10 09:52:06 ID:vp/Z6IiC
おおう!! たくさんのコメントありがとうございます。
「今夜は新婚さん」は、皆様お気づきのとおり、三枝師匠の番組と
NHKの番組のごった煮でございます。でも中身は……。

それでは、つづきガンバリマス!

31 名前:842(未来形)14[sage]:05/02/10 10:56:13 ID:vp/Z6IiC
運命の15日は、あっという間にやってきた。事前の打ち合わせでは、学生時代の
ことや、留学中、そしてヨーロッパでの活動を中心とするエピソードについて、
司会者と対話形式で話をして欲しいということだったので、普段から受けている
インタビューとそれほど変わらない。念のため番組を一度見てみたが、バーカウンター
風のセットの中で、司会者である女優と気軽に酒を飲みながら語り合うという、ごく
普通の内容だったため、千秋は少し安心していた。
――生放送ってところがひっかかるけど……。
ピアノの演奏も頼まれていたので、モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」を
数回合わせて、二人はテレビ局入りした。

一方その頃。裏軒の2階では……。
部屋の掃除をしていた清良は、ファックスの横に丸められた一枚の紙を発見した。
「なに、コレ?」
愛娘のかわいい寝顔にデレデレしながら見入っていた峰に問い詰める。
「あっ! それは……」
清良の手にある紙の、通知……と書かれた文字を見て、峰は青ざめる。
「龍、あんた千秋君に恨みでもあるワケ?」
「だってよー……」と峰は目をそらしながら事の顛末を妻に話し始めた。
――沙良のファーストキスは、ヴァージンロードまで取っておきたかったんだ。
  花嫁の父として赤い絨毯の上を娘と腕を組んで歩き、にっくき男の前で
  最初で最後のキスを「幸せになれよ……」という言葉とともに……。
気の早すぎる妄想により、峰の頬には涙が伝っている。
「そんな俺の願望を、千秋の奴――」
「っかっわいい〜!!」
言葉を最後まで聞かずに、清良は夫に抱きついた。
「なんで早く言わないのよ〜。こんな面白そうなこと!」」
私にもいろいろネタはあるんだから、と言う清良に、さすが俺の真っ赤なルビーだと
峰は惚れ直すのであった。

32 名前:842(未来形)15[sage]:05/02/10 11:55:49 ID:vp/Z6IiC
「筒井かをりサン、すっごいキレイでしたね〜」
さすが女優さんデス、とのだめは興奮気味に話す。先ほどプロデューサーの人によって
千秋とのだめは番組の司会者である筒井かをりと引き会わされ、挨拶を済ませた。
彼女は気さくな感じで
「今日はよろしくね。私こういう口調で馴れ馴れしく感じるかもしれないけど、気にしないで」
と笑った。よろしくおねがいしますと頭を下げると、「気楽にいきまショー」と手を振って
自分の控え室に戻っていく。少し変わった人だな、という印象を千秋は持った。
「お前、ピアノしくじんなよ?」
「しんいちくんこそ、久々のピアノで恥かかないでくだサイね」
二人が軽口をたたいていると、ドアのノックとともに「そろそろお願いします」という声が
かかった。

皆さんこんばんは〜。『今夜は新婚さん』の時間です。司会はいつもと同じく、私筒井かをり。
今日のゲストは、今のクラシック界を担う若手指揮者の千秋真一さんと、その奥様でピアニストの
恵さん。私も一度お二人の演奏を聴きにいったことがあるんだけど、とっても素敵な音楽だったわ。
なんていうのかしらー、ほら、スウィートでムンムン? 思わず頬を染めちゃったくらいよ。
そんな音楽を紡ぎだすお二人から、今夜はどんな話が聞けるのか、私も楽しみだわ。
あ、こちらに来て座って。

独特の語尾をのばす口調でおなじみの番組挨拶を終えた筒井かをりは、セットのソデから
顔を出した千秋とのだめをカウンターの椅子に座るよう促す。並んで腰掛けた二人の前に
カクテルが置かれて、打ち合わせどおりにトークが始まった。

33 名前:842(未来形)16[sage]:05/02/10 13:01:12 ID:vp/Z6IiC
「二人は、大学で知り合ったのよね?」
「ええ。彼女は同じピアノ科の後輩で」
「ピアノ科? 千秋君は指揮科じゃなかったの?」
「あー、指揮の勉強は独学で、大学ではピアノを練習したかったので」
「すごく上手なんデスよ〜指揮者希望のくせに。嫌味な男デスよね〜」
「へえ〜。それで、二人の出会いは?」
「う、部屋が同じアパートの隣同士で。その時たまたま……」
「酔っ払ってウチの部屋の前に――」
「(ゴスッ)ま、まあ顔を合わせたんですよ!」
「じゃ、その時にお互い一目ボレってワケ?」
「まさか! 第一印象は最悪でしたよ。その時に見たコイツの部屋のありさまは――」
「(ムギュッ)し、しんいちくんは照れ屋サンなんですヨ! え、えとその後二人で
 連弾やることになってー」
「ぷっ。面白いわね〜二人とも。カウンターの下で攻防戦? とにかく音から二人の
 関係は始まったってことでいいのかしら?」
「……まあ、彼女のピアノを聴いたときは、すごく面白い演奏をするなーと」
「恵ちゃんの演奏に惚れ込んだ、と」
「……ええ、まあ」
「のだ、私は連弾の時からフォーリンラブ♪ だったんですケド。長いこと片思い
 だったんデスよー」
「そうなの? その割にはずいぶん仲良く学生生活を送ってたみたいだけど。ご飯
 作って一緒に食べたり……」
「ど、どこからそんな情報をっ!? ……そのマル秘☆メモってなんですか!?」
「ま、いいからいいから♪」

34 名前:842(未来形)17[sage]:05/02/10 14:31:02 ID:vp/Z6IiC
「それでは、CMのあとでお二人に思い出の連弾の曲を弾いてもらいましょー」

あの後のトークでも千秋とのだめの二人はお互いに墓穴を掘りながら、普段のインタビューでは
絶対に見せない素顔をさらけ出していた。その要因のひとつは筒井の手にするマル秘☆メモ
だったが……。
「アレ、絶対に峰の策略だよな……?」
あの野郎! と千秋は恥ずかしさに赤くなりながら握りこぶしを震わせる。
「お前もっ! もっとまともな会話をしろ!」
「しんいちくんこそ、余計なことは言わないでクダサイよっ!」
二人顔を合わせると、はあぁ、とため息をついた。
そう、この二人がいつも言わないようなことまで話してしまうのは……。
――筒井かをり、侮り難し。
彼女の持つ独特な雰囲気の魔力であった。

二人の演奏が終わって、もう一度CMをはさんだ後、トークが再開された。
「で、二人の夢だったピアノコンチェルトを成功させたあと、すぐに結婚したワケよね?」
「まあ、そうです」
「その頃はもうお互いに名の知れた音楽家だったわけだし、生活もすれ違いが多かった
 でしょー? そこらへんの葛藤はなかったの?」
「なかった、と言えば嘘になりますけど……。すれ違いが多い分、一緒にいられる時間を
 大切にしたかったし」
「音楽と家庭、両方のパートナーになれば、お互いもっとがんばれると思ったんデスよ〜」
二人はいつになく饒舌であった。筒井マジックにまんまと乗せられた上に、番組の前半で
さらした恥にヤケになって出されたカクテルをぐいぐいと空けてしまい、その酔いがまわって
きたのである。
その様子に初めはハラハラしていた番組プロデューサーであったが、結構面白かったので
そのまま筒井かをりにまかせることにした。

35 名前:842(未来形)18[sage]:05/02/10 15:11:19 ID:vp/Z6IiC
「それで、プロポーズの言葉は〜?」
「……そんなことこの場で言えるわけないでしょう!」
「も〜、しんいちくんたらいいじゃないデスかこの際白状しちゃっても〜」
「お、お前酔って……!?」
「なになに? すんごいロマンチックなのを期待してるんだけど」
「それが聞いてくだサイよ〜かをりサン。たった一言『結婚してやる』デスよ。
 ムードのかけらもないったら黒王子のくせに〜」
言うなーっ! という千秋の叫びとあははははっというかをりの笑い声がこだまする。
ここまでくるともう、いつもの夫婦漫才でしかなかった。

「ぷくくっ。さて、二人の楽しいお話をもっと聞いていたいけれど、ここでビデオレター
 を紹介するわね。びっくりするわよ〜」
その言葉にえっ? そんなの聞いてない、と二人があわてて目の前に置かれたモニターに
目を向けると、よく知っている男が映し出された。

「あ、ミルヒー」
つぶやくのだめの横で、顔色を失くす千秋。ビデオレターの主は、フランツ・フォン・
シュトレーゼマンその人であった。

36 名前:名無しさん@ピンキー[]:05/02/10 15:27:05 ID:RcLkr50p
>>842
面白いねー
ノベラゼーションやったら?マジで。

37 名前:842(未来形)19[sage]:05/02/10 15:59:36 ID:vp/Z6IiC
やあ、チアキ、のだめちゃん。ミルヒーデス。こんな楽しい企画を私に知らせてくれナイ
なんて、ヒドイですネ。デモ私の情報網をあなどってはイケマセンヨ。ムフフ♪
最近、のだめちゃんが色っぽくなってきたナー、と思っていタラ、結婚だもン。
ミルヒーはビックリですヨ。ヤルね〜チアキ。こんど会ったらいぢめマス。覚悟してネ。
のだめちゃんも、そんな無愛想なオトコほうっておいて、私ともっと楽しい時間を
過ごしまショウ。のだめちゃんの胸をチアキに独占させておくのはもったいない
ですからネ。私がイロイロ教えてあげマス。それじゃあ、またネ♪
あなたのミルヒーより。

「この、エロジジイーッ!!!」
「ムキャー! セクハラデスッッ!!!」
顔を真っ赤にさせて絶叫する二人に、筒井かをりの爆笑はとまらない。
しばらく笑い続けた彼女だったが、次のコーナーへと指示が書かれたカンペを見ると、
番組をまとめにかかった。このあたりはさすが女優、である。

「えー、では時間も迫ってきたので、最後のコーナーに。二人は3月にR☆Sオケで
 演奏する予定なのよね?」
「あ、ハイそうです」「その予定デス」
ミルヒーのビデオレターにすっかり逆上していた千秋とのだめは、我に返って
うつむきながら頷いた。
「がんばってね。私もぜひ聴きに行くわ」
ニッコリと笑ってから、かをりはカメラ目線になっていつもの台詞を続けた。
「さて、そんな今日のゲストのお二人に、視聴者の方からのメッセージを届けます。
 質問・疑問、なんでもO.K. 画面に映っている番号まで、どしどしファックスで
 送ってね」

いったんCMが入り、千秋とのだめは脱力した。次々と送られてくるメッセージに
書かれた内容を想像する気力も、もはやなかった。

38 名前:842です[sage]:05/02/10 16:07:48 ID:vp/Z6IiC
……ち、力尽きました。今日中に終わらせたかったのに。
えらいこと長いです。自分でもびっくりデス。

つづきはまた今度、ということで。ごめんなさい。
次こそは、終わらせる!

39 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 16:39:32 ID:iNcSb2zi
>842サマ
お疲れさまです〜GJGJ!才能溢れまくってますよ。
面白すぎて仕事中ににやけちゃう…
朝から少しずつ投下してくださるので、
ずーっと気になって気になって、1時間おきにのぞいてたりw
しょうじき、しごとがてにつきません。

続きも楽しみにしながら大人しく待ってます。

40 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 16:46:54 ID:vVxugRTF
842サン、う、上手いです。
たのしーです。

41 名前:名無しさん@ピンキー[]:05/02/10 18:00:01 ID:hUkDB4IB
>842
GJ!続きおまちしてます!

どなたか千秋の自慰などかいてくれませんかね〜
最低?

42 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 18:01:18 ID:DbaGfQp4
最低だ!!

43 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 18:06:25 ID:iNcSb2zi
>>41
他板だとそうだけど、此処だとそーでもない。

44 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 18:18:48 ID:LVL4fHAg
>41-42
おまいら面白すぎw

842さんおつかれさまです。
面白いですねー、次回はいよいよ視聴者からのメッセージですかー!
がんばってください!激しくお待ちしていますね!
でも、KISSも発売になってネタバレ話も出るだろうから、
テキストは一度メモ帳とかにまとめて、一気に投下してくれた方がいいかもです。
職人さん投下中は、やっぱり横槍になりそうで他の投稿を遠慮してしまうので・・・


45 名前:名無しさん@ピンキー[]:05/02/10 18:24:51 ID:hUkDB4IB
そうだね。投下は一気にお願いしたいです。
(自分も書き込むのを遠慮していたので)

46 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 20:02:10 ID:lH3K5nhF
一気に読めればスカッとするし、読みおわった後は
不思議な充実感にみたされる。これはあたしだけかもしれないが。

千秋の『結婚してやる』ってのは
ヘタレなりのいっぱいいっぱいの言葉のようで萌えました。
続き楽しみにしてます。

47 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 21:03:28 ID:ZBmXptIZ
書き手さんは投下しづらいかもしれないけど
読み手としては平行していくつも読めるのは嬉しいです。
楽しみがいくつもあっていい!

48 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 21:05:29 ID:DbaGfQp4
まるっと一話を一気に、ということではなくて
一日分を一気にということだと思うよ。
読み手もいつコメントしたらいいかわからないし
うっかり間にコメントしちゃうと気まずい。

49 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 21:14:14 ID:BEU5TmjP
842さん、面白いです!
峰と清良も脇役ながらキャラが立ってて嬉しい〜
続き愉しみにしていますね!

こちらのみなさんはKiss読みました?
ネタバレになってしまうのですが、トンネル内のお話作ってるのですが、
投下しても大丈夫でしょうか。

50 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 21:17:55 ID:OXwHEW8y
もちろんですとも〜!

842さん、話最高に面白いです!
ダークな質問どんなんだか、楽しみですよ♪

51 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 21:27:03 ID:BGNNca1B
842さん続き期待してマス!楽しいです♪

だれか〜、黒木×のだめ書いて〜!!
842さん、書けませんか??

52 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 23:00:40 ID:cpvpeM2Z
作品がさらに好きになるエロパロスレははじめてです。
さらに名作松。

53 名前:ピアノ ◆QvuLenpyEs [sage]:05/02/10 23:20:50 ID:BEU5TmjP
>50さんありがとうございます!
それでは、Kiss今号(Lesson67)の疑惑のトンネル話(wを投下させていただきます。
…め、名作にはほど遠いかとは思いますが、
一つの解釈として、少しでも楽しんでいただければ幸いです……。

※本誌のネタバレを含んでいますのでご注意ください。


54 名前:ピアノ ◆QvuLenpyEs [sage]:05/02/10 23:21:43 ID:BEU5TmjP

トンネルの向こうに(Lesson67より)

■■1
「エリーゼのやつ……本当に仕事をきっちり取ってくるというか、オレの実力というか」
 千秋はのだめと並んで歩きながら、少し厳しい表情でそう言った。
しかし前方を見据えながらも、自分を見つめるのだめの視線には気付いていた。
 その、千秋を見つめるのだめの頬は心なしか紅く染まっている。
のだめはどこか、近くて遠いものを見るような、静かな面持ちで千秋を見上げていた。
 千秋とのだめの身長差は20センチほどあるので、
二人が会話する時は、自然とのだめが千秋を見上げるような形になる。
しかしその高さは、単に身長差だけの問題ではない気がして。
 そうして二人は歩みを進め、一定の距離を保ったまま無言で、
古びたレンガでアーチ状に模られたトンネルの入り口に差し掛かった。
 目の前は、どこに続くとも知れない暗闇。
 二人は、今までも、沢山のハードルを越えてきた。
自分自身との闘い。音楽への飽くなき追求。
暗く長いトンネルの先に何が見えるのかなんて、今はまだ何もわからない。
 二人は、どちらからともなくそっと手を差し出し、…軽く、つなぎ合った。
「のだめもがんばらないと……ですね」
 のだめは今、パリの冷たい空気の中で、身が引き締まるように決意を新たにしていた。
傍らの千秋に語りかけるように。自分自身を鼓舞するように。
トンネルの影に差し掛かり、出口の見えないその暗闇をひしひしと感じながら。
 そうしてまた千秋も、暗がりに身を滑り込ませながら厳しい表情で応える。
「うん……」
 同じ音楽を志す者同士が理解し合える、堅い決意だった。

 二人はトンネルを進んでゆく。
 目の前には、暗闇の道。
穏やかな日の光が、名残惜しそうに、最後の一筋を二人の繋がれた指先に投げかけていた。


55 名前:ピアノ ◆QvuLenpyEs [sage]:05/02/10 23:24:27 ID:BEU5TmjP

■■2

 カツーン、カツーン、と、靴音が響く。
トンネルは意外に広く、二人きりで歩くには結構なスペースだった。
先の方に見える出口は小さく、まだ大分距離があるようだ。
 二人は、繋がったお互いの手の温かさだけを頼りに、歩調を緩めた。
「そういえば学校どう?あれから……」
 千秋はふいに口を開いた。
「あ……」
 のだめは、そんな千秋に応えるように、しっかりと千秋の手を握り締めた。
千秋の手の大きさと温かさがこそばゆく、思わず頬が緩んでしまう。
「順調ですヨ。先生はとってもいい先生だし。
 最近はのだめ、初見もなかなかやるんでス!」
 他愛のない近況報告。世間話。
そんな今まで通りのやりとりでも、想いの通じ合った二人には、新鮮なものだった。
「へぇ――」
 千秋もまた、握り返してやる。
すると、のだめの手が微かにぴくりと動き、僅かに引かれた。
 千秋の声が、トンネルの中で反響して、何度も遠くに聞こえる。
 千秋は再び、のだめの手を強く握った。
今度は、おずおずと、軽く握り返してくる感触。
 千秋はそっとのだめを見遣った。
 暗がりといっても、相手の姿が見えないほどではない。
しかし薄い闇は、のだめの姿を、いつもより小さく頼りなく見せていた。

 千秋はそっと歩みを止め、伺うようにのだめの顔を覗き込んだ。
 少し俯きがちに、のだめは前方から目を離さない。
 しんと静まりかえった薄闇の中、千秋は、のだめの手を握る掌にそっと力を込め、
もう片方の手…右手をのだめの左肩に伸ばす。
 その手に誘われるように、のだめはのろのろと視線を上げた。


56 名前:ピアノ ◆QvuLenpyEs [sage]:05/02/10 23:26:14 ID:BEU5TmjP

■■3
 二人の熱っぽい視線が交錯する。
 千秋は、のだめの肩に置いた手を、ゆっくりと移動させる。
コートをまとった背中をすっと撫でると、のだめはぴくりと身じろぎした。
 そんな些細な反応も可愛らしくて。
 千秋は思わず目を細めて、のだめの細い腰を捕らえた。
 彼女を抱くように引き寄せると、のだめはくすぐったそうに笑みを零し、
ほんの一瞬目線を落としたが。
再び、千秋を見上げる。
物言いたげに軽く開かれた唇は、浅い吐息を繰り返していて。
 千秋は、この上なく優しく、微笑んだ。
 そうしてそのまま、千秋の影はのだめに溶けていき……
唇を重ねた。

 そっとのだめの唇に触れる、千秋の唇。
もう何度となく交わしたキス。
マシュマロの如きその感触と、えもいえぬ甘やかな香に、千秋は感嘆して目を瞑る。
 ほんの少し、味わうように押し付けて、ふと千秋は唇を離した。
目を開けると、のだめは未だ目を瞑ったまま、
自分が今口付けたそのままの形を残したままで軽く唇を開いている。
 長く濃い睫。
 小さい鼻。
 紅く、ふっくらした唇。
そのうちにのだめはゆっくりと目を開けると、ごく間近で見つめ合う千秋の視線に照れて、
はにかんだような笑みを零した。
 千秋はその微笑みに誘われるように、再び唇を落とす。


57 名前:ピアノ ◆QvuLenpyEs [sage]:05/02/10 23:28:58 ID:BEU5TmjP

■■4
 柔らかく、触れて。食むように愉しんで。
――そうして千秋は、そっと、舌を差し入れた。
「……ッ…………。」
 のだめの身体はびくりと波打ち、千秋から逃げるように僅かに後ずさる。
しかし千秋は、腰を抱く右手をのだめの首筋に移動させ、逃げ場を封じた。
 千秋は、徐々に深く舌を差し入れていき、のだめの口内を味わう。
 絡ませようとすれば逃げる舌を追い、歯列をなぞって、滑らかな歯茎を舐め取る。
その度にのだめの華奢な身体は小さく反応し、つないだ手にはきゅっと力が込められる。
 そんなのだめの慣れない反応が可愛くて。
首筋を捕らえる指先でそっと耳たぶを弄びながら、
一層のだめの口内を蹂躙し、その唇で彼女の唇をやわやわと食んだ。
 お互いの唇から溢れた唾液が、一滴、のだめの顎を伝って滴り落ちる。
 いつしかのだめの左手は、千秋の背にしがみついていて。
もどかしげにコートを手繰り寄せるのその感覚に、千秋は益々高ぶってゆく。

 手をつないだまま、隙間の無いほどぴったりと寄り添い、二人は唇を重ねていた。
 いや、重ねるというより……千秋がのだめの唇を、口内を、貪っていた。
 のだめの苦しげに寄せられた眉、熱く激しい、…甘い、吐息。
徐々に力を失ってゆく華奢な身体。
「…〜〜〜ッ、………………」
のだめの身体が危うく膝から崩れ落ちそうになると、千秋は口付けたまま慌ててその背を支えた。
 千秋の手をしっかり握り締め、コートを掴んで。
全身を弛緩させながらも懸命に千秋の口付けに応えようとするその様は、
この上なく愛らしく、健気だった。
 千秋は、飽きることなくのだめの唇を味わいながら、危惧すら覚えた。
 ……オレ、あんまり待ってやれなそうだな…………
 そうしてすぐ、そんなことを考えてしまった自分に頬を染め、バツが悪そうに眉を寄せる。
 そんな千秋の思惑なんて知る由もないのだめは、ただただ求められるままに、
千秋の口付けを一心に受けていた。


58 名前:ピアノ ◆QvuLenpyEs [sage]:05/02/10 23:30:45 ID:BEU5TmjP

■■5

 ……ずっとこのままこうしていたいくらいだけど。
 千秋は長い長いキスの後、そっと唇を離し、
名残惜しそうに、のだめの頬へ、額へ、鼻先へ、…そうしてもう一度紅い唇へ口付けてから、
のだめの乱れた髪を梳いてやった。
 のだめは未だ興奮冷めやらぬような様子で、
くぐもった吐息を漏らしながら、千秋の愛撫に身を任せている。
 千秋がのだめを労わりながら、頭、頬、背中…と優しくさすってやると、
薄闇の中でもわかるほど頬を紅潮させたのだめが、大きく息をつきながら目を開けた。
 その瞳は とろん としていて。
 視点が定まらない様子でふらふらと千秋の顔を見上げるその拙い様子に、
千秋は胸を突かれて、思わず強く抱きしめた。
 温かく、柔らかい、のだめの身体。
その癒されるような感覚に、千秋もまた、深くため息をつく。
 自覚してからは、せきを切ったようにのだめへの想いが湧き上がってくる。
溢れ出るような愛しさを吐息に乗せ、千秋は、
のだめの髪に顔をうずめて、暫くの間そのままのだめを抱きしめていた。

 どのくらい時間が過ぎたのか、わからない。
暗がりの中にいる千秋は、己の中で猛った熱情が徐々に穏やかな心地良いものになってゆくのを感じ、
そっとのだめの身体を離した。
 そして千秋は、もう一度のだめの紅い唇にそっと口付けると、
しっかりと彼女の手を握り直して、またゆっくりと歩き出した。
 よろよろとおぼつかない足取りで、半ば千秋にしなだれかかるようにして歩くのだめを気遣いながら。
絡めた指先の1本1本まで、のだめのの柔らかさを感じながら。


59 名前:ピアノ ◆QvuLenpyEs [sage]:05/02/10 23:31:37 ID:BEU5TmjP

■■6

 歩き出してみれば、トンネルの出口は意外とすぐで。
明るい日の光が眩しい。
 アーチをくぐる頃になっても、傍らののだめは、まだ頬を上気させてふらふらと歩いていた。
 改めて千秋は、先ほどの熱情を思い出して言葉に詰まる。
 ……あんなに激しくするつもりなかったのに。こいつに触れてたら、なんか、……
俯いて、頬を染める千秋。
 千秋は、のだめの指に絡ませた自身の指先にいささか力を込め、わざとしっかり脚を進めた。
 …そう、トンネルの出口で、自分がどうなっているかなんて、入る前はわからない。
  精一杯、がんばるだけだ。
 わざと理知的な考えを巡らせながら、千秋はのだめの手を引いて歩く。
 しかしそんな建前とは裏腹に、千秋がのだめの甘やかな香に酔い、
柔らかな唇の感触を思い出しては高まる衝動を必死で抑えているのは、
彼の、彼女の手を握る強さが物語っていた。
 つないだ手の熱さは、千秋が少しでものだめを強く感じようとしている証拠だった。
 …トンネルを抜ける前、ねぇ……
 ため息をついて自嘲的な笑みを零しつつも、
「アヘー」といつもの奇声を発しながら幸せそうに寄りかかるのだめの様子に、
密かに目を細めてしまう千秋だった。
 そして千秋は、俯きながらも、噛み締めていた。
のだめが自分のことを「真一くん」と呼んだ、その意味の深さを……。


                <暗がりの向こうに(Lesson67) 終>


60 名前:ピアノ ◆QvuLenpyEs [sage]:05/02/10 23:34:00 ID:BEU5TmjP
以上です。というか最後の最後でミスってしまいました。
このお話の題名、投下の直前に「暗がりの〜」から「トンネルの〜」に変えたんでした……。
そのあたり脳内補完でよろしくです。
おそまつさまでした。

61 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 23:36:25 ID:OXwHEW8y
おお〜!!ピアノさんGJ!
久々の新作じっくり堪能させていただきましたよ!
これを読みながらもう一度、本誌を読むことにします。
ありがとうございました! 

62 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 23:39:25 ID:xazk+8ZM
うっほーー!!
相変わらず読ませてくれるなー、ピアノさん……
自分も色々考えていたけど、ピアノさんのSSに納得、満足、お腹イパーイしやわせ〜になりました。
ごちそうさまでした!!

63 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 23:43:55 ID:MY27TbXP
前スレの消費くらいしろよ

64 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 23:45:19 ID:OXwHEW8y
前スレは512KBを超えたのでこれ以上書き込みできないのですよ。

65 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/10 23:49:15 ID:CS9R8UHT
>>63
500KBになると自動的に書き込めなくなる。
だから前スレ消化は出来ない。
これでも読んで勉強して下さい。
ttp://hhh111.s4.x-beat.com/pukiwiki.php?dat%CD%EE%A4%C1%A4%CE%BE%F2%B7%EF#size

66 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/11 00:46:51 ID:SOApprg5
ピアノさん、GJ。堪能しました。
私にはもう842さんが見えません。峰最高だよ峰。GJ。

67 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/11 02:09:16 ID:ztgiZQeI
ピアノさんのSSのお陰で補充できますた。
これから本誌を読み返します!
ありがとうございました!


68 名前:名無しさん@ピンキー[]:05/02/11 02:32:26 ID:Wwa/NIDZ
もう少しあっさりしたキスを想像してたけど、
濃厚ですね

69 名前:sage[age]:05/02/11 11:37:44 ID:3tUkVrkH
age

70 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/11 12:10:13 ID:tZFIoslt
下がってないですよ。

エチー神の光臨お待ちしてます。
最近、ないよね?

71 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/11 13:55:40 ID:ztgiZQeI
842さんの続きをお茶でも飲んでお待ちしてます。
且⊂(゚∀゚*)ウマー

72 名前:名無しさん@ピンキー[]:05/02/11 17:13:26 ID:3tUkVrkH
842さんまだでつか??

73 名前:842です[sage]:05/02/11 20:38:24 ID:QESYbiKz
うおおっ!!! すんごいたくさんのコメントが!
びっくりです。うれしいです。

えーと、一気に書き込んで、というコメントに
ちょっと反省しておりまして……。
私、下書きとかいっさいしないで、1コマづつ勢いで書いていく感じで。
あのテンポじゃないと、ちょっとつらいんです。
でも、やっぱり他の方の迷惑になるようなことはしたくないですし。
なるべく全部完成してから投下したいと思います。
なので、つづきはもうしばらくお待ちください。ごめんなさい。

でも、1話くらいなら、いけるかも。
なんとか早く書けるよう、がんばりマス。

74 名前:842(未来形)20[sage]:05/02/11 21:14:01 ID:QESYbiKz
「たくさんのメッセージ、ありがとうございました。時間も少なくなってきたので、
 ここで締め切らせてくださいね〜」
CMが終わり、筒井かをりのアップから番組は再開。その手にはすでに幾人かの悪意ある
質問が握られていた。
「それでは、紹介していきます。二人とも、いいかしら?」
「……はい」
どうぞもうお好きにしてください、と言わんばかりの気の抜けた返事をする千秋とのだめ。
「まず、ペンネーム『死んじゃえ委員会』さんからのメッセージ」

愛しの千秋様。あたしはいつも陰ながら貴方のことを応援している、キュートな女の子♪
あたしの王子様だった貴方が、まさかあのひょっとこ馬鹿娘とケッコンするなんて!!!
そうよ。これは夢。悪い夢に決まってるわ。貴方があたしよりあんなメクソを選ぶなんて。
それとも、やっぱりDカップが決め手だったの? 答えて千秋様!
のだめ、あんた調子にのるんじゃないわよ? 覚えてらっしゃい!!!

読み上げるかをりの声が震えている。それでもこらえ切れない笑い声がところどころに
漏れるのであった。
「ぶっ、ず、ずいぶん具体的な内よ……くくっ、の質問だけどっ、知り合い?」
もう耐えられない、とお腹を抱えて苦しそうにしている筒井かをり。
「……ええ、音楽仲間です」
「しかも、男デスヨ」
一見、冷静に答えているかのように見える二人の後ろには、静かな怒りの炎が
燃えていた。
「おいモジャモジャ、いっぺん死ね」
「という、千秋君からの回答でした〜」

75 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/11 22:47:57 ID:SOApprg5
「キーッ、口惜しい!!!」
 モジャモジャ、のだめの鼻で笑うさまに耐え切れず悶絶。

76 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/11 23:29:05 ID:SNF6MDq8
842さん、GJです!
ほんとに真澄ちゃんならこんなこと言いそうですね。
もうパソコンの前で大笑いしてしまいました。
焦らず、続き待ってますね!

77 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/13 01:04:13 ID:RFjHFruG
千秋の自慰、書いてます。
しばしお待ちを……

78 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/13 01:12:39 ID:Ilf6NeFX
神の言葉!
待ってますとも!

79 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/13 07:08:35 ID:Ilf6NeFX
クリスマス話完成したのですが、投下していいですか?


80 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/13 07:24:11 ID:Ilf6NeFX
すみません。
さきほどのクリスマス話なんですが、計算したら50レス近く使いそうなんですが
まとめて投下しても大丈夫でしょうか?
それとも3日くらいに分けたほうがいいですか?

81 名前:名無しさん@ピンキー[]:05/02/13 07:26:54 ID:T9/+Ii9z
分けても50あることに変わりないのだから
投下してください!>80
早起きしてよかった。

82 名前:名無しさん@ピンキー[sage]:05/02/13 08:08:05 ID:3lmlE/BC
おおっ、長編ですね。>80

長編大好きです。ぜひ投下してください!
お待ちしております。

83 名前:ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:30:58 ID:Ilf6NeFX
81さん、82さんありがとうございます!
時季外れもいいとこなのですが、クリスマス話完成したので投下させていただきます。

ただ、千秋がありえないほど甘ゆるなうえにのだめに心底惚れきっていて、最後の方は苦悩してます。
千秋父との思い出も捏造しています。
エロ度も高いうえに、前スレのリクでありました中出し(避妊あり)もあります。
苦手な方は、どうかスルーしていただけるとありがたいです。

842さん、続き楽しみに待っていますね!
77さん、千秋の自慰首を長くして待っていますね。

84 名前:ヴChristmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:32:41 ID:Ilf6NeFX
●1
―――12月25日午前1時 パリ―――

千秋とのだめは、アパートから約1km離れた雪積もる路上でとぼとぼと歩いていた。
「のだめのアホ!バカ!マヌケ!めくそ!」
千秋は重いスーツケースを引きずりながら毒づいた。
「むきゃぁ〜!ごめんなざーい!!!」
のだめは半泣きになりながら、雪をかき分け必死についてくる。
「だから、オレは嫌だって言ったんだ!こうなることはわかっていたのに、おまえがどうしてもってタクシー飛び出すから…!」
「だって……のだめ本場のクリスマスミサ、一度でいいから見てみたかったんデス〜!」
そんな2人に容赦なく氷点下の北風が吹きつける。
くそ〜なんでクリスマスだっていうのにこんな目に…。


―――始まりは数時間前―――

千秋は、パリでの初めてのクリスマスコンサートを無事、大成功におさめていた。
楽団員達や公演関係者との打ち上げを予定通りキャンセルし、見に来ていたのだめと一緒にパリ市内でディナーを食べ、
そのまま3週間ぶりにタクシーでアパートに帰宅する途中―――
「ふぉぉ、先輩!あそこの教会でちょうど今、ミサしてマスよ!」
「そりゃあ今日はイブだからな…って、おい!!」
「運転手さん、止めて下サイ!先輩、ちょっと見に行きましょうよ〜!」
「おい、のだめ!!今降りたらもう絶対タクシー拾えないぞ!」
と叫ぶ千秋をあとにし、のだめはそのままタクシーを飛びだしていったのだった…。
やむなくのだめにつきあった千秋は、そのままミサに参加したはいいが、
終了後当然タクシーを拾えるわけもなく、電車やバスもとっくになく、こうして今に至っているわけである―――

85 名前:ヴChristmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:33:44 ID:Ilf6NeFX
●2
「だから言っただろ!キリスト圏のクリスマス期間中は、店だけじゃなく交通機関も極端に数が減るんだ!
 パリ中心部ならともかく、あんな場所からこんな時間にタクシーなんか拾えるわけないだろ!このスットコドッコイ!!!」
夜中なのにも関わらず、千秋は思いっきり怒鳴りつけた。
「ゴメンナザーイ!……あぅ?…ギャボーン!!!」
奇声と共に派手にこける音がし、千秋が驚いて振り向くと、のだめが見事にうつ伏せになって雪の中に埋まっていた。
「…おいっ!?のだめ、大丈夫か!?」
荷物を放り出し、慌ててのだめの元に駆け寄る。
「おい、のだめ!しっかりしろ!」
雪の中から抱き起こすと、
「…ぜんばーい、いだいでづ〜!!」
なんともいえない情けない声で起き上がったのだめは、全身雪まみれで、顔も例外ではなく。
真っ赤になって泣き崩れているその姿は、まるで幼い子供そのもので…。
千秋は思わず吹き出してしまった。
……まったくこいつは……どうしてこんなにバカで、たまらなく可愛いんだろう。
こんな姿に愛おしさを感じる自分は、もう立派な変態の森の住人なんだと再認識してしまう。
「ぜんばい〜ひどいでづ〜!!」
「ゴメンゴメン…。それよりどこか痛いとこはないか?」
「べづに…大丈夫でづ……」
と言いつつ、ちらりと足首を見た」
まったく、変なとこで無理しやがって……。
千秋は溜息をつきながら、そのままくるっとのだめに背を向ける。
「ほれっ!」
「ほぇ?」
「おんぶしてやるよ!さっさと乗れ!」
「むきゃー、いいんでづか?でも…」
のだめはちらりと雪の中に放り出されたスーツケースを見る。
「心配しなくても、ちゃんと運ぶから。俺様を誰だと思ってんだ。ほら、さっさと乗れ!ただし靴は自分で持てよ」
「はうー、それではお言葉に甘えで……」
そう言って、脱げていたパンプスを拾い上げおずおずと千秋の背中に乗ってきた。

86 名前:ヴChristmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:34:32 ID:Ilf6NeFX

●3
……重い……。
背中にくるずしりとした重みに思わずよろける。
そのまま、のだめを背負いながら、雪に埋もれていたスーツケースを拾い上げ、
よろよろと石畳の雪深い中を歩くのは、さながら拷問に等しかった。
「先輩…本当にゴメンナサイ…」
背中から、しょんぼりした声が聞こえてきた。
…そんな声を聞いたら、もう怒れなくなる。
「いいよもう…それより寒くないか…?」
優しく問いかける。
「大丈夫デス。先輩の背中、とっても温かいから……」
そう言いながら、千秋の背中にそっと身体をすり寄せた。
「…………」
雪の中、人1人背負いながら重い荷物を引きずっているという状況なのに。
その背中のぬくもりで、なぜか心までがほっと温まった気がした。

そんな2人の上に、相変わらず雪はしんしんと降り積もってゆく。
「明日にはかなり雪が積もりそうデスね。先輩明日……」
「却下!」
「のだめ、まだ何も言ってませんよー?」
「どーせ、雪遊びだろ?今こんなに寒い思いして、なんで明日また同じ思いをしないといけないんだ!」
「先輩は、ジジくさいデスね〜」
「誰のせいでこうなってると思ってるんだ〜!!!」
千秋の怒鳴り声に反応してか、どこからか犬の鳴き声が静かな街にこだました。


やっとの思いでアパートにつくと、既に夜中の2時を回っていた。
……疲れた……。
暖房をつけ、スーツケースを床に放り出し、のだめを背中から下ろしたら、急に疲労感が襲ってきた。
「……うぅ……」
わずかにうめき声が漏れ、振り向くとのだめが足首を押さえ、顔をしかめていた。

87 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:35:28 ID:Ilf6NeFX

●4
まったく、世話のやける……。
「ほれ、ちょっと座ってみろ……」
「むきゃ?ほわぁ……!」
千秋はのだめの両脇を抱え、傍にあった椅子に座らせた。
「ほら、見てやるから足出して!」
そう言ってしゃがみこみながら、のだめの足をパンスト越しに触れる。
「ヤダ…!先輩!」
のだめはとっさに抵抗するが、構うことなくのだめの白く滑らかな足首に指を這わせてゆく。
「ここ痛い?……ここは?……ここどう?」
次々と、指でさぐっていく。
「……ちょっと…でも、大丈夫デス……」
わずかに顔をしかめるものの、そんなに酷くないようだった。
「まあ、これなら大丈夫だ。風呂上がりに湿布貼ってやれば、明日には痛みも引くだろ」
そういいながら、ふとのだめの顔を見ると、のだめが真っ赤な顔で見ているのに気付いた。
わずかに開いた唇から熱を持った吐息が漏れ、瞳が熱く潤んでいる。
それはまるで、“あの時”のように官能的で―――
……もしかして……?
「のだめ……もしかして、感じたのか……?」
そのとたん、のだめはかあぁとリンゴのように真っ赤になってしまった。
「せっ、先輩が悪いんデス!先輩の手って、なんかとってもエッチなんデスよ……!」
しどろもどろになりながら必死に弁解する。
……へぇ…可愛いじゃないの……。
千秋はまるでいたずらっ子のように笑いながら、今度はのだめの右手をとった。
「ほぇ?」
「今度は手の検査な。一応調べとかないと」
「せ、先輩!大丈夫デスって。ひゃあっ……!」
慌てるのだめに構わず、千秋はその柔らかい白い手にそっと指を這わせる。

88 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:36:15 ID:Ilf6NeFX

●5
指の付け根の皮膚の薄い部分にそっと触れていき、時々ツボを優しく指圧していく。
「……ひゃぁん…!」
そっとのだめの顔を見ると、その顔は溢れそうになる快感を必死に抑えている顔で。
それが、千秋にはたまらなく淫靡に見えた。

初めてのだめを抱いてから2ヶ月、千秋はのだめの弱点をすべて知り尽くしていた。
きらめくような美しい旋律を奏でるこの細く長い指が、なによりも敏感だということも。
右手の愛撫を続けながら、今度は左手の指を一本づつゆっくり口に含み、舌で絡めるように丹念に舐め上げる
「…セン…パイ・・や、だ……」
両手を指と舌で同時に愛撫されたのだめは、恥ずかしさのあまり、目をつむってうつむきながらも。
真っ赤な顔で、震えながら歯を噛み締めて、全身に押し寄せてくる快感の波にさらわれるまいと必死に耐えているようだった。

相変わらず…感度良好だこと……。
千秋は満足気に、にんまりほくそ笑む。
「……なに?これくらいで感じちゃたのか?もしかして……ずっとオレが欲しかった?」
「…………!!!」
図星だったのか、二の句が告げないようだった。
千秋は立ち上がり、前屈みになってのだめの耳元にそっと囁いた。
「オレは……ずっとおまえが欲しかったけど……?」
“おまえと一緒にクリスマスを過ごしたくて、だから打ち上げをパスしてまでここに帰ってきたんだけどな……”
小さく囁きながら、そっと耳朶にキスを落とす。
「…………」
のだめはされるがままに、真っ赤な顔でぼーっと千秋をみつめていた。
「今日の公演はどう?よかった?」
答えなどわかりきっているが、あえて尋ねてみる。
「……すっごく、よかったデス……」
「……惚れ直した?」
千秋が耳元で優しく囁くと、のだめの顔にざあっと血液が集まってくる音が聞こえたような気がした。
「……ハイ……」
「じゃあ、祝福してくれる…?」

89 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:40:28 ID:Ilf6NeFX

●6
千秋は、すっかり冷えきったのだめの頬を優しく撫でながら囁いた。
祝福―――それは千秋の公演が無事に成功するたびに、その度与えられる、のだめからのキスのこと。
最初のパリデビュー公演の時から千秋が決めた、2人の恒例行事である。
のだめは紅潮した顔で小さく頷くと、千秋を見上げ、両手を伸ばして冷え切った頬を挟んだ。
そのまま千秋の顔を手繰り寄せ、その整った美しい唇に触れる。
初めは小鳥が啄ばむように……そして徐々に、唇を開き舌を忍び込ませる。
差し入れた舌を、ゆっくりと千秋の温かなそれに絡ませる。
下唇を甘噛みし、歯茎を舐め上げ、舌を引き出して強く吸い上げる。
舌が絡み合い、唾液が混ざり合いう湿った音が静かな室内に響き、否応なしに気持ちが高ぶる。
「…ん…ふぅ…」
漏れる吐息はどちらのものとも判らず、ただそこに甘い時間が流れていた。
千秋はのだめの小さな肩に手をかけ、されるがままにすべてを受け入れ、
その唇の柔らかさ、甘い唾液と共に、そのテクニックの上達ぶりを存分に楽しんでいた。
それらはすべて、千秋自らがこの3ヶ月かけてじっくり身体に教え込ませた成果によるものだった。
オレが教えた通りの、他の誰のクセもついてないオレだけの……。
のだめからキスを受けるたび、千秋は独占欲が存分に満たされ、満ち足りた気持ちになるのだった。

長い長い口付けの後、くちゅりと音を立てて唇が離れた。
「……はぁ……」
どちらからともなく、吐息が漏れる。
「おめでとうございマス……」
「ありがと……」
千秋は優しくみつめながらのだめの頬に手をかけ、互いの唾液で濡れた柔らかな唇をそっと親指でなぞった。
今度は千秋からもう一度……。
「……ぶしゅん!」
二度目のそれは、のだめのくしゃみによって妨げられた。
よく見ると、雪がとけて髪や服を濡らし、全身小刻みに震えている。
「大丈夫か?悪かったな、引き止めて……。早く風呂入ってよく身体を暖めてこい。風邪引くぞ?」
「……はうぅ…ぶしゅん!」
そうくしゃみをしながら、のだめは自室へ帰っていった。

90 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:44:14 ID:Ilf6NeFX

●7
千秋は部屋ぐるりと見渡してみる。
それは千秋が3週間前に家を開けた状態のままに保たれていた。
へえ…あいつ最近本当に頑張ってんだな……。
そう思いつつ、自分がなにもかも面倒見ていた頃が懐かしく、なんともいえない寂しさがこみ上げてくる。
自立した生活をしろって言ったのはオレなのにな……。
本当は、千秋自身がのだめから必要とされることに喜びを感じていたのだということに、改めて気付かされる。
そんな自分に、千秋は思わず苦笑いする。

千秋は、スーツケースから荷物を出し整理を始めた。
洗濯物は殆どホテルでクリーニングに出していたのであまりなかったが、それでも袋一杯の洗濯物を洗濯機に放り込む。
そのままテキパキと整理を終え、冷蔵庫を開けた。
一週間前、のだめにメールで送ったクリスマスメニュー用の食材。
クリスマス期間中はどの店も閉店するので、買出しを頼んでいたのだった。
あいつ、ちゃんと本当に買ってきたのかな……。
しかし、冷蔵庫の中身は自分が指示したものが整然と入っていた。
よく見ると、冷蔵庫の扉にメールを打ち出した紙が貼っており、下には
『おいしいクリスマスディナー、楽しみにしてますね♪ のだめ』
と書かれていた。
「…バーカ。こういうことだけは本当にマメなんだから……」
つい独り言を言いつつ、なんだか顔が緩むのが止めれなかった。
明日はとびっきりのクリスマスディナーを作ってやろう。
そう思いながら、冷凍庫から丸々とした七面鳥を一羽取り出した。
朝にはほどよく解凍されているだろう。
メニューはローストターキーと、オニオンスープ、アボガドサラダにジンジャーブレッド、デザートにはブッシュ・ド・ノエル
でも作ってやろうかな。
そう思いながら、千秋はやっと濡れた服を脱ぎ、バスルームへと向かった。

91 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:45:17 ID:Ilf6NeFX

●8
冷え切った身体がやっと温まり、さっぱりとした素肌に洗い立てのパジャマが心地よかった。
部屋はすっかり暖房で温まり、風呂上りには暑いくらいだった。
洗濯機がすでに止まっていたので、乾燥機に放り込みスイッチを入れる。
バスルームから出ると、リビングに栗色の髪が見えた。
ちらりと覘くと、後ろ姿ながらソファに腰掛けて何かを熱心に読んでいるのがわかった。
「……何読んでんだ……?」
後ろから、のだめを優しく抱き締めながら覗き込む。
「むきゃっ!な、なんでもないデスよ!」
のだめは慌てて読んでいたものを隠そうとする。
「おい…何も隠すことないだろ?」
取り上げようとするが、手が届かない。
「あとで!あとでちゃんと見せマスから……!」
片手で必死にガードされ、結局ソファの下に隠されてしまった。
まったく……一体何なんだ?と思いながら、ふと後ろからのだめを見て、千秋は思わずドキッとした。
のだめはいつものパジャマではなく、綺麗な淡いピンク色のネグリジェを着ていた。
レースやフリルをふんだんにつかい、可愛らしい少女趣味なのに、総レースの胸元は大きく開いていて―――
豊かな白い胸の谷間がくっきりと見えた。
長いナイトガウンを着ていたが、おそらくノースリーブだろう。
いつぞやの母のネグリジェを着たのだめを思い出し、恐る恐る聞いてみた。
「それ、もしかして母さんが…?」
「いえ、ヨーコがクリスマスプレゼントにって送ってきてくれたんデス。先輩にもフォーマル、送ってくれてましたよ♪」
「あ、そ……」
まったく、あの家族は……。
しかし、そんなネグリジェ姿ののだめが可愛いと思わないわけはなく――――

92 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:47:13 ID:Ilf6NeFX
●9
クリスマスプレゼントとしてありがたく受け取ることにした。

のだめの横に座り、そっと抱き寄せる。
半乾きの洗いたての髪がひんやり心地よい。
その髪に口付け、そのまま唇を這わす。
最初は髪に…額に…瞼に…鼻に…頬に…そして唇に……。
「……ぶしゅん!」
唇に触れる前に、再びのだめのくしゃみに妨げられ、なんだかおかしくて思わず顔を見合わせて笑ってしまった。
「風邪か?」
「……いえ…大丈夫デス…」
そう言いながら、ぐすんと鼻を鳴らす。
「……そうだ!いいもん作ってやるから待ってろ。あと、湿布も貼ってやるから」
千秋は救急箱から湿布を取り出し、のだめの右足にペタリと貼った。
「これで大丈夫。また明日取り替えてやるからな。ここでおとなしく待ってろよ」
優しくのだめの頭を撫で、キッチンへ向かった。

鍋にワインと、スーツケースから出しておいた小さな缶から香料を小さじ数杯入れる。
一煮立ちさせ、水と蜂蜜を少し入れて火を止めた。
ガーゼで漉して水差しに移し、最後にレモンを絞り入れる。
それをソファーに運び、お土産のカップに注いでのだめに手渡した。
「なんですか?これ」
温かなカップの中を覗き込みながら尋ねる。
「グリューワインっていって、クリスマーケットの風物詩なんだ。ま、正確にはレモンと蜂蜜を入れないで、
 ワインとシロップとグリューワインの素っていうオレンジピールとかシナモンとかの香料を入れるんだけどな。
 風邪引いてる時には、こんな風に作ったほうが温まるし身体にいいんだ」
「ほわぁ…先輩まるで山岡士郎みたいデス〜」
「……誰?それ……」
「いえ、漫画の美味しんぼの…」
「知るか〜!!!」

93 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:50:04 ID:Ilf6NeFX

●10
そんなたわいもない会話をしながら飲むグリューワインは。
とても熱くて甘く、心まで温まっていくようだった。
「はうぅ〜、とってもおいしいデス先輩!なんだかポカポカしてきました」
「そうか?いっぱいあるからもっと飲めよ」
千秋は嬉しそうに、のだめのカップにお代わりを注いだ。
「このカップ、とっても綺麗ですね」
そのお揃いのカップは、鮮やかな紺色の地に白と金色で大聖堂やクリスマスツリーが見事に描かれており、
とても綺麗なものだった。
「だろ?グリューワインカップっていってさ。クリスマスマーケットが開かれる街や年ごとにデザインが変わるんだ。
 一番有名なのはドイツのニュルンベルグだけど、これはオーストリアのザルツブルグのなんだ。
 デザインが一番綺麗でさ……」
千秋は嬉しそうに、そしてどこか懐かしげな目でそれを眺める。
「……なんだか先輩、とっても懐かしそうですね?何か思い出でもあるんですか?」
「……別に、たいした思い出ってわけでもないけどさ……」
千秋はふっと目を細めながら、遠くをみつめた。
「昔……オレが3歳の時に父さんと母さんと3人で一緒にザルツブルグのクリスマスマーケットに行って、
 生まれて初めて飲んだお酒がこのグリューネルワインだったって、それだけ」

そんなことをしゃべりながら、千秋はぼんやりと考えていた。
……オレ、なんでこんなにぺらぺらしゃべってるんだ……?
今まで誰にも…由衣子達にだってこんな話、したことないのに……。

「うきゅー、先輩子供の時から酒飲みだったんデスねー」
「なっ!オレは何も知らないで飲んだんだ!ま、そのせいでそれを飲ませた父さんは、
 母さんにこっぴどく怒られてたけどな」
その時のことを思いだし、つい思い出し笑いがこぼれた。
「それで、その後はどうなったんデスか?」
「……別に、その後クリスマスミサに参加して…それで、神様にお願いしただけ」
「何てお願いしたんデスか?」

94 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:52:19 ID:Ilf6NeFX

●11
そう覗き込むのだめと視線があったとたん、急に我にかえる。
「なんでもねっ!忘れたよ、んなこと!」
「えー!うそデスね?先輩絶対嘘ついてマスね?のだめには全部お見通しですヨ?」
「うるさい!本当に忘れたんだ!!」
強引に話を終了させ、再びカップに口を付けた。

……ったく、言えるかよ!……あんな、願い事……。
のだめはまだ納得できないという顔をして千秋の顔を覗き込んでいるが、完全無視する。
そうしないと、のだめに心の奥深くまで覘かれそうで……怖かった。
……こいつと一緒にいると、時々心の扉の鍵をかけ忘れてしまうことがある。
以前、催眠術師達がオレはすごくガードが固いって言ってたけど、最近のだめだけは例外だと自覚するようになった。
ただ傍にいるだけで、たまらないほど心地良く感じてしまい、気がついたら饒舌になる自分に気付き、
いつも焦ってしまう。
こりゃあ、浮気なんて絶対出来ないな……するつもりもないけど。
思わず苦笑いを零す。

「…千秋先輩、大事な話があるんデス」
ふいに、のだめが沈黙を破った。
カップをテーブルの上に置き、ソファーの下に手を伸ばしてそこから何かを取り出し千秋に手渡した。
……さっき風呂上りに隠してた…これはラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調の楽譜……?
「来年の春、コンセルヴァトワールでこの曲の学内コンサートが開かれるんデス。オクレール先生が
『出てみるかい?ベーベちゃん』って学内選抜選考会に推薦してくれたんです。
 それには、有名な音楽家とか評論家とかも来るらしくて……。今まで代表に選ばれて成功した人の中に、
 コンクルとかも優先的に出してもらったり、ごく稀ですけど、プロ公演とかにゲストで呼ばれたりした人もいたそうデス」
そう言って一旦言葉を切り、千秋の顔をまっすぐみつめ直した。
「頑張ってみることにしました」

95 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:54:57 ID:Ilf6NeFX

●12
それは、迷いのないはっきりした声で。
千秋は、正直驚かずにはいられなかった。
―――こいつが、こんなに迷いもなくピアノに真正面から向き合うなんて―――
あのマラドーナコンクールでの失敗によって、もうコンクールみたいなのに出るのは正直嫌がるだろうと
思っていただけに、こののだめの変化に千秋は驚かずにはいられなかった。
「千秋先輩の演奏聴いてて、いつも思うんです。もっともっと頑張らないと、先輩と一緒にはいられないって……。
 先輩はどんどんのだめを置いて遠くに行ってしまうから…だから……」
のだめは楽譜をみつめる。
「のだめの夢は、いつかこの曲を先輩と同じ舞台でコンチェルトすることなんです。いつかの先輩とミルヒーみたいに。
 そしてこれからもずっと、先輩の傍でピアノを弾いていたいんです。そのためにも…のだめ頑張りマス!」
そう力強く言い切って笑ったのだめの顔は、ただ楽しくピアノを弾いていたあの頃とまるで違って、
ピアノへの情熱で光輝いているようだった。
そんなのだめの変化に、千秋はこみ上げてくる何かに胸を熱くした。
「……よし!明日から早速特訓だ!!久々にしごいてやるから覚悟しとけよ?」
「ぎゃぼー!!明日ってクリスマスですよ!?せ、せめて明後日からでも……」
「うるさい!オレは休暇は1週間しかないんだ。折角の俺様直々の指導、ありがたく思え!」
「ぼきゅー!先輩の鬼!先輩はやっぱりカズオです〜!」
「だれがカズオだー!!!」

そんないつもながらの会話も飲み込んでしまうほど、しんしんと降り積もる雪は。
止むことなくパリの街を白く包み込んでゆく。

すっかり拗ねてしまい、ひたすら黙ってワインを飲んでるのだめへのご機嫌とりとかいうわけでもないけど。
千秋は半年前からずっと渡しそびれていたものを、ソファーの下から取り出した。
「……のだめ。あのさ……」
「……何デスか?」
のだめはいつものひょっとこ口でジロリと千秋を見た。
そんなのだめにちょっと腰を引きつつ、小さな紙袋を手渡した。

96 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:56:23 ID:Ilf6NeFX

●13
「……その、これ…クリスマスプレゼント……」
「ほわぁ…何デスか?」
とたんに機嫌がよくなったのだめに心底ホッとしつつ、千秋は優しくのだめをみつめながら言う。
「開けてみたら?」
のだめは嬉しそうに袋から、小さな箱を2個取り出した。
ひとつは上海でつい買ってしまった、ハートのルビーのペンダント。
もうひとつは、今月同じブランドのパリ支店で新たに購入したお揃いのハートの指輪。
「ほわぁあ…きれーい…。のだめ嬉しいデス!」
箱から取り出して手に取りながら、満面の笑顔で言う。
「つけてやろうか?」
そんな笑顔に満足しつつ、手からそれを取ろうとすると、のだめは手を後ろに回してそれを拒んだ。
「……のだめ?」
戸惑う千秋をよそに、のだめはうきゅ♪と笑いつつアクセサリーを箱に戻した。
「のだめからも先輩にプレゼントがあるんですよ。ちょっと、待ってて下さいネ♪」
そう言って、寝室へと向かう。

……あのアクセサリー…もしかして、気に入らなかったのか……?
ちょっと…いや、かなりショックを受けていると、のだめが嬉しそうに、細長い包みを持ってきた。
「先輩!これのだめからのクリスマスプレゼントです!早く開けてくだサイ!」
嬉しそうに千秋の顔をみつめる。
「……ああ、ありがと…。ところでのだめ、さっきのプレ…」
「早く早く!先輩!」
のだめに急かされ、千秋は黙って包みを開けた。
……どーせまたごろ太だろ?という予想は見事に外れ……。
「……指揮棒?」
それは小さな皮のケースに入った指揮棒だった。
「うっきゅっきゅー。のだめ奮発しちゃいました♪」
そう照れ笑いするのだめが、愛おしくてたまらなかった。

97 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 10:57:29 ID:Ilf6NeFX

●14
「ありがとな。早速次の公演から使わせてもらうよ」
ケースから指揮棒を取り出そうとすると、のだめが悪戯っぽく笑う。
「そのケースと指揮棒、よく見てくだサイ」
そう言われてよく見てみると、ケースの下の方に小さく『S&M』と金文字で書いてあった。
指揮棒の握りの部分のコルクにも小さく『S&M』と彫られている。
「『真一&恵』のSとMです。これ、先輩とのだめのコンチェルト専用の指揮棒なんデス」
驚く千秋の横で、のだめは指揮棒をみつめたながら話し続ける。
「…いつか、絶対に先輩に追いついてみせマス。この指揮棒は先輩との最初のコンチェルトまで保管していて下サイ。
 のだめも…」
のだめはそっと、さきほどのネックレスと指輪の箱を手にとった。
「これ、先輩との最初のコンチェルトまで大切にしまっておきます。先輩がくれた初めてのプレゼントだから……。
 のだめ、これをつけるために一生懸命頑張りますから、先輩もそれを使うの待っていてもらえますか?」
そう言いながら、千秋の胸にそっと身体を預けてきた。
「…バーカ。何年かかる話なんだよ…」
照れ隠しに悪態をつきながら、その柔らかな身体を優しく抱いた。
……なんて愛おしいのだろう……。

オレが今まで付き合ってきた女はみな、可愛くて美人で頭がよくておしとやかなお嬢様で……。
でも何か物足りずに、すぐ別れることが多かった。
その中で、彩子とは長く続いた方だったと思う。
美人でスタイルもよくて、お嬢様で、なにより音楽の才能に溢れていて、はっきりいって申し分のない彼女だった。
家族ぐるみの付き合いだったため、オレの飛行機云々の秘密も、家族から聞いて知っていたし、
なんでも打ち明けられる親友のような関係でもあった。
でもその反面、彩子とは音楽が原因でいつも喧嘩ばかりしていた。
今から思えば彩子はオレに似すぎていたのだろう。
時々、一緒にいて息がつまりそうに感じることがあった。
だから彼女と別れた時、正直ホッとした気持ちは否定できない。

98 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 11:00:00 ID:Ilf6NeFX

●15
でものだめは――違う。
今まで付き合った相手とは正反対で、変態で無神経でズボラで不潔で―――でも、なぜかほっとけなかった。
のだめと一緒にいるとなんだか楽しくて面白くて心地よくて。
その反面、傍にいないとなんだかつまらなくて落ち着かなくなってしまった。
いつの間にか、オレの心の中にすっと自然に入り込んで居ついてしまって、それが当たり前のように感じるようになった。
のだめのピアノだけが好きなはずだったのに、いつのまにかそのベクトルが、
のだめ本人に向けられていると自覚したのはいつだっただろう?
ずっとずっとオレの傍にいて欲しいと思うようになったのは……?

どんなに早く歩いても、オレの後を追って必死に追いかけてくる。
そうかと思って捕まえようとすると、とたんに逃げていく。
愛おしくて、もどかしくて、手に入れたくてたまらなくなる。
捕まえて閉じ込めて、どこにも逃がしたくなくなる。
誰の目に触れさせることなく、オレだけのものにしたくてたまらない。
それがオレの自分勝手な酷いエゴだとわかっていても…。
今、のだめを失ったら、きっとオレはオレでいられなくなるだろう。
もし、オレからおまえを奪うやつがいたら、きっとそいつを八つ裂きにしてやりたいと思うだろう。
オレがおまえのことを、こんなにまで狂おしいほど愛おしいと思っているなんて、おまえ知らないだろ?

「……おまえが、欲しい……」
そっとのだめに口付ける。
甘い甘い唇。
そっと舌を滑り込ませると、同じ甘いワインの味が口内一杯に広がった。
舌を絡ませ、唇に歯茎についたワインの残りを舐め取っていく。
「……う…ん…はぁ……」
くちゅり、くちゅりと湿った水音が室内に響き、互いに酔ったように夢中で舌を唇を絡ませる。
千秋はのだめを強く強く抱き締め、その華奢で柔らかな身体を撫で上げる。
のだめは両手を首にまわし、髪をクシャクシャにしながら必死に縋り付いてくる。
「……はぁ……」
ようやく互いの唇を離したが、舌は名残惜しそうに最後まで絡み合い、つつっと唾液が糸を引いた。

99 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 11:01:03 ID:Ilf6NeFX

●16
「……ここでする……?それともベッドがいい……?」
のだめの耳元で優しく囁くと、のだめは頬を真っ赤に染めた。
「……ベッドで…して下サイ……」
そう恥ずかしそうに呟く。
「……了解……」
額にキスを落とし、優しくみつめながら、右手を背中に、左手を膝裏に手を回してそっと抱き上げ、
いわゆる『お姫様抱っこ』で寝室まで運んで行き、リビングの電気を消した。

寝室は3週間前と殆ど変わっていなかった。
唯一つを覘けば。
「……クリスマスツリー?これどうした?」
のだめをベッドに寝かせながら尋ねる。
ベッドのすぐ傍に、クッキーでできたオーナメントと、やはりというかプリごろ太フィギアでデコレーションされた、
小さな本物のもみの木が立てられていた。
「綺麗でしょ?実はターニャ達と一緒に市場に買いに行ったんです。デコレーションものだめがしたんデスよー♪」
のだめは得意気な顔をする。
…あれ…?
何かに気付きよく見てみると、なぜか折り紙に、

『今度の選考会で勝って学内コンサートで演奏できますように♪ のだめ』
『先輩の仕事がこれからもずっとずっと成功しますように♪   のだめ』

と書かれ、カズオとプリリンの間にぶら下がっていた。
……七夕かよ……。
「……のだめ、これ……」
思わず脱力しながら聞くと、のだめはますます得意気に胸を張った。
「うきゅ♪願い事書いたんです。ターニャ達にも教えてあげたら、やってみるって喜んでましたヨ!」
……おいおい…間違った日本文化を教えるなよ…。
そう思いつつも、のだめの健気な願い事が嬉しくないわけはなく―――
思わず顔が緩むのを止められなかった。

100 名前:Christmas Memory 〜ふたつの願い〜/ヴァイオリン[sage]:05/02/13 11:02:31 ID:Ilf6NeFX

●17
「先輩?どしたんデスか?にやけちゃって……」
「ほっとけ!それより……」
そっとのだめの横に座り、優しく頬を撫でながらみつめる。
「……これからもうひとつ、おまえからクリスマスプレゼントを貰っていいか……?」
その“プレゼント”の意味を十分理解しているのだめは、赤面しながら小さく頷いた。
その恥らった顔が、千秋の欲望に火をつける。

「……あの、先輩。実は……」
その言葉を唇ごと塞いだ。
ゆっくりと口内を音を立てて舐め上げながら、のだめの豊かな胸をネグリジェ越しに優しく揉み上げる。
のだめは何か言いたげに、もがきながら千秋から逃れようとしたが、それがかえって千秋の狩猟本能を駆り立てた。
……逃がさない……絶対に……!
無理やりのだめの身体をベッドに押し付け、それでも一応怪我をした右足に体重をかけないように気をつけながら、
上から圧し掛かり、息も出来ないほど何度も何度も角度を変えて、口内を蹂躙しながら強く強く吸い上げる。
お互いの唾液がくぐもった音を立てて混ざり合い、漏れ出た唾液がのだめの顎を伝っていく。
ナイトガウンを無理やり剥ぎ取り、ベッド傍の椅子に放り投げる。
ネグリジェの隙間から右手を滑り込ませ、淡いピンクの総レースのブラジャー越しに右胸を円を描くように揉み上げ、
左手でのだめのネグリジェの裾を乱暴に捲くり上げ、そのまますべらかなのだめの足をゆっくりと撫で上げる。
相変わらず、白く柔らかい肌はしっとりと掌に吸い付いてくる。
その感触を味わいながら、のだめをいつも通りゆっくりと追い詰めていく。
「……はぁっ…あんっ…セン…パイ…あの……」
ようやく唇を開放してやると、のだめは顔を上気させ、息絶え絶えになりながら、まだ何かを言おうとしていた。
「……いい加減、黙れよ……」
そうのだめの瞳をみつめながら強くそう言い、再び唇を塞ぐ。
この俺様がこんなにも夢中になっているというのに、そののだめが集中していないことが、千秋には許せなかった。
……もうオレ以外のことは考えられなくしてやる……!!!


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